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プロローグ2

真と文は昔からの知り合いらしい。

何でも真の親がジャーナリストで、同じジャーナリズムに傾倒している文と意気投合したことからちょくちょく家に遊びに来るらしい。

真曰く幼少の頃からの付き合いとのことだ。

ただ、文は妖怪なので幼少の頃から変わらない姿なのだと聞いたが。

「お前たちホント似てるよな。腐れ縁ってやつか?」

俺は2人を見て呟いた。

「「どこがだ(ですか)!?」」

「・・・(息ぴったりじゃないか)」

真と文が似ていると思った理由は、彼らの特徴があまりにも似ているからだ。

真は小学校に入学したときからの付き合いで、中学、高等部も同じ俺の親友だ。

ただ、昔から彼との付き合いの中で俺は困っていることがあった。

真の行動力はとても凄まじく、これにより友達が増えたりなど良いこともあるのだが、テレビや本の影響を受けやすい彼は、事あるごとに俺を巻き込んで様々な問題を起こしてきた。

おかげさまで、俺は小中高で周りの先生や生徒から真と同じ問題児だと認識されている。

中学校からは俺以外に流も巻き込まれることもあったが、なぜか彼は周りから問題児扱いされていない。

文も真と同じタイプだ。

真が女になった姿が文なのではないかと俺は密かに思っている。

「そうだ、腐れ縁って言ったら岳だって居るじゃないかよ。まだ来てないけど・・・あ、来たぞ。おーい!」

教室に入ってきた女子生徒に真が手を振る。

入ってきたのは2人組で、1人は黒髪のロングヘアーに大きな赤いリボンを付けている少女。もう1人は金髪のロングヘアーの少女だった。

「おう、おはようだぜ!」

最初に答えたのは金髪のロングヘアーの少女こと、霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)だった。

魔理沙は自分の席に鞄を置くと、もう1人の少女と共にこちらへと来た。

「岳もおはようだぜ!」

「おう、おはよう魔理沙、霊夢」

「・・・はぁ、またアンタの顔を毎日見なきゃいけないなんて。春休みが恋しいわ」

俺に皮肉交じりに返した黒髪のロングヘアーの少女は博麗(はくれい) 霊夢(れいむ)

博麗神社と呼ばれる神社に住んでいる巫女である。

霊夢は幼い頃からの知り合いだ。

「とか言って、春休み私といる時アイツから連絡こないとか言ってたじゃないかよ」

「は!?言ってないし!何で私が岳のことを・・・!」

「誰も岳なんて言ってないぜ?」

「なっ・・・!アンタねぇ!」

「やばっ!霊夢が怒った!」

逃走した魔理沙を霊夢が追いかけて行った。

「相変わらず仲良いな」

「だな」

そう言う真に俺は返した。

「なんか面白そうなので私も付いて行きますかね」

文はカメラを持つと、霊夢と魔理沙の後を追いかけ走り去って行った。

教室を出て行った文の方を見ると、廊下で捕まった魔理沙の襟を持った霊夢の姿が見え、文がその光景をカメラに収めていた。

「おはよ」

「おはよう、詩音」

霊夢たちの光景を見ていた俺は、その名前を聞き、ふいに声が聞こえた先を見た。

視線の先で黒髪のロングヘアーの少女はクラスメイトに挨拶をしていた。

見つめていると、その少女と目が合った。

俺は咄嗟に目を逸らしたが、どうやら彼女には気付かれてしまっていたようで、一直線に俺の席まで歩いて来た。

「ねぇ、何で目を逸らしたの?」

少女、神城(かみしろ) 詩音(しおん)は俺に尋ねる。

「おはよ、詩音」

「おはよう真君。ねぇ、岳?」

詩音は俺の顔を覗き込む。

「何で顔を逸らしたのかなぁ?」

「・・・何でもないよ」

「ふぅん、そう」

そう言うと詩音は、俺のネクタイに手を伸ばした。

「なっ!?何するんだよ!?」

いきなりネクタイを触られて驚いている俺を気にせずに詩音はネクタイを整え始めた。

「よし、ネクタイがズレてたよ。始業式なんだからしっかりしなきゃ」

「・・・ありがとう」

「どういたしまして」

詩音は微笑むと自分の席へと戻っていった。

「そんなんだからいつまでたってもアタックできないんだよ」

「うるさい」

俺は真の頭を叩いた。

詩音も霊夢と同じ幼少の頃からの付き合いだ。

家が近いこともあり、幼い頃はよくくだらない遊びをしていたのを覚えている。

そして、俺が密かに想いを寄せている人でもある。

ただ、容姿端麗で成績は学年トップ、誰にでも優しい詩音と俺が釣り合わないことはわかっている。

告白する勇気はなかった。

「とっとと玉砕すりゃいいんだよ。俺みたいにさ」

「そんなことできるかよ。・・・って、おい、お前告白したのか!?」

「ん?入学してすぐ」

「まじか・・・。その行動力だけは尊敬するよ」

「ま、ごめんなさいってさ、物の見事に玉砕しちまったけどな。おっ!流いいところに。聞いてくれよぉ、岳が詩音のこと・・・」

真が流に気付き、声を掛ける。

「おいこら!流に言う必要ないだろ!」

真面目で日本男児の風格がある少年ことりゅうは何故かこちらを見てため息を吐いた、

「お前ら、朝っぱらから元気なのは良いことだが、移動しなくて良いのか?」

気がつくと教室には俺たちしかいなかった。



俺たちは始業式があるため、急いで体育館へと向かった。

学園の体育館は通常の体育館より広く、バレーボールコート4面分あり、2階には客席まで付いていた。

全生徒含めて200人近くが入っても、ガランとしている体育館で始業式が始まった。

俺は周りを見る。

明日行われる入学式のため、1年生の椅子のみがステージ前に用意されていた。

「やっぱり1年生の姿がないな」

「本当だな、明日の入学式までは誰が来るかわからないってことか」

「とか言ってもここの中等部から高等部に上がるだけだからな。だいたいわかるだろ」

俺や真は高等部1年の話をしているが、もちろん、新しく入学する生徒たちもいる。

「それでは学園長のお話です」

学園長がステージに上がる。

初等部くらいの背で、頭には2本の角が生えている。

伊吹(いぶき) 萃香(すいか)

鬼の種族でありながら、この幻想郷学園の学園長も勤めている。

「え~、4月になり少し温かくなって来た今日この頃、こうして皆に会えることを嬉しく思います。しかし暖かくなったとはいえまだまだ4月、夜には冷え込むこともある。と、なればやはり熱燗が欲しくなる!夜桜を仰ぎながらの熱燗もまた一興!」

萃香の話に俺と真はため息を吐いた。

学園長である萃香なのだが、酒が好きすぎるせいで話の内容が最終的に酒の話になるのだ。

「今日も始まったな、学園長の酒話」

「だな。妖怪のやつらはともかく、俺たちはまだ飲めねんだから酒の話されてもってやつだよな」

ちなみに妖怪でも学生である以上お酒は禁止されている。

『この学園の生徒である以上、種族、人種に関わらず皆平等であれ』と言うのがこの学園の教訓だ。

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