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新入生と入学祝いです

「岳!お前は残れ!」

入学式が終わり、昼の授業も終えた後の教室で帰る者は帰り、部活に行く者は部室へ向かう中、俺は神奈子に呼ばれた。

「なんで昨日職員室に来なかった?」

「・・・だって、どうせいつもの話ですよね?」

「わかってるなら尚更だろ!お前たちの将来に向けた大事な話なんだ。私が納得できる答えを出すまで帰れると思うなよ!」

「・・・勘弁してください」

これからまた『お話』があるんだろうと思った俺は逃げ道を探そうと周りを見ていると、教室を出ようとしている真と流に気付いた。

「おい!真、流、どこに行くんだ?俺も行くよ!」

俺はチャンスとばかりに鞄を持ち、2人を追いかけて教室を出た。

「あ!こら岳!話はまだ終わってないぞ!」

神奈子が呼び止めるが気にせず真と流に合流した。

「どこ行くんだ?」

「流が雛ちゃんのこと気になるから、迎えがてら1年の教室見に行くんだと。俺も後輩の顔見てぇから付いてく感じ」

「なるほどな。俺も行くよ」

俺たちは高1がいる教室へと向かった。

高等部の校舎は3階建てになっており、1階から順に高1、高2、高3の教室がある。

もちろんうちは各学年1クラスしかないため、空き部屋は美術室、家庭科室などの5教科以外の授業専用の教室や、文化部専用の部室となっている。

俺たちは1階に降り、1年の教室を覗いた。

「お、数人だけど男もいるな」

女子生徒が多い中、男子生徒の姿も見えた。

「て、ちょっ!?あいつデカくね!?」

「本当だな・・・」

男子生徒の中には、他の男子より頭二つくらい大きな者もいた。

「根は良い奴だと願おう」

「だな」

俺と真が話していると、1人の少女が近づいてきた。

緑色のロングヘアーを胸元で留めた少女は、流の元へと向かう。

彼女が鍵山 雛だ。

胸元で髪を留めているリボンは、昨日流の選んだものになっていた。

「流さん、どうしたのですか?」

「一緒に帰ろうと思ってな、迎えに来た」

流の言葉を聞き嬉しそうに微笑んだ雛は、隣にいる俺たちを見た。

雛は何も言わず、ぺこりと頭を下げた。

「雛ちゃん!そのリボン似合ってるね!」

「え?あ、あの・・・」

真の声を聞いた雛は流の後ろに隠れた。

「おい、雛。岳たちは悪い奴じゃないって」

「はい、古郷先輩はわかるのですが・・・」

雛は真を見る。

「え?俺まだ嫌われてる!?」

「初めて会った時がよほどトラウマだったんだな・・・」

流が言うトラウマとは、初めて雛と会った時、真が雛の手を掴んでよろしくと挨拶をしたことだろう。

真もまさか雛が男性恐怖症だったなんて知らなかったと後悔していたのを覚えている。

「ごめん、雛ちゃん!あの時のことは反省してるから!」

「雛も真が悪い奴じゃないってのはわかってるはずさ。でも、慣れるまではまだ時間がかかりそうだ」

俺でも流が居ないと雛から話しかけてくることはないほどだ。

よほど男性が怖いのだろう。

「待ってるから鞄取って来い」

「はい」

雛は流から離れると、自分の席に戻り、帰り支度を始めた。

「古郷先輩!大王路先輩!」

雛が出てくるのを待っていた俺たちは、廊下の方からの声にそちらを見る。

そこには中学生の時、当時後輩だった中田 ヨシキ(なかた よしき)の姿があった。

髪は黒髪で耳が出るように切っており、身だしなみもきちんとしていることから相変わらず彼の真面目な性格が窺える。

「ヨシキ!久しぶりだな!」

「古郷先輩!大王路先輩!お久しぶりです!」

俺たちの所へ来たヨシキは深く頭を下げた。

「久しぶりだな、ヨシキ。少しは強くなったか?」

俺と真、流は中学時代剣道部に入っており、ヨシキはその後輩だった。

剣道の腕も良く、教えたことに対して素直に従うかわいい後輩である。

「いえ、古郷先輩や大王路先輩に比べたらまだまだですよ!」

俺と流は剣道全国大会で首位を独占し、中学や高1の個人戦では同じ学校なのに優勝争いをしていた。

「こら、ヨシキ。俺も居るんだぞ?」

「あ、村岡先輩もお久しぶりです!」

「あ、ってなんだ!酷い扱いだなまったく!」

「ヨシキもこの学園に入ったのか」

「はい!僕、古郷先輩と大王路先輩みたいに強くなりたくて、先輩たちのいるこの学園に入学したんです!」

「ははは、俺たちみたいになりたいか。嬉しいことだな。なぁ、岳」

「あぁ、そのために女子ばかりのこの学園まで来てくれたんだからな」

「たしかに同級生が女の子ばかりなのは気になります・・・。でも、おかげさまで殆どの男子とお話しすることができました」

「じゃあさ、ヨシキ、あのデカい奴何者?」

真が背の高い男子を指差して言う。

「彼は元鬼(げんき)君。半人半鬼らしいです。僕も最初は怖かったんですけど、話してみるととても気さくな人でした」

「へぇ~」

「他にも彼方(かなた)君に大福(だいふく)君、まだ話したことないですけど悠人(はると)君?を含めた5人の男子が居ます」

ヨシキによると、彼方は常に女装をしていて、大福は小豆はかりと言う妖怪で、元鬼とは幼馴染らしい。

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