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バグベアーさんはお困りのようです  作者: 森のクマさん
第二章 迷宮のお医者さん
11/18

人間いびり選手権

 古来より人と魔族は互いに争うものであり、魔族といえば恐怖の代名詞だ。

 そんな僕たちにとって、人間を追い出すのはしごく簡単な話である。

 すなわち、その存在をしろしめすだけで彼らはそこが自分たちの住まう領域ではないことを思い出すだろう。


 だというのに……。


「ポォ、お前のやり方は手ぬるい」

「えーっ!? ダメなの?」

 僕の出したアイディアは、たった5秒でアロンソに却下された。


「なんでさ! 彼らのやったことを洗いざらい書き記した手紙を送りつけて、この所業を公にするぞって言ったら、慌てて逃げ出すでしょ?」

 そんな恥をさらしてまでホテルを経営できるだろうか?

 僕だったら絶対に無理だね!


「逃げるか馬鹿。 公にしたところで、人間側が魔族に罪悪感をもつわけないだろ」

「じゃあ、どうすればいいんだよ!」

 僕がなかばキレてわめき散らすと、アロンソは顎に手を当ててしばらく考え込んだ後、ボソリと恐ろしいことをつぶやいた。


「台所の不快な黒い生き物を大量に押し付けるとか……」

「ひぃぃ! 君は鬼か!」

 そ、そんなことをされたら、奴らの動きが気になって夜も眠れなくなるだろ!

 それはひどすぎる!!


「発酵させた塩漬けニシンの缶詰を開封して部屋に投げ込むとか……」

「や、やめたまえ! 想像するだけで鼻の奥が痛くなる!」

 あの最臭兵器を利用することを思いつくなど尋常ではない……君の血は何色だ!?


「じゃあ、どうすればいいんだよ」

「それはさっき僕の言った言葉だよ!

 君はもっと人道に配慮したやり方をだね……」

「却下」

 ぐぬぬぬぬ……口の減らないミノタウロスめ!

 ならば、このプランはどうだ!

 だが、僕の出したアイディアは、説明開始10秒で却下を食らった。


「この平行線を辿り続ける会話の流れがポォ先生とアロンソさんよねぇ」

 僕の横で、メルティナが深々とため息をつく。

「なんだよその生ぬるい視線は!

 メルティナも何かアイディア出してよ!!」

「いいけど、私のセンスってアロンソさん側だよ?」

「くっ……僕に味方はいないのか!?」

 腕を組んだまま勝ち誇った笑みを浮かべるアロンソが、なんとも小憎らしい。

 殴りたい、その笑顔!


「なぁ、ポォ。 俺の顔を肉球でぺちぺちしてなんか楽しいか?

 俺はわりと気持ちいいけど」

「……気分の問題」

 なんというか、自分の非力さがとても憎い。


「まぁ、それはそうとして……俺が奴らに報復するとしても、なんか手ぬるいんだよなぁ。

 非殺傷を前提にすると、どうしても手加減をせざるをえないというか……」

 あれで手加減したアイディアだったのか、アロンソ……恐ろしい奴。


 だがその時だった。

 ずっと沈黙していたルルーお姉さんがポツリとつぶやく。


「そもそもこの人数だけで嫌がらせをしようとするから手ぬるくなるのでは?」

 その瞬間、アロンソとメルティナがハッと目を見開いた。

 ま、まずい! なにか嫌な予感がする!!


「い、いや、わざわざ人の手を借りなくてもだね……」

「そうか! 俺たちだけでカタをつけようと思ったから限界があるのか!!」

 僕の言葉を無視して、アロンソが拳を握り締めたまま立ち上がる。


「たしかに、いろいろと仕掛けるにしても人手はあったほうがいいわよね!」

 あぁぁ、メルティナまで!

 そんな二人を眺めながら、ルルーお姉さんはニコニコと微笑んでいた。

 あれ? もしかして……こんなプランを思いつくとか、しかも自分は助言だけで手を汚さないとか……ルルーお姉さんって一番腹黒いんじゃ!?


 そう思った瞬間、まるで心を読まれたかと思うようなタイミングのよさでルルーお姉さんと目が合った。

 そして彼女は僕を見てニッコリと微笑む。

 うひっ!

 一瞬、全身の毛がゾワッと逆立ったよ。

 賢者こわい……


「よし、ここはもっと多くのものの手を借りよう」

「なにするの?」

「公募するのさ! あいつらへの嫌がらせをな!!

 ポォ、ちょっと術話借りるぞ」

 アロンソは事務所に置いてある術話器を動かすと、どこかに術話をつなぎ始めた。

 いったい誰に連絡を取ろうとしているのだろうか?


「あ、もしもしバンおじさんですか? えぇ、アロンソです」

「ちょっとアロンソ! なにうちのパパと連絡とってるの!?」

 というか、いくら元近衛騎士でも、厚生大臣のプライベートな番号を知っているとかおかしいでしょ!


「実はですね、ポォが管理している魔王城のエリアに人間が住み着いちゃいまして。

 はい、それでただ追い出すだけでは物足りないと思いまして」

 物足りないって何だよアロンソ……君のにこやかな声がとても怖いんだけど。


「えぇ、我々だけでは限界がありますから、ちょっと大掛かりにやってみたいな……と。

 はい、企画書を作ってすぐに送らせていただきますので、お忙しいところ申し訳ありませんが目を通していただければ……」

 うわぁ、ものすごいスピードで話が進んでるよ。

 わりと仕事の出来る子なのは知ってたけど、優秀すぎるのも時には問題だ。


「よし、話はついたぞ。

 じゃあ、さっそく企画を作ろうか」

「だから、何の! ぜんぜん話が見えないよ!」

 少なくとも、ろくなものじゃないことだけは確かだけどね。


「あぁ、そうだな」

 すると、アロンソはポスター用のつやつやとした紙を取り出し、特殊なインクに筆を浸してこう書き記した。


『ポロメリア公女杯 人間いびり選手権』


 ……え?

「な、なにこれ!?」

「見てのとおりだ。 あいつらを追い出すための嫌がらせを競う大会だが、どうかしたか?」

 当然のような顔をしてなんという恐ろしいことを……


「や、やりすぎだよ! そんな事をしてホテルのオーナーたちが死んじゃったらどうするんだい!!」

 そんな事になったら、しばらく夜が眠れなくなるだろう。

 だが、アロンソはなんでもないような顔でヘラッと軽薄な笑みを浮かべた。


「別にいいんじゃないか? まぁ、いちおう殺人はタブーに盛り込むし、そいつらが死んでもお前の寝付きがしばらく悪くなるだけだろ」

「よくない! ぜんぜんよくないから!!」

 大問題だよ! 寝不足で僕の毛艶が悪くなったらどうするのさ!


「あぁ、なんだったら俺が添い寝してやろうか?」

「全力でお断りするよ!」

 白くてきれいな骨格標本ならばともかく、アロンソに添い寝してもらっても君にしかメリットがないじゃないか!

 まったく油断も隙も無いやつだよ、この色情魔め。


「アロンソさん。 企画するのはよいのですが、判定の方法が不明瞭では不満が出るかと」

 ルルーお姉さんの指摘が入ると、アロンソは少し考えるように目を閉じてから大きく頷いた。


「あぁ、それなら問題ない。

 前にポォが作ったストレス測定器があるから、それを魔王城のモニターに組み込んで、どれだけストレスを与えたかを測定しよう」

 あー むかしそんなモノも作ったっけ。

 よく覚えてるね、アロンソ。


「大会の途中でホテルの奴らが逃げちゃったら?」

 ルルーお姉さんの懸念が解決すると、こんどはメルティナが口を挟む。


「そのエリアは事前に封鎖する。 誰が逃がすかよ」

 あぁ、やっぱりね。

 アロンソって、こういうときものすごく意地が悪いんだよ。


「あと、どうやってどうやって募集するんです? ポスターでも作りますか?」

 再びルルーお姉さんの指摘が入ると、アロンソはニヤッと嫌な笑みを浮かべる。


「そこはポォの親父さんにお任せだな。

 あとは、賞金額をいくらにするかだが……せっかくだから、うちの親にもスポンサーになってもらうか」

 そうつぶやくと、アロンソは再び術話器を起動させた。

 あー たぶんおじさんもおばさんもノリノリで参加してくるだろうなぁ。

 この手のお祭り騒ぎ、大好きだから。


「あぁぁ、だんだん事が大きくなってゆく」

 周りが楽しそうに浮かれ騒ぐ中、僕はひとり机に突っ伏していた。

 出来るだけ穏便に済ませたかったこの事件だが、ここまでくるとどう考えても派手で馬鹿げた結末しか想像できない。


「いいじゃない。 楽しそうで」

「ふふふ、なんだかドキドキしますわ」

 君ら、同族にかける情けはないのかい?

 魔族化が進んでゆく友人二人に不穏なものを感じながら、僕はこれ以上自分が巻き込まれないようにするにはどうすればいいかをひたすら悩み続けるのだった。


***


 全国4億人の魔族の皆様!

 さぁ、やってまいりましたポロメリア公女杯 人間いびり選手権。

 司会はわたくし、テレビでおなじみのデビス・トレボー。

 解説はみんなのアイドル、ポロメリア・ウルスラグナ公女様でお送りします!

「え、えっと……なんか間違ったこと言ったらごめんね」


 どことなく弱気な公女殿下でありますが、そんなところもキュートですね!

 さぁ、張り切ってまいりましょう。


 トップバッターは魔界のアーティスト集団。

 色とデザインを任せたら魔界一を自負する夢魔たち『ラ・バロック』の登場です!

 今回はいったいどんなパーフォーマンスで我々を楽しませてくれるのでしょうか!?


 ラ・バロックはインキュバスを中心に、インプやプーカといった悪戯好きな奴らが集まって、まったく新しい感覚のダンジョン『ナイトメアパーラー』を運営しているグループ。

 平均年齢は81.4歳の若手だが、そのパフォーマンスはダンジョン評論家の間でも話題沸騰中だ!

 『楽しくなくちゃ悪戯じゃない。 お洒落じゃなきゃ悪事じゃない』をキーワードに、今日はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか!?


「あ、担当エリアにむかって何か呪文を唱え始めてるね。 これは幻影系かな?」

 おーっと、早くもお得意の幻影魔術だ!

 いったいどんなイリュージョンが飛び出すのか!?


 なお、この競技はホテルの中を12のブロックにわけ、その中の人間にどれだけのストレスを与えたかで点数を決めます。


 おおっと、リーダーの手から赤の光が! そしてサブリーダーの手からは紫の光がホテルに放たれる!

 そしてホテルの中で二つの色の幻影が混ざり合い、何かの立体映像を映し出した!?


「これは……オッサンだね!」

 オッサンですか!


「えぇ、ハゲでデブのオッサンが、裸でダンスを踊ってるね!

 あはははは、なんてみっともないんだ!!

 しかも、赤と紫の光が重なって目がチカチカするよ!」


 なんというえげつない絵面でしょう、まさに視覚の暴力!

 そんな目の毒なキャラクターが、所狭しと見事なダンスを踊り続ける!

 これがラ・バロック流のパフォーマンスだ!!


「ちなみに、色使いにもちゃんと意味があるよ。

 もっとも波長の長い赤の光と、もっとも波長の短い紫のコントラストというのは、目にする者の神経を容赦なく逆撫でるんだ。

 疲労を誘発しているんだ」


 おぉっと、解説ありがとうございます。

 つまり、時間と共にストレスは増大。

 トップバッターの利点をフルに活用する、なんとも巧みな試合展開だ!


 二番手はバナナ農家の子供たち、イエローエイプスの登場だ!!

 おっと、さっそく何かを撒き散らしているぞ!?


「これは……バナナの皮だね。

 しかも潤滑油に浸してとても滑りにやすくしているよ」


 おぉっと、さすがバナナ農家!

 だが、これだけじゃ人間達は降参してくれないぞ!?

 ん? なにかバナナの皮が動き出したような……

 なんと、これは気持ちが悪い!

 バナナの皮が蛇のように動き出してホテルの中に入ってゆくぞ!!


「何か魔術をしかけているね。 これは珍しい!」


 おっと、解説のポロメリア公女殿下、いかがなさいましたか!?


「これはネクロマンシーだよ!

 バナナの皮に何かの霊を憑依させて動かしているんだ!」


 おぉっと、これは予想以上に高度な技術が飛び出したぞ!

 ホテルの中は阿鼻叫喚だ!!


「きゃあ!」

「うわっ、そのデカい尻をどこかにやりたまえ!」

「なんですって!? あなたこそ、その加齢臭漂うからだをどこかに捨ててきなさいよ!」


 おぉっと、スッ転んだホテルの中の連中が喧嘩を始めたぞ!

 紳士のストレート! 空振り!

 淑女の右フックがカウンターで入ったー!

 こりゃ傑作だ!

 そしてホテルのスタッフがバナナの皮を捨てようとしても、つるつる滑ってうまくつかめない!

ぷっ……貴婦人が転んだ拍子にスカートが丸見えに!

 しかも、クマさんプリントだ! ぶははははみっともねぇ!!


「クマさんプリントのどこが悪いんだい?」


 え? あ、その……すいません、CMはいりまうぎゃあぁぁぁぁぁぁ!


***


 さ、さぁ、番組も終盤になってまいりました!

 これまで10組の競技者がその妙技を競い、ホテルの中の人間は全員ぐったりとしております!


 現在のトップはラ・バロック!

 だが、このあとにまだ大本命が待ち構えております!


 さて、ここで人類側からの挑戦者が登場だ!

 その名も美しき怪盗エメラルド!


 おおっ、まるで猫のようなしなやかな動き!

 巧みに冒険者たちの死角に入り、あっさりとホテルの中に進入したぞ!

 そして彼女の狙うは……籠の中の鳥だ!

 囚われた鳥たちを外に解き放って、ここでモニターに向かって投げキッス!


「さすがエメラルド! わかってるね!!」


 これはストレスへの影響こそ低いものの、ポロメリア公女は大喜び!

 なんとも粋なやり方です! さすが怪盗!! 


 おぉっと、ここでエメラルド選手、貴族の荷物を物色しはじめたぞ!?

 客の有り金を持ち出して、宿側とのトラブルを誘発だぁぁぁ!!


 これはえぐい! なんともえげつない!!

 怪盗だけあって、まったく容赦がありません!!

 慌てふためく客とスタッフを見下ろし、エメラルド選手高笑い!


 おっと、ここで本人からのメッセージです。

 なんと、これらの貴重品と財布の中身は、恵まれない子供たちのために使われるとの事。

 さすが最後まで己の美学を忘れない!

 個人的に心から拍手を送りたいと思います!!


 さて続いては……おぉっと、ここで優勝候補である魔王城管理部の登場だ!!

 気合十分! ふだん人間達にダンジョンの中をすき放題されている鬱憤を、ここで晴らすのか?


「あっ、これはすごい!」


 どうされました、ポロメリア公女様?


「ダークゾーンだよ! ダークゾーンを局地的に作り出してる!」


 えぇと、それはそんなにすごいことなのでしょうか?


「ダークゾーンはね、光を吸収する漆黒の粒子を使っているから、暗視能力すら役に立たないんだよ。

 しかも、この粒子は音も遮断するため、蝙蝠ですらさけて通るという代物だね。

 人間の一番の恐怖とは、五感が立たれた状態となること。

 五感の中で、もっとも大きな情報源である目と、次に大きな情報源である耳を閉ざすことで、原始的な恐怖を引き起こすのさ!

 あれをくらったら、普通の人間は1時間もせずに発狂するよ!!」


 おぉ! それはすごい!

 あぁっと、ストレスメーターがこれまでにない勢いで上昇しております!

 ホテルの中は悲鳴の大合唱だ!!


「しかもトラップではないため罠のように除去も出来ず、風で散らそうにもダークゾーンを固定する魔方陣に対抗魔法が組み込まれているため対処法が無いのさ!

 冒険者からもぶっちぎりで嫌がられている仕掛けだけど、扱うのは恐ろしく難しいんだ。

 周囲の魔力と完全に調和させる技術がないと、すぐに術式が乱れて崩壊してしまうのだよ!

 それをあんな狭いエリアで実現するとか、まさに職人芸!」


 おぉ、ダークゾーンとはすごいものだったのですね!

 てっきり、ダンジョンのマッピングを邪魔するだけの刺身のツマみたいなものだと……

 はぁっ!? なぜ私の目の前が真っ暗に!?

 こ、こここ、これは予想以上に精神にクルというか、誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!


「さて、口で災いを呼んでしまった奴はさておいて、いよいよ最後は大本命!

 アロンソ・ティレス率いるティレスミートホールディングスチームの出番だよ!」


 おっと、まずは足の速い魔物をけしかけて冒険者たちを挑発しているようだね!

 雇われている冒険者たちが出てきたら即座に撤退。

 この引き際が腕の見せ所だよ。


 被害こそないけれど、それを見ている貴族たちの間に動揺が走ったようだね。

 頻繁に魔物の姿をちらつかせて冒険者を誘い出し、警備担当者を疲労させる……なんともえげつないやり口がまさにアロンソ。


 おっと、ここで動きに変化があったようだね。

 冒険者を湿地に誘いこんだようだけど……あっ、トラップが発動したよ!

 冒険者が全員宙吊りになったね。


 うわっ、なにしてんだよ! こら、服を脱がすんじゃない!

 放送的にそれはまずいでしょ! そこのスタッフ、はやくモザイク! モザイク!!


 見苦しいところを見せてしまったね。

 あとでアロンソはお説教だよ。

 えーっと、全裸にした冒険者は目隠しをして一箇所に集められているね。

 あ、どうやら水の入った器を持ってきたね。

 上から一滴ずつ水を落とす……これは拷問のテクニックだよ!


 手ぬるい? とんでもない!

 こうみえて、数ある拷問の中でもぶっちぎりで恐ろしいといわれている奴だよ!


 ほら、みたまえ。

 すでに何人かの冒険者が幼児退行しているだろう。

 痛みこそ無いけど、精神的に追い詰める方法としてはまさに最悪!

 あっという間に精神が壊れてしまうらしいよ?

 人の肉はストレスを与えてから屠殺したほうがおいしくなるといわれているから、彼らはこの手の拷問が得意なんだ!


 おっと、冒険者がいなくなったところで、今度は残りの客とスタッフを捕らえてきたようだね。

 あ、惨状を見ただけで気絶した。

 さすが、ぬるま湯につかった生活をしている奴らはもろいね。

 でも、すぐに起こされて彼らも地獄に落とされるよ。


 さて、これですべての競技が終わったようだね。

 結果が出るまで時間がかかるから、その間は歌とダンスを楽しみたまえ!


 トップバッターは、人気急落中の崖っぷちアイドルグループ、サキュバス48だよ!


***


 その後、ホテル側の動きははやかった。

 というより、誰も何も出来なくなってなし崩し的に潰れた。


 まぁ、客と護衛とスタッフを含めて、再起不能になった奴が35名……非殺傷が人道的とも強く言えないような結果だから仕方が無いよね。

 残りの面子も深刻な心的外傷を受けており、今後自殺者が出る可能性も高いのだそうだ。


 で、残されたホテルの跡地なんだけど……


「うぅむ、このアロマティラスの茶というやつはなんともすっきりした味わいですなぁ」

「わたくし、ここの薬湯風呂に入ってからお肌の調子がものすごくよろしいのよ」

 ……とまぁ、あいもかわらず客であふれかえっている。

 ただし、ここにいるのは人間ではない。


「なんでパパがここにいるのさ」

「おぉ、すまんなポォ。 ここがあまりにも居心地がよくて……」

 ここに入り浸っている連中は、うちのパパが連れてきた政府の高官やセレブというやつである。

 先日のテレビ中継でこのエリアの美しさが話題になっていたらしく、うちのパパが連れてきた友人がまた別の友人を呼んで、今はこの有様だ。


「ポォ、お偉方がここに入り浸りになって仕事をしてくれないと問題が出るので、どうにかしてくれと魔王城の管理部から嘆願が届いているぞ」

「だから、アロンソ! そんなの僕にどうしろというんだい!」


 あぁ、ほんと、誰か助けて!

 僕は……僕は本当に困っています。

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