先輩の実力
最初に動いたのはラナさんだった。
ラナさんは体勢を低くして少し力を溜めた後、一気にスライムとの間合いを詰め居合切りのように切りつける。
「はぁっ!」
狙ったのは一番近いところにいた中央のスライム。
スライムは軽く吹っ飛んだが致命傷にはならなかったようで、その場にとどまった。
「あちゃ~……倒しきれなかったか~」
そういうと、ラナさんは元居た場所までバックステップで戻ってくる。
次はジャスミンさんの番、と思っていると、ジャスミンさんが話しかけてくる。
「メルちゃん、炎属性の魔法って使える?」
「え?あ、はい。一応使えますけど……」
「じゃあ、私がタイミング合わせるから、好きなスライムに炎魔法ぶつけちゃって!」
突然そんなことを言い出すジャスミンさん。
何が何だかわからないけど、とりあえずやってみることにした。
「行きます!」
「うん!いつでもいいよ!」
「はい!『フィアンマ』!」
魔法名を唱えると、少し大きめの火球がまっすぐスライムに向かって飛んでいく。
狙ったのはラナさんの攻撃で傷ついた、中央のスライム。
「メルちゃんセンスいいね!『トルネード』!」
私が魔法を放つと同時に、ジャスミンさんが魔法を唱える。
すると中央のスライムの前に竜巻のようなものが出現する。
私が放った火球はジャスミンさんの魔法に吸い込まれ、ジャスミンさんの竜巻が炎を纏う。
竜巻はスライム3匹を巻き込み、大きく膨れ上がって消えた。
「お~、さすがジャスミン。この一瞬で『コンボ攻撃』するなんてね~」
「いやいや、メルちゃんのセンスが完璧だったからだよ!こんなに綺麗に『炎の嵐』決まったのなんて初めてだよ!」
なんだかよくわからないけど、何やらすごいことが起こったことはわかった。
今の攻撃で3匹いたスライムのうち2匹が光となって消えた。
すると、残ったスライムが間合いを詰め、ラナさんのことを攻撃しようとする。
「……!ラナさん!」
ラナさんはこちらを向いて少し微笑んだように見えた。
「大丈夫だよ~」
ラナさんはスライムの攻撃を目視せずに高く飛び上がって避ける。
「ちゃ~んと、『見えてる』から」
そして勢いそのままスライムの背後に回り、勢いよく切りつける。
その攻撃が致命傷になったのか、スライムは光となって消えた。
「ふぅ…」
「やっぱラナの回避凄すぎでしょ……普通そんな避け方できないって……」
「そうかな~?ん~まぁでも、ちょっとメルちゃんにいいとこ見せたいな~って思って少し飛びすぎたかな~?」
「えぇ……まぁ、これで道は通れるようになったわけだし、森行こっか!」
「そうだね~。……ん?メルちゃん大丈夫?」
ラナさんの凄い回避からのカウンターを見てポカーンとしていると、ラナさんに心配されてしまった。
「だ、大丈夫ですっ!い、行きましょう!」
ラナさんは不思議そうな顔をしながらも、森の中へと進んでいった。
そのやり取りを見てジャスミンさんが笑っていたように見えたけど、多分気のせいだろう。
こうして私たちは、スライムたちとの戦いを制し、森の中に入ることに成功した。
先輩ってやっぱり憧れますよね。
私中学で吹奏楽部でクラリネットをやっていたんですが、1個上のパートの先輩が物凄くうまい人でして。
明らかに実力の次元が違う、そんな感じの先輩でした。
高校も音楽に精通している高校?に合格したらしくて、私もそんな先輩になりたいなって思ってました。
読者の皆様は尊敬している先輩、人物、こうなりたいのようなことはありましたか?
良ければコメント等で教えていただけると嬉しいです!
ご意見、ご感想等もお待ちしてます!