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個性豊かな人妖たちです2

さて、まずはかわいらしさと照らし合わせてみる。


Q.天子にかわいらしさはありますか?

A.天子は場の雰囲気を明るくはしそうだが、早苗と比べるとかわいらしさはない。


Q.上品さはありますか?

A.品も良さそうに見えず、言葉は汚い。


Q.聡明さはどうですか?

A.空気を読む・・・自分主義の天子には無理だろう。


Q.色気はありますか?

A.内面的に見て、感情的にならず、常に穏やかなのが色気の条件らしいが、感情論で動く天子には当てはまらないだろう。

外面的も重要らしいが、天子はある部分が乏しい。


Q.癒されますか?

A.・・・全く。

よって、パーフェクトプリティーとは言えないだろう。



さて、どう返事したら良いものかと考えていると、天子の側にいた永江(ながえ) 衣玖(いく)と目が合った。

青みがかった紫色の髪に天子と同じ真紅の瞳をした衣玖は俺に頭を下げる。

「総領娘様がいつもすみません」

「本当に。衣玖も大変だろ?」

「はい、それはもう・・・」

「どういうことよ?衣玖」

天子が衣玖を睨みつけた。

「さぁ、何のことでしょうか?」

天子が言っていたパーフェクトプリティーとは、この衣玖に当てはまるのではないだろうか。

先程の条件と衣玖を照らし合わせてみる。


Q.衣玖はかわいらしさがありますか?

A.衣玖の笑顔はかわいらしいと感じる。


Q。上品さはありますか?

A.衣玖は言動ともに品を感じる。


Q.聡明さはありますか?

A.空気を読むことについては天子と比べるまでもない。


Q.色気がありますか?

A.内面が良く、外面も天子にはないところがちゃんとある。

まさに天と地ほどの差だ。

例えるなら山とまな板だ。


Q.癒されますか?

A.個人的な意見だが、俺は衣玖をこの学園の生徒の中で珍しい癒し系の生徒だと思っている。

間違いない、衣玖こそが魅力的で、パーフェクトな女性そのものだ。



「真、居たぞ。個性が強い奴」

とりあえず真に声をかける。

「ん?誰だ?」

真は天子を見た。

「確かに天子は個性的な生徒だよなぁ。なにより衣玖ちゃんと比べるとある所が・・・うん」

「殺すぞ?お前」

真の目線に気づいた天子が今にも掴みかかりそうだったので真と共に1年の教室から撤収。

「待て!この野郎!」

しかし、天子は教室を出て追いかけて来た。

俺と真は思わず逃げる。

「真!お前謝れよ!」

「なんでだよ!本当のこと言っただけだろ!!」

「アイツがその部分気にしてるのは真も知ってるだろ!」

言い争いながら走る俺と真。

「とりあえずこのまま逃げてもいつか捕まる!二手に別れるぞ!」

「おうよ!」

俺は渡り廊下、真は2階の方へと別れた。

二手に別れたのにはある考えがあった。

天子は真の一言に怒ったのだ。

俺と真が別れたら間違いなく真を追いかけるだろう。

そう思い渡り廊下に出ると、俺は走るのをやめた。

「下僕!待ちなさい!」

しかし、天子は真ではなく俺を追いかけて来た。

止めた足を再度走らせる。

「なんでだよ!?俺じゃなくて真だろ!?」

「下僕も逃げたんだから同罪よ!」

「それはお前が追いかけてくるからだろ!?」

何故俺の方に来るのかはわからないが捕まるわけにはいかない。

俺は全力で走った。



「下僕の奴、どこ行ったのよ・・・!」

天子が下駄箱の辺りをキョロキョロ見回し居ないのを確認すると、別の所へ向かった。

「ふぅ・・・なんとか撒いたか」

去っていく天子の後ろ姿を確認しながら、俺は下駄箱の陰から出た。

天子も下駄箱を確認していたが、その死角に回り込むことで何とか見つからずに済んだのだ。

昼休みの時間もそろそろ終わる。

そう思い、教室に戻ろうとした、その時

「前からずっと好きでした!付き合ってください!」

その声が聞こえ、俺は思わず声が聞こえた方を見た。

どうやら声は職員室へと繋がる渡り廊下から聞こえたようだ。

いけないと思ったのだが、こっそりと覗く。

そこに居たのはセーラー服を着た中等部の少女。

この少女が男子に告白したのかと思ったが、良く見ると、もう1人も女だった。

俺から見える後ろ姿の少女は白髪のロングヘアーに大きなリボンと毛先に小さなリボンを複数つけ、ブレザーを着ていた。

「あ・・・あのな、何度も言うけど、私そっちの趣味ないんだよ。ごめん」

白髪の少女がそう言うと、告白したであろう少女は走り去っていった。

「・・・おい、盗み見は感心しないぞ?」

白髪の少女は俺に振り返り言った。

「いつも大変だな。妹紅」

俺は少女に話しかけた。

少女の名前は藤原(ふじわらの) 妹紅(もこう)

見た目や気の強さから女子に人気がある。

その人気は学年を問わず、あの生徒だけでなく他校の生徒からも告白されることがあるそうだ。

「今日はこれで3回目だ。もう勘弁してほしい」

妹紅曰く、多い時は1日5回も違う生徒から告白されるらしい。

「もう、付き合ったらどうだ?」

「岳、今のは冗談と受け取って良いんだよな?」

指の関節を鳴らしながら妹紅が俺を見る。

「お、おう。冗談だよ」

「そうか、良かったよ。手を出さなくて済んで」

妹紅とはバイト先で知り合った。

親から仕送りをもらっているとはいえ、仕送りに頼りっきりの生活は嫌だと感じていた俺は、ある所で働いている。

その場所は『焼肉屋・地霊殿』。

働く頻度は多くないが、そのバイトの際に妹紅と知り合った。

学園は高等部からでないとバイトを許可していないのだが、当時中等部だった妹紅はこっそり働いていた。

本当はいけないのだが、焼肉屋・地霊殿の店長である火焔猫(かえんびょう) (りん)が許可しているので妹紅は学園に知られることなくバイトができていた。

店長である燐も学園の中等部であり、当時同じ中等部で良く働く妹紅を手放したくなかったのかもしれない。

バイト仲間というのもあり、妹紅とは普通に話す仲である。

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