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転生少女はルーン魔法使い  作者: 白星光
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5.ギルマスに会う

 私はニアさんの後ろをついていき、ギルド3階の1室まで案内される。ちなみにイルナさんはライベルトさんとカイジンさんが依頼達成の報告が終わったようでそちらと合流した。3人共1階で待っていてくれるらしい。なんでもオススメの宿屋に案内してくれるだとか。


「こちらです、どうぞ」

 ニアさんがドアを開けてくれたため中に入る。中には1人大柄なスキンヘッドの男性がいた。男性はこちらに気付き目線をやる。


「あれ?ギルマスじゃないですか」

 ニアさんがスキンヘッドの男性に声をかける。どうやらこの男性がギルマスのようだ。


「ニアか、そっちの嬢ちゃんは?」

「ナール村の生き残りです」

 ニアさんが簡潔に説明するとギルマスは納得したのか横にどいてくれる。しかし私はギルマスが手に持っていたペンダントを見て立ち止まる。ギルマスが持っていたのは母のペンダントだったのだ。


「ん?どうかしたか?」

 ギルマスが不審に思ったのか尋ねてくる。


「そのペンダント、私のお母さんのです」

 私は母がずっと身に着けていたペンダントに指をさしながら言う。


「なに!?……おい嬢ちゃん、母親の名前を言ってみろ」

「オリヴィアです」

 私は母の名前を言う。


「まじかよ、オリヴィアに子供がいたのか、父親は誰だ?」

 どうやらギルマスは私のことは知らなかったようだ。そして父のことを聞いてくる。


「名前はわかりませんが、お母さんが冒険者のときパーティーを組んでいた人だと聞いています」

「あー、それならリアムのやつだな、そうかあいつらが……あぁ、悪いな、オリヴィアとは冒険者時代の知り合いでな、どっちが先に白金になれるか競ってた仲だったんだがリアムのやつ、お前の父親が死んじまってオリヴィアも冒険者を辞めたんだよ」

 私の父の名前はリアムと言うらしい。母は私が聞いても教えてくれなかったので初めて知った。


「オリヴィアのやつレベルはいくつだった?」

 ギルマスが聞いてきたので答える。


「えーと、4です」

「ちっ、やっぱりか」

 ギルマスは舌打ちをし、不快感を示す。私は母のレベルを聞いてきた理由がわからなかったため質問する。


「何故そんなことを?」

「あぁ、あいつがレベル5になっていればあのスタンピードの規模くらいなら1人で殲滅出来たろうよ、実際ナール村に俺も行ったが恐らくスタンピードの魔物の5割以上はあいつが倒してる」


「レベルが1上がるだけで残りの5割も倒せるようになるの?」

「あぁ、嬢ちゃんは知らねぇだろうが、レベルは4から5、そして6から7の2つにはたった1の差とは思えない大きな壁がある、それを乗り越えれば今までのレベルアップとは比にならないくらい強くなれるのさ、更に強くなるだけじゃなく5になれば寿命が延び老化もしなくなってくる、7になれば寿命なんて概念はなくなり悠久の時を生きるようになる、すさまじいだろう?」


 私はギルマスの言葉を聞き、口を半開きにしながら固まってしまう。それほどまでに衝撃的な内容だったのだ。村にずっと住んでいた私は知らなった。


「凄いですね、それは……」

 なんとか立ち直り言葉を返すが、小学生並みの感想しか出てこなかった。



 その後ギルマスに母の冒険者時代のことを聞き、母の遺品であるペンダントと指輪をポーチに入れ私は部屋を出る。本当はもっとギルマスに母のことを聞きたかったのだが、ニアさんに宿が取れなくなるからと言われ、下で待たせている黒狼の皆さんを思い出したためだ。またいつでも聞きに来いとギルマスに言われ私は1階に向かうのだった。



「おーきたきた!」

 カイジンさんが1階に降りてきた私に気付き、手を振る。私はそっちに向かって歩くがライベルトさんが見当たらなかった。


「すみません、随分遅くなりました」

「大丈夫だよ、ライベルトが遅くなるかもしれないからって先に宿を1人分取りに行ったから」

 ライベルトさんがいないのは私のせいだったらしい。また迷惑をかけてしまったようだ。


「後でお礼を言わないとですね」

「ライはこういうとこ気が利くからな!」

「えぇ、あなたと違ってね」

 イルナさんがカイジンさんをからかう。本当にこのパーティーは仲が良いなと少しうらやまし気に私は2人のことを見ているのだった。



 宿に案内してもらいながら街のことについてイルナさんに教わる。この街は4区画に分かれており、北区にはこの街がアルバス王国最南端なこともあり北から商人なんかが入ってくる。そのため商店が多いらしい。東が居住区で、西はナール村も含むこの一帯の領地を王より任されているボルトス伯爵の屋敷がある貴族街となっているため行くことはそんなにないだろうとのこと。ちなみにこのバールスがボルトス伯爵領の領都である。最後に南区だが工業区となっている。冒険者ギルドも南区にある。アルバス王国最南端の街とはいえ南は海なわけではなく、森が広がっている。バールスの南はまだ開拓されていない地域なのだ。そのため魔物も多く生息しており、この街の冒険者はそこが狩場となっている。南門を利用する冒険者が多いためギルドも南区にあるのだ。そんなことを教わっている内に北区にある目的の宿に到着する。看板に雪月花の杯亭と書かれてある。宿の名前のようだ。私は2人についていき中に入った。

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