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転生少女はルーン魔法使い  作者: 白星光
4/15

4.冒険者登録

少し長めです。

「お、バールスが見えてきたぞー!!」

 戦先頭を歩いていたカイジンが皆に聞こえるように大きな声で言う。


「お、ほんとだねー!ネヴィアちゃんもうすぐ街だよ!!」

「はい!!」

 私は元気よく返事しイルナさんと早足で先頭のカイジンさんの方まで追いつく。それを1番後ろで歩いていたライベルトさんは微笑ましそうに見ていた。




 バールスの門までついた。門の前に衛兵が2人立っている。衛兵は私達に気づいたのか声をかけてくる。


「黒狼の皆さんお疲れ様です!」

 衛兵の人はイルナさん達を知っているようだ。街ではそれなりに有名だという話は本当だったらしい。黒狼の皆さんはギルドカードと思わしきものを衛兵に見せている。


「あの、そちらのお嬢さんは?」


「ネール村の生き残りです、通行量は私達が払いますので」

 ライベルトさんが事実を簡潔に答える。しかしお金は自分で払うつもりでポーチを開けていた私はライベルトさんの後半の言葉に驚き固まってしまう。


「お、お金は持ってるので私が払います!」

 私はこのままではライベルトさんが支払ってしまうと思い急いで言う。しかしライベルトさんが掌を前に出し待てのポーズで私を止める。


「ネルヴァ、これくらい大した額でもないし気にするな、それに金は少しでも多く持っておけ、村とは違って街では金は1つの武器になる」

「そうよ、ここは先輩の私達に任せなさい!」


 結局黒狼の皆さんに押し切られ、ライベルトさんが銀貨1枚支払っていた。余談だがお金は銅貨、小銀貨、銀貨、小金貨、金貨、白金貨の順である。基本的に10枚で次の1枚分だ。銅貨10枚と小銀貨1枚が同じ額になる。何故基本的にと言ったというと白金貨だけは1枚で金貨100枚の価値があるからだ。白金貨は貴族や大商人くらいしか目にすることすらないらしい。ちなみに今の私の所持金は小金貨5枚くらいである。小銀貨2枚ほどあれば安い宿は泊まれると聞けば私の金持ちぶりがわかるだろうか。


 閑話休題


 今私達4人は門から街に入り冒険者ギルドを目指して歩いている。黒狼の皆さんは依頼達成の報告に、私は冒険者登録をするためだ。街に来るのは初めてなので道中きょろきょろ見渡してしまう。今の私は田舎から来たおのぼりさんに見えるだろう。少し恥ずかしいが、見える景色が新鮮でやめられないのだ。街並みは中世から近世のヨーロッパに似ており、建物は2階から3階建てがほとんどだった。


 ほどなくして冒険者ギルドに着く。3階建ての大きな建物で、剣と槍が交差している看板がある。あれが冒険者ギルドのマークのようだ。私たちは中に入り二手に分かれる。イルナさんは私の方についてきてくれたため安心する。ラノベなんかではよくあるギルドに入ってすぐ酒場で、冒険者がそこでエールを飲んでいる、なんてことはなく綺麗な受付が並んでいるだけだった。


 新規登録の窓口の方に行く。受付の女性の方がこちらに気付いて窓口に来てくれる。


「新規登録の方ですね?」

 私は頷く。

「まずは冒険者カード発行に銀貨2枚です」

 受付の女性に銀貨2枚を渡す。


「では、この用紙に名前、年齢、レベル、使っている武器や得意な魔法なんかを書いてください、名前と年齢は必ず書いて貰います、残りは任意となりますので書かなくても構いません」


 用紙を渡され記入していく。名前、年齢を書いたとこで一旦ペンを置きイルナさんに尋ねる。

「他のこと書いた方がいいかな?」


「パーティーを組みたいときに役立つし、受付の人に自身の戦力を伝えておくと依頼をおすすめされたり、身の丈に合わない依頼書を持ってきたら止めてくれるから書いておいた方がいいと思うわ」


「わかりました」

 ペンを取り他のことも記入していく。


 ネヴィア

 12歳

 レベル1

 ルーン魔法、土魔法、剣術


「どうぞ」

 記入した用紙を受付の女性に渡す。


「えーと……ルーン魔法?」

 受付の女性が困惑する。ルーン魔法はだめなのだろうか。


「ルーン魔法?聞いたこともないわね」

 それを聞いていたイルナさんが呟く。


 受付の女性とイルナさんが同時に私の方を向く


「……え?」

 2人ともルーン魔法を知らないようで驚いてしまった。ルーン魔法の知名度がここまでないとは……。確かに村で使っている人は私とお母さんを除くと誰もいなかったはずだが。

「えーと、ルーン魔法はこういうのです」

 私は空中に文字を書きルーン魔法を発動させる。魔法が発動し手のひらサイズの火の玉を出す。


「「え!?」」

 2人は目を見開いて固まる。私は2人がルーン魔法を見たのを確認し、火は危ないのですぐに消す。


 固まっていたイルナさんが口を開き私に問いかける。

「文字が宙に浮くだなんてなかなか面白いわね、これ他に何ができるのかしら?」


「火や水、風といった四大元素魔法のようなものに、付与や結界なんかも張れますね」


「つ、強すぎませんか?それ……」

 ルーン魔法の汎用性の高さを聞き受付の女性が困惑するが、ルーン魔法があれば他がいらなくなる、なんて旨い話はない。デメリットが勿論存在するのだ。


「そうでもないです、まず皆が使う4大元素魔法のような威力が出ません、お母さんはルーン魔法のスキルレベルが5でしたが、スキルレベル1の攻撃魔法と同じくらいの威力が限界だと言ってました」


「それは弱いわね、付与の方はどうなの?」


「ルーン魔法の付与は、付与魔法と出来ることは基本同じですが、付与魔法であれば魔道具に触れて魔力を入れることで発動するのに対して、ルーン魔法は魔道具に書かれているルーン文字に触れて魔力を入れなければなりません、結界はレベル5でランク3の魔物の攻撃1~2発ほど耐えれるくらいらしいです、レベル2の私ではランク1の魔物の攻撃1発くらいが限界ですが……」


 余談になるが、魔物のランクは冒険者ギルドが定めたもので、だいたい魔物のランク=人族のレベルとなっているらしい。ちなみにブラックベアはランク4だったはずなので黒狼の皆さんは3人いるとはいえ全員レベル3、恐らく苦戦したのではないだろうか。



「だいたい出来ることはわかったわね、火や水を出すことはできるけど威力がでないので戦闘では陽動くらいにしか使えない、付与は付与魔法とは少し使い勝手が変わる、結界はまあ十分実用範囲ってとこかしら、正直微妙ね……」



「はい、そんな感じです、これを見てください、付与のルーン刻印です」

 私はショートソードを抜き剣の腹の文字を見せる。


「こ、これはルーン魔法が付与されていると言うことなのでしょうか!?」

 受付の女性がカウンターから身を乗り出して興奮気味に聞いてくる。私は受付の女性の態度の急変ぶりに困惑しながらも答える。


「は、はい、そうです、文字が書かれているとこに触れて魔力を流すと魔法が発動します、この剣には切れ味上昇(中)がついてますね」


「やはりそうですか!!それならこれはもう一種の魔剣と言えるのではないですか!?」

 声が一段と大きくなる。興奮が冷めるどころか増している。魔剣好きなのだろうか。


「あー……ニアは無類の魔剣好きだからほっときなさい、ギルド職員になったのも冒険者が持ってる魔剣を見るためとか言ってるくらいだし」

 どうやら予想は当たっていたようだ。しかし魔剣を見るために……そんな理由で就職を許していいのか冒険者ギルドよ。それと受付の女性はニアと言うらしい。茶髪のボブヘアで綺麗というより可愛らしい感じの美人さんである。


「ニア、そろそろ戻ってきなさい、カードの発行だけじゃなくて、この子の母親の遺品の受取も残ってるんだから」

 イルナさんがニアさんに早く動くように促す。


「お母さんの遺品があるの!?」

 私は初耳だったのでイルナさんの方を向き質問する。


「えぇ、私達がナール村に行ったことは言ったわよね?それは私達だけじゃなくて複数パーティーで向かったのよ、その後遺品なんかを回収して街に戻るパーティーと周辺を探索して残っている魔物の殲滅のパーティーに分かれたのよ、で、私達は後者なわけ、すぐに街に向かった遺品の回収班はとっくに戻ってきてるはずだわ、そうでしょニア?」


「えぇ、戻ってきてますね、遺品も3階に置いていますので冒険者カードの発行が終わり次第ご案内いたします」


 2人のやり取りを聞いて私が思っているより日にちが経っていることを確信する。崖から落ちて気を失っていた時間が少なくとも丸2日はあるだろう。それに森を1日中歩いていたのにゴブリン3体としか遭遇しなかったのも、黒狼の皆さんや他の冒険者が倒してくれたからだろう。

 そんなことを色々考えている内に冒険者カードができたようだ。


「ネルヴァさんできましたよ、これが冒険者カードです、再発行には銀貨4枚かかりますので失くさないように気を付けてください」

 私が受け取ったのを確認しニアさんは続ける。


「そのカードに血を垂らしてください、カードは魔道具となっておりそれで本人確認が出来るようになりますので」

 受付の女性にナイフを渡されたのでそれで指を切り、血を垂らす。少しカードが光ったのを確認しナイフを受付の女性に返す。


「では、冒険者ギルドの説明をいたしますね、まず冒険者ギルドは基本何でも屋と思ってください、依頼主がギルドに依頼する、そしてそれをギルド側がランク別に振り分けて向こうに見えるクエストボードに貼っていきます、それを冒険者の皆さんが各々自身のランクで受注可能な依頼書を受付に持っていき、私達受付嬢の了承を得られれば受注完了です、依頼の未達成が続きますと報酬が貰えないだけでなく、最悪ランクが降格するという場合もありますのでご注意ください、ランクは4段階に分かれており、銅、銀、金、白金となります、新人の皆さんは例外なく銅からスタートです、依頼は自身のランク以下のもののみ受注可能となります、そして最後に、冒険者カードは身分証として様々な場面で使えるライセンスとなります。これは今まで冒険者ギルド、そして冒険者の皆様が築き上げてきた実績と信頼からなるものです。この信用を損なわせないためにも公序良俗に反するような行為は、発見次第直ちにギルドから警告、酷い場合であれば冒険者カードの剥奪もあります。街中で決闘なんかは絶対やめてくださいね。説明は以上となります。なにか質問はありますか?」


「えーと、ランクが違う人達でパーティーを組んだらどうなるのですか?」


「はい、その場合ですとパーティーメンバーの階級の平均で決まります、例えば銀級が2人、銅級が1人でパーティーを組めば銀級冒険者パーティーとなり銀級までの依頼が可能です、しかしランクが違う方とパーティーを組むのはギルド側としましては推奨出来かねます、他にも質問がありましたらどうぞ」


「多分、大丈夫です」


「はい、またギルドに関することで何かわからないことがありましたらすぐにお申し付けください、では、遺品が保管されている場所にご案内いたします」


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