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新入生と入学祝いです2

「あの・・・流さん」

気付くと鞄を持った雛が流の袖を引っ張っていた。

「あぁ、すまない。帰ろうか」

「あ、すみません。引き止めてしまって・・・」

「俺たちこそいろいろ聞いて悪かったな」

「いえ、それでは僕も失礼します」

そう言うとヨシキは教室へと戻って行った。

「相変わらず真面目なやつだよな」

「そうだな」

俺と真はヨシキを見ながら言った。

「じゃあ、俺たちも帰るから・・・ん?」

「どうした?りゅ・・・」

突然目の前が真っ暗になった。

「だ~れだ?」

耳元で囁かれる声。

こんなことをするのは1人しかいない。

「・・・早苗だろ?」

「当たりで~す!流石先輩です!」

視界が開け振り返ると、そこには早苗が居た。

雛より少し明るい緑色のロングヘアーに蛙と蛇の髪飾りをした少女、東風谷 早苗は俺の顔を見て満面の笑みを浮かべた。

「先輩!会いたかったです~!」

「お、おう。早苗、久しぶりだな」

「はい!あ、それより見てくださいよこの制服!」

早苗はくるりと回る。

「セーラー服も可愛いかったんですけど、ブレザーも大人っぽくて良くないですか!似合ってますか?」

「ちょー可愛いよ早苗ちゃん!」

俺が答える前に真が答えた。

「ありがとうございます。村岡先輩には聞いてないですけど」

早苗は笑みを浮かべているが目が笑っていなかった。

「似合ってるよ」

「え?本当ですか!?えへへ」

早苗は嬉しそうに頬を緩めた。

「可愛いだろ?うちの早苗は」

いつのまにか俺の後ろに神奈子が立っていた。

「!?」

「あ、神奈子様!」

「ダメだろ?早苗。ここでは神奈子先生だ」

「はい!神奈子先生!」

「うん!よしよし!」

神奈子は満足したのか去っていった。

まさか早苗を見るためだけにここまで来たのか、あの神は・・・

とにかく、連れ戻しに来た訳ではないようなので俺はホッとした。



「それじゃあ先輩、帰りましょう!鞄持って来ますから待っててくださいね!」

「あぁ、わかった」

早苗は教室に入り鞄を持つと、すぐに戻ってきた。

「今日先輩と行きたいところがあったんですよ。知ってます?ショッピングモール付近に、最近出来たケーキ屋さんなんですけど、あそこはケーキバイキングもできるらしくて」

ショッピングモール付近のケーキ屋か。

俺も知っている。いつかリアと行こうと思っていた店だ。

「ん?東風谷もあそこの店に行くのか?俺も雛と行こうと思ってたんだ」

流が早苗に話しかけた。

「そうなんですか?それでしたら一緒に行きませんか?」

「そうだな。雛も構わないよな?」

「はい、大丈夫です」

「あ、ちょっと待ってくれ!リアも連れて行きたいんだけど良いか?」

「もちろんですよ!今から迎えに行くんですよね?私もご一緒しますよ」

「それならリアちゃんを迎えに行ってからケーキ屋に行くとしよう」

「そうですね」

俺たちはリアを迎えに行くために初等部が居る校舎へと向かった。

「おい!俺を1人にすんなよ!!」

真は置いていかれないようにと俺たちの後を追いかけた。



リアを迎えに行き、ケーキ屋に行くことを伝えると、一緒に居たルーミアも行きたいと言い出したので7人でケーキ屋へ向かうことになった。

ルーミア、彼女は常闇妖怪とこやみようかいと言われている妖怪であり、過去は人を襲っていたこともあるらしい。

しかし、人間の食べ物を食べた彼女はそれ以降人を襲うことはしなくなったのだという。

そもそも、人を襲う妖怪は幻想郷学園には入学できない決まりとなっているので通えているということは安全であることなのだろう。



俺達が向かっている最近出来たケーキ屋は人間以外に妖怪も出入りが出来るという珍しい店だった。

人間と妖怪が共存していると言っても、妖怪は出入り禁止だったりする店は数多くある。

そんな中でこのような店が出来るのはこれから人間や妖怪が共存していく上で、とても大事なことだと感じている。

店に入り、俺たちはケーキバイキングを頼んだのだが・・・

「よく食べるな・・・」

リアの隣で山積みになったケーキを頬張るルーミアを見ながら俺は呟いた。

「ルーミアちゃん、たくさん食べるもんね?」

「食べ放題だからいっぱい食べれるのだぁ~!」

ケーキをどんどん口の中に入れていくルーミアに、リア以外の俺たちは思わず見入ってしまっていた。



ケーキに夢中なリアとルーミアをよそに、俺たちはいつものように話しをしていた。

早苗と雛、俺たち男組で雑談をしていたが、早苗がふと雛のリボンがいつもと違うことに気付いた。

「雛ちゃんのそのリボン可愛いですね~!どこで買ったんですか?」

「これは流さんから、入学祝いのプレゼントでいただきました」

「そうなんですか!とても似合ってますよ!」

「ありがとう・・・流さんが選んでくれた物だから嬉しいです」

「いいな〜!羨ましいです〜」

何やら視線を感じ、そちらを見ると早苗と目が合った。

「・・・どうした?」

「先輩、私には入学祝いのプレゼントないんですか?」

「え?え~と・・・」

何て答えようか迷っていると、隣に座っていた真が助け舟を出してくれた。

「岳も早苗ちゃんにプレゼントしたかったみたいだけどさ、ほら、こいつは早苗ちゃん以外にも知り合いがたくさん居るだろ?早苗ちゃんのプレゼント考えて、他の人たちのプレゼント考えてってやってたら結局決めれられなかったらしいんだよ。な?」

「もう、先輩は優しすぎますよ!・・・まぁ、そこが良いんですけど・・・」

早苗は納得してくれたようだ。

「ありがとな、真」

「おうよ」

小声で言った俺に真も小声で返した。

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