バグベアーさんはお困りのようです

　魔族の住む領域の東のはずれ。　カシュナガルの森に、ポォと言う名のバグベアーがすんでいた。
　バグベアーとは子供をさらって食べるというクマによく似た恐ろしい魔物であるのだが、このポォという名のバグベアー、実はバグベアーにあるまじき偏食で、なんと人の肉が大嫌い。
　ハチを育て、薬を作り、森の奥で静かに暮らしていたポォであったが、その穏やかな生活はある日突然失われてしまう。
　なんと、なんの前触れも無く傷だらけの人間たちがポォの大事なイチゴ畑の上に落ちてくるようになったからだ。
　ポォを見た人間たちは、怯え、逃げ惑い、刃物を向ける。
　だが、その本性を理解した瞬間、ポォが人を襲わないことをいいことに、ポォに懐いて毎日茶菓子をたかりにくる始末。
　もう、やだこんな生活!　ポォがいくら嘆いても、人間たちの来訪は尽きることが無い。
　はたしてポォは元の平穏な生活を取り戻せるのか？