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異国からの転入生です2

「岳、それなんだ?」

流が紙を見ながら尋ねる。

流の言葉に真たちも俺の机の上に置かれている紙に気付く。

綺麗に四つ折りにされた紙は始めから入っていたとは思えない。

おそらく今日の間に誰かが入れたのだろう。

しかし、誰が・・・

「なんだろうな、これ」

「もしかして、ラブレターかぁ?」

「ははは!そんなわけないだろ?」

真の冷やかしに、俺は笑いながら紙を広げた。

紙にはこう書いてあった。

『昼休み、学食外のテラスでお待ちしています。咲夜』

「はぁ!?お前これはヤバイだろ!!」

横で覗いていた真が大きな声を出す。

「若いとは言え先生だぞ!てか、羨ましい!」

「痛っ!?」

何故か霊夢に足を踏まれた。

「え?マジか!てかなんでいつもお前なんだよ!」

「おい、とりあえず静かにしろ!周りの生徒も見てるだろ!?」

俺は真を落ち着かせると、集まっている皆が俺の机を囲み話し合った。

「とりあえず行くべきじゃねぇか?」

「気付かなかったフリして行かないってのもありじゃないの?」

「私は面白そうだから行くべきだと思うぜ!」

「これはスクープですね!絶対に行くべきです!」

文が魔理沙に続いて言う。

「文!?いつのまに居たんだよ!?」

「はい、真が大きな声を出してましたからね。何かあったのかと思って来てみたらってやつですよ」

一番知られたくない奴に知られてしまった・・・

俺は真を小突いた。

「射命丸とは違う理由だが、呼ばれた以上は行くべきだと思うな」

「じゃあやっぱり行った方が良いのかな?」

それに頷く真、流、魔理沙、文の4人。

「何もラブレターと決まった訳じゃないでしょ?咲夜先生、昼休みにテラスに居るのを見たことあるから」

「そうね、詩音の言う通りかもしれないわ」

詩音の言葉に霊夢が頷いて言う。

「だったら神奈子同様口で言うと私は思うぜ?それをこんなわかりにくい方法で呼ぶんだから絶対に何かあるって」

「・・・」

「詩音の言う通りただ用があって呼んだのかもしれないからな。とりあえず行ってみるよ」

「岳、行くんならちょっと頼みがある」

真は俺にある提案を言い、俺はそれに頷いた。



昼休みの時間になり俺は弁当を持つと、学食外のテラスへと向かった。

真が学食外にテラスが出来ていたと言うのは聞いていたが、確かにテラスが1つ置いてあった。

そのテラスには4人いた。

4人の内2人が立っており、1人は咲夜であった。

もう1人はテラス全体に影がかかるほどの大傘を持っているチャイナ服の女性だった。

確か着任式の時に咲夜と共に紹介されていた新任の教師だ。

そして、テラスには2人の中等部が座っていた。

なぜ中等部だとわかるかはその2人が学園のセーラー服を着ていたからである。

1人はウェーブのかかる青みがかった銀髪の少女、もう1人は黄色の髪をサイドテールにまとめた少女だった。

そして、2人とも翼が生えていた。

青みがかった銀髪の少女は蝙蝠のような翼が、黄色の髪の少女は一対の枝に7色の結晶がぶら下がっているような翼をしていた。

「良く来たわね」

青みがかった銀髪の少女が俺に話しかける。

「どうぞ、古郷君」

咲夜が椅子を引くと俺はその椅子に座った。

「あの、どうして俺を呼んだので?」

咲夜名義だったがおそらく呼んだのはこの少女だろうと感じた俺は質問した。

「そうねぇ、興味があったのよ」

「はぁ」

俺は弁当箱を開ける。

向こうも食事をしているので構わないと思ったからだ。

「貴方は数少ない男子の中でも特に有名なんでしょ?生徒たちや教師からもそう聞いたけど」

「有名・・・はぁ・・・」

全くと言って良いほどその自覚がない。



『有名・・・はぁ・・・』

学食内でスマホから声が聞こえた。

俺や少女たちの会話は、全て学食内にいる真たちに聞こえるようになっていた。

俺が真と通話を繋いだままのスマホをポケットに入れて少女たちと会話をし、真は通話中のスマホをスピーカーにして流していたのだ。

これは真が話した提案である。

スピーカー状態のスマホを聞いているのは真、霊夢、魔理沙、文の4人。

詩音は映姫と、流は雛との食事でこの場には居なかった。

「興味があるねぇ~、変わった理由で岳を呼んだんだな」

「とりあえずラブレターじゃなくて残念だったぜ」

真や魔理沙が言う中、スピーカーから会話の声が聞こえてくる。



「結局貴女は俺に興味がある、周りに有名だからという理由で呼んだのですか?」

「悪い?」

「いえ」

悪いとは言わない。

ただ、それだけのために手紙を使って呼び出すのは大袈裟ではないかと感じた俺だった。

おそらく真たちも思ったことと違って落胆しているのではないだろうか。

「お姉様、さっさと言えば良いのに」

黄色い髪の少女がお菓子を摘みながら話しかける。

「そうね、フラン。えぇと、確か・・・」

「古郷 岳です。お嬢様」

「そうだったわね。古郷 岳、単刀直入に言うわ。私の執事となりなさい」

「はい?」

「レミリアお嬢様はスカーレット家の主で、妹のフラン様と共に紅魔館で生活しております。私はメイド、美鈴(めいりん)は門番としてお嬢様方に仕えています。お嬢様の執事に選ばれるなんて大変名誉なことですよ」

咲夜が説明してくれた。

「もちろん、引き受けてくれるわよね?」

「今日から貴方はフランの執事・・・お兄様ってことね!」

レミリアとフランが俺を見た。



「なっ!?羨ましい!」

「これはスクープですね!」

学食内にいる真と文が叫ぶ。

「お、おい!どこ行くんだよ霊夢!?」

「今から話をしに行くのよ。あの吸血鬼と執事になろうとしてる岳にね!」

「まだ執事に就くって決まったんじゃないんだからさ!しばらく様子を見ろよ!」

説得する魔理沙に霊夢は仕方なく席に戻った。

「俺なら喜んで引き受けるけどな」

ガタッ

「おい霊夢!?だからしばらく様子を見ろって!岳と真を一緒にするなよ!」

『執事の件ですが・・・』

スマホから声が聞こえる。

「どうするんだ・・・!岳・・・!」

真たちが見守る中スマホから声が聞こえた。

『何してるのよ!下僕!』

「・・・ん!?」

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