俺が通勤中に超サイヤ人になった話
この小説はフィクションです。登場人物、団体などは全て架空の名称です。
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俺は7時、丁度に家を出る
自転車通勤だから幾分かは修正できるけど、職場のある渋谷に着いて打刻するのは始業3分前
早く出勤しないと遅刻がどうとか、やる気がなんだとか、そういった話は俺もよく耳にするよ
実際にそれをやっている人を社会人と言うのだろう
でも、俺は腹が減っては戦ができぬタイプなんでね
腹が減っては戦ができないし
眠くても戦ができないし
悶々としてても戦ができない
ついでに珈琲の一杯でも飲まなくては戦が出来ない
自分の特性を理解しているから1分でも多く寝させてもらうよ
だからお前らより早く、かつ、定時に仕事を終えられるのさ
『時間が惜しい』
『労力が惜しい』
毎日時間に追われ、忙しくて、疲弊して、こんな考えに至っちまった
いや、至らせてくれたことに感謝するべきかもしれない
なぜなら、時間の使い方を考えられるようになれたから
例えば…
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職場までの通勤時間自転車で30分
自転車で走る距離は4.4㎞ぐらいかな
俺は行き帰り、音楽を聴きながら通勤している
歌の練習の一環さ
誇れることではないのかもしれないが
あぁ、勿論、聴くだけじゃない
『Fuuuuuuuuuyeah!!!』
(ピーターパン・シンドロームで検索)
風を切りながら、エッジボイスを効かせる
好きなパートでの裏声が大通りに響き渡る…
「やっぱ俺うめぇなw」
いい歳こいて、こんなことを思いながら駐輪場に自転車を止めてしまうよ…w
ニヤニヤしながら階段を上り、家の前に着いて
ガサゴソガサゴソ…
あれ?
これか?
あそこか…
どこだ…怒
見間違いだ怒
確信した
『鍵がねぇ!!!!』
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!!!!
怒り焦り怒り焦り怒り焦り怒り怒り
怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒。
「クソ……」
仕事を定時に終わらせた男は、家の目の前でただ、立ち尽くした
どうにもならないから、感情を押し殺し、鍵の在処の推測を立てていく
子供たちの笑い声が絶えない公園を歩きながら
俺の愛用している財布には鍵を入れる小部屋があるのだけど、そこに入ってないってことは職場のロッカーに差しっぱなしなんだろう
「ふざけやがって……まぁ、完全に俺のせいなんだけど」
冷たくなってきた風に当たりながら、ぼそっと呟いた
家に入れないし、また大家さんに鍵借りるのも恥ずかしい
(本当に恥ずかしながら、数日前にスーパー行ったときも鍵を失くしてしまったのだ)
「まぁ、もう、しゃーない」
音楽聞く時間が増えた、勉強してやろうと思いつつ、職場に向かった
もとい、戻った
とは言ったものの不必要な労力の為、足取りが重い
こんなんじゃ、音だって楽しめない
帰りはいいんだよ
だって帰りなんだから
でも、行きで人がごった返してるのは萎える
なんたって渋谷だからなぁ
はぁ、駐輪場から職場までの道のりがいつもより長く感じるよ
人の根をかき分けつつようやく職場に戻る
予想通り、鍵はロッカーに差しっぱなしだった。。(-"-)
同僚に鍵を差しっぱなしにしてるのを心配され、思い出す
因果応報
なんか…昔、俺も誰かのロッカーに鍵が差さってて爆笑したことあったわ。。
ともあれ…無事に鍵を見つけたことだし、人の根をかき分け(二回目)ようやく家に帰ってこれた
疲れた。。。。。
自転車で
職場から帰って
向かって
また帰って
流石に疲れた。。。
時間見たら1時間も無駄にしてることに腹が立つ
あまりにムカつきすぎて、洗面器に膝蹴りをかましてやった
『嗚呼、痛い』
昨日に作っておいたアボカドの刺身に豆腐サラダが一層旨く食べられそうだ
でも、その想いとは裏腹にサラダだけ食べてバタンキューしてしまった
『嗚呼、勿体ない』
せっかく、楽しみにしてた夕飯が
ZZZ...ZZz...Zzz...zzz...
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数時間後。
はっ!
なんか…外明るいぞ。。
朝の日差しに雀の鳴き声…
とそこになにかの違和感を感じ、起床する
『あれ?目覚ましは?』
あ、そうだ!!!!
疲れ果てて寝たから携帯、充電してないんだった
やbbbbavばい…!
やばすぎる…
日曜日だと勘違いするパターンじゃないのかよ泣
いや待て!!
この外の明るさは、まだ大丈夫だ
大丈夫なはず、だよな?だよな??
時計がないから俺は、パソコンを立ち上げる
この明るさだし、早く寝たんだから多分大丈夫だ
時計を見ると…
7時08分!!!!!(7時30分出勤)
ふざけんな!!
ふざけんな!
ふざけんな!!
ふざけんな!!!
ふざけんな!!!!
ふざけんな!!!!!
ふざけんな!!!!!!
ふざけうおおおおおおおおおおおおぉおおおぉぉ!!!!!
靴下を歩きながら履き、寝巻から着替えるという無駄な時間を使い、社員証と財布を持ったかを確認する
おかげで家を出るのに2分も掛かってしまった(このドタバタっぷりは隣人並びに下の大家さんに聞こえてたと思う本当にすまん)
マンションの階段を一段飛ばしで駆け下りて、バイクを乱暴に横滑りさせるシーンばりに自転車に乗り込む
次の瞬間には、こち亀の両津さながら腰を落とし、前屈みになり、立ち漕ぐ
ついでに、マンガの効果音の描写を付け加えるなら、背景いっぱいの加速線に、立体文字でシャカシャカシャカシャカといったところか
「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ…。」
久しぶり過ぎる運動に肺が疲弊していく
「なんで…」
「なんでだよ!!」
くそ!!
昨日あれだけ疲れたのにここからまだ、続くってのか…
酔っ払いのバカ共が横並びになって行く道を塞ぐ…
おい、こっちは急いでるんだよ
『どけ!!!!!!』
と、言いたいところだけど、絡まれたら本末転倒だから猛スピードで横を駆け抜ける
全神経を腕と脚に行き渡らせたくても、どうしても不安、心配が頭をよぎってしまう
怒られるだけなら良い
でも、これ本当に遅刻扱いにされたらどうなっちゃうんだよ…正社員にしてくれと言っている男が
元々朝なんて、急ぎ気味に運転してるし、そこから10分の遅れなんて取り戻せるのか…
いや、そもそも甲州街道の信号どうする?
山手通りのは?
明治通りもあるんだぞ…。。。
とりあえず自転車は駐輪場なんか停めてたら間に合わないから職場の脇にでもぶちこんで…
なんて考えてたら、都合良く信号が青に切り替わる
助かった……
…下り坂で体力を温存している中、ふと思う
そういえば俺、同僚の若者によく言ってるなぁ…
「お前なんで泣きそうな顔しながら、仕事してるんだよ。」
今の俺も、そんな顔してるんだろう
八の字眉毛にホンマモンの泣き顔(´;_;`)
坂道を下り終え、また急ぐ
いや、急ぎまくる
呼吸はまだ荒い…
筋肉は…まだ大丈夫
広い道路を見ながら思う
「こんなきれいな景色があっttく、苦しぃ……」
苦しいが、俺の身体というリソースならいくらでもあるから、速度をまだまだ上げていく
いや、求めていく
いや、渇望とでも言うべきか
それでも、心の中の俺が言う
『こんなんじゃ間に合わねぇぞ!!!』
21段階のギアを1番重くして、ダッシュ!!
鬼のようにダッシュ!!!
後姿は、さぞ土煙でも出てたんじゃなかろうか…
あと少し急いでいれば……
なんて絶対に思いたくないからダッシュ!!!
なにより、俺にこれだけ期待してくれる皆さんを裏切るわけにいかない
皆さんの怒った顔
皆さんの悲しむ顔
思い浮かべつつ……
急ぐ!
本気で急ぐ!!
『急げ!!!!』
……本当に疲れて喉カラカラになってくる……
あれだけ疲れて何も食べずに寝て、まだこんなことやってるんだからそりゃ…な
『いや、そんなことを言っている場合じゃないんだよ!!』
頼むぜ……俺ェ
猛スピードで宇田川町を駆け抜け、一瞬だけ横を向いてマークシティの時計を見る
7時--分
あれっ?
いつも通りの時間に見えたような…
実はやることやって、間に合わないぐらいの算段だから、そんなはずはないんだが…
懐疑的な想いから速度を緩めることはしなかった
前述の通り駐輪場なんか停めてたら間に合わないので宮益坂に突っ込む
だが、とうとう足に限界が来て、坂が上れない
それでも、そんなこと言ってる場合じゃないので腕で体を動かして立ち漕ぐ…
すると…
『ガチャン!!!』
え??
嫌な音がした
こんなときの偶然なのか、必然なのか宮益坂の坂道で力入れすぎてチェーン外れる
ここまで来て…
諦められるか!
やるだけやろう!!
近くの小道に自転車を投げ捨てて(^^;
今度は走る!!
周りの人に見られながらそんなこと気にも留めず(気にしながら)走りまくる
足が動かなくても、足で急ぐんだ!!!!!!
あとちょっとなんだよ!!
急げよ俺ぇ!!!
中々、いないだろう
ここまで呼吸を荒げながら会社にたどり着くやつは…
一目散に時計を見る
『今、何分だっ!!?』
7時21分…。
ま、、、、、間に合った!ハァハァ
なんか知らんけどいつも通りの時間に着いたw
本当になんか知らんけど俺んちから4.4㎞ある渋谷まで10分で着いちまった
何事もなかったかのように平然と出勤したよ、こいつは
後日、家の時計もマークシティの時計も調べたけど、どちらも誤差はなかった
今考えても不可解なくらいの速さだ
これが火事場のバカ力なんだろうか…
昨日の夜からこんなことが続き、この日は仕事量が特に鬼畜
いやぁ、ネタになった
偶々、鍵を忘れたこと
偶々、携帯を充電してなかったこと
偶々、朝起きられたこと
俺も納得の寝坊だ(めっちゃ笑顔)
これで起きてなかったらどうなってたか…
想像するだけでも怖い
俺も同僚の皆さんも笑わせられたから良かったけれど、本当にね
ホッと胸を撫でおろすって言葉通りだろうか
これ以上に的確な言葉が見当たらない
体力的にも、精神的にもhotした。。。(^^;)
あまりにも感情の振れ幅が凄いことになったから俺の心に刻んでやろうと、パソコンを立ち上げた
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自分の話だからだろうか
母親に傷口を喜々として見せる子供さながらだ
筆がいや、キーボードが進むよ
名前を付けて保存っと。
「俺が通勤中に超サイヤ人になった話」
最後まで読んでくれて本当に有難う!!
如何だっただろうか?
クスクスと笑っていただけたら幸いだ!
つまらなかったらコメントで好きなだけ俺を殴れ!