遊園地とお出掛けで問題発生です6
「みんな・・・どこぉ・・・」
リアは誰も居ない遊園地を歩いていた。
周りの音も聞こえない。遊園地だけではなく、世界中も自分しか居ないのではないかと思わせるほどの静かな所でリアは遂に我慢出来ずに泣き始めた。
音も聞こえない所で、リアの泣き声だけが響く。
「・・・っ・・・!」
「・・・ぁ!」
「っ!?」
何も聞こえない場所で自分の泣き声以外の声が聞こえて、リアは周りを見る。
ほんの微かに聞こえた声。それでもリアは誰の声なのかすぐにわかった。
「お兄ちゃんっ!!」
リアは聞こえた声の主の名前を呼び出した。
「お兄ちゃんっ!どこぉ!」
リアは涙を流しながら叫んだ。
「っ!?今リアの声が・・・!」
微かにリアの声が聞こえた気がした俺はリアの名前を呼ぶ。
もしかしたら気のせいかもしれない。
だが、俺はこれが気のせいではないことを信じ、リアの名前を呼び続けた。
「・・・ちゃん!」
「っ!?聞こえた!」
間違いない、どこからかリアの声が聞こえてきた。
「リアぁ!どこだぁ!」
「お兄ちゃんっ!お兄ちゃんっ!」
リアは微かに声が聞こえる所へと走る。
「リアぁ!」
微かに聞こえていた声がはっきり聞こえてきた。
「お兄ちゃ~ん!お兄ちゃ~ん!!」
「岳!?どうしたの!?」
「古郷君!?どうした!?」
俺の声を聞いたのか霊夢と藍がやって来た。
「霊夢!藍先生!リアの声が聞こえた!この辺りだ!」
俺は2人に言った。
「「っ!?」」
俺の声に2人は驚くと、周りを見る。
「見つけた!ここよ!」
霊夢が微かに出ていた空間の歪みを見つけた。
「おそらくリアちゃんがこっちの声に反応したんだ。あとはリアちゃんの正式な場所がわかれば連れ戻せる!」
「岳!アンタの声に反応したんだからそのまま呼び続けなさい!」
俺は頷くと、リアの名前を呼び続けた。
「あれは・・・」
聞こえて来た声を頼りに走っていたリアの前に微かな光のようなものが見えてきた。
その場所はリアが始めに居た巨大迷路の通路。
リアの前にある微かな光からリアを呼ぶ声が聞こえた。
「っ!?お兄ちゃんっ!」
リアは光に向かって走り出した。
「っ!?見つけた!今から連れ戻すわ!」
霊夢が札を取り出すと、空間の歪みに向かって振る。
すると、歪みが割れて、その中からリアの姿が見えた。
「リアっ!」
「お兄ちゃん!」
リアが開いた空間から俺に一直線に走って抱きついて来た。
俺もリアを抱きしめる。
「良かった・・・!本当に無事で良かった!」
目から涙を浮かべながら俺はリアを見る。
俺をしっかり掴んだリアの手は震えていた。
本当に怖かったのだろう。
無事でよかった・・・!
藍も目に涙を浮かべながら俺とリアを見ていた。
リアを見つけることが出来た俺たちは橙たちと居た詩音と合流する。
合流した時も、リアは俺にしがみついたまま離れなかった。
「リアちゃん、見つかって良かった!心配んたんだよ!」
橙たちには迷子になったと伝えたらしく、リアの周りに集まる。
「心配かけてごめんね・・・」
橙たちの姿を見て少し落ち着いたのか、リアは俺から手を離して答えた。
リアが見つかったのは、遊園地でちょうどナイトパレードが始まった時間帯だった。
俺は見ずに帰ろうとしたが、リアがナイトパレードが見たいと言ったので、俺たちはナイトパレードを見ることにした。
ナイトパレードが始まり、それを見ている俺たち。
「あたいも混ざるぞ!」
「ダメだよ!チルノちゃん!」
ナイトパレードに混ざろうとするチルノを大妖精が止めていた。
藍は橙が見やすいように肩車している。
「リア、ちゃんと見えるか?」
「うん」
「そうか。見えなかったら肩車してやろうかと思ったけど必要はなさそうだな」
「私そこまで小さくないから大丈夫だよ」
リアは俺の隣でナイトパレードを見ている。
霊夢や詩音もナイトパレードを見ていた。
霊夢や藍が居なかったらリアを見つけることが出来なかったかもしれない。
2人には本当に感謝だ。
「そういえば・・・なぁ、霊夢」
「何?」
ナイトパレードを見ていた霊夢は俺を見る。
「どうしてあんな所に居たんだ?」
「なっ!?」
霊夢が焦ったような表情をした。
「あ、確かに。あそこの近くにここ以外何もないよね?」
詩音も思ったのか口を開く。
「あ、あれよっ!怪しい妖気を感じたからここに来ただけよ!」
「なるほどな~」
霊夢は博麗神社の巫女である。
博麗神社の巫女は先祖代々妖怪退治をしていると言うのを聞いたことがあった。
俺は素直に納得した。
「・・・ま、いいか」
詩音も納得したのかナイトパレードに視線を戻した。
ナイトパレードを全て見るつもりはなかったのだが、リアたちが釘付けになっていたので最後まで見終え、帰る前に俺たちは観覧車に乗ることにした。
流石に全員が1つのボックスに乗ることが出来ないので、藍と橙、チルノ、大妖精の4人と俺、リア、詩音、霊夢の4人で別れて乗ることにした。
「見て!街明かりが綺麗だよ!」
俺たちは観覧車から外を見る。
リアの言う通り、夜景が綺麗だった。
俺たちは観覧車から夜景が見えなくなるまで、外の景色を見続けていた。
観覧車から降りた俺たちは遊園地で解散となった。
「それじゃあ、私は彼女たちを連れて帰る。古郷君、リアちゃんのことをよろしく頼むよ」
「はい」
「ばいば~い!」
手を振るリアに藍たちも手を振りながら帰っていった。
「それじゃあ私たちも帰りましょうか」
「そうね」
「そうだな」
俺たちは一緒に歩きながら帰る。
「じゃ、私はこっちだから」
博麗神社へ続く道で霊夢は言う。
「あぁ。霊夢、今日は本当にありがとな」
「いいわよ、これも仕事みたいなものだしね」
霊夢はそう言って博麗神社へ続く道を歩いていった。
次は俺の家が近いのだが、詩音を1人で帰らせるのが心配だった俺は、リアの了承を得て詩音の家へと向かうことにした。
「家まで送ってくれてありがとう。それじゃあまた学園でね」
「あぁ」
「ばいばい」
「うん、またね」
詩音はリアの頭を撫でると、家の門を開けて中へと入っていく。
詩音が家に入るのを確認すると、俺はリアと一緒に家に帰った。
「リア、ちょっと風呂沸かしてくるからリビングで待ってな」
家に入った俺はそう言って浴室へと向かうが、リアは付いてきた。
俺が風呂を洗って沸かせるまで、リアは俺を見ていた。
風呂を沸かした俺はリアと一緒にリビングへ入る。
2人でソファーに座り、何気なくテレビを付けた。
テレビでは夜のワイドショーが行われており、ちょうど、脱獄犯が逮捕されたことについての議論がされていた。
テレビでは、ワイドショーに出ている人たちがこれからの妖怪との共存について話しているようだった。
「っ!?」
俺はすぐに別のチャンネルに変えた。
別のチャンネルではバラエティー番組が放送されていた。
「・・・」
俺は隣に座っているリアを見る。
リアは何も言わなかったが、右手で俺の服を掴んでいた。
「リア・・・」
「怖かった・・・」
リアが口を開いた。
「すまない、リアに怖い思いをさせてしまって・・・ただ、犯人は捕まった。全員があんな酷い奴らじゃないから」
「違うの!」
そう答えるリアの目は真剣だった。
「確かに襲ってきた人も怖かったけど、本当に怖かったのは自分の力・・・無意識に起こってしまった力が怖かったの!」
「・・・」
「今日はたまたま被害を出さなかったけど、もしかしたら次は誰かを巻き込むかもしれない・・・!」
「大丈夫さ、リアの力は被害を出すことはないはずだから」
「でも・・・!」
リアは俺を見る。
その目には涙が浮かんでいた。
俺はリアの能力について何も知らない。
藍も言っていた。
『リアちゃんの作り出した空間は私でも気付くことが出来なかった。そう考えると実力は紫様・・・いや、もしかしたらそれ以上かもしれない・・・。それを無意識に起こしたと言うのだから、もし何かの拍子に能力が暴走でもしたら、リアちゃんが危ないかもしれない・・・。もちろん、能力に巻き込まれた者もだがな』
「・・・」
リアは無意識に力が発動したのを恐れている。
俺にできることは・・・
「・・・お兄ちゃん?」
俺はリアを優しく抱きしめた。
「確かに俺はリアの力について全く知らない。でも、これだけは言える。俺は、リアの兄だ。何があっても俺はリアの味方であり続ける」
「・・・」
リアは何も言わなかったが、やがて嗚咽が聞こえてきた。




