籠の鳥は朗らかに笑う
昔々といっても、歴史から見たらつい最近のこと、私からすると忘れないこと、その日その時私の足は無くなったのです。
私は爵位第2位侯爵家の末娘、パラキートと申します。現在は、大公様の管理する花園で、日々静かに暮らしてますの。
無くなったと申しても、正確には動かなくなったが正解ですわ、フフなんてちっとも笑えませんが。
そもそもですわ、私には婚約者という者がいましたのよ、現在爵位第1位公爵家の次男コニュア様という方です。大公様の妹様をお母様に持つとかで大公様に次いで国内ではかなり力を持つ方です。
これ以上、力をつけられると勢力バランスが崩れるとかで爵位が低すぎず可もなく不可もなくの私が選ばれたのですわ、といっても過去の話ですわね。
私の足が動かなくなった原因は、コニュア様にあります。暗殺者に襲われたさい、盾に使われたのです。フフ、完璧なるエスコートですわ、ですが護衛にその役目をさせたらよろしかったのに。何でも、その護衛の方に恋したとかで、当時10歳の子供が20歳の方に恋しても相手にしてもらえないのは目に見えてますのにね。
それで、私の足が無くなったというのなら、とんだ笑い話ですわホホ。
ちっとも、謝罪無しにこの花園を与えたから良いだろうという思惑が透け見えていても怒ってないのですわよ、思い出の花園を選んだのは評価してますし、本人は又別の婚約者をあてがわれていたとしてもです。ええ、足が動かない者が公爵家の妻になったとしても文字通り足でまといですしね。
だから、私は何も思ってませんので帰ってくれませんこと?元婚約者の兄上でいらっしゃるローリー様?
婚約破棄は、とうにされていた。先ほど述べたとおり謝罪は一切無かったが変わりにと当てられた花園が私にはある。
この花園は大公様の物であったが今は完全に私のもの、潰して更地にして新たなる建物を立ててもよし、金儲けをしてもよし、花園をというよりも土地を貰ったようなものだ。
なかなかに大きな土地を貰ったなとは思います。
こうして、私と公爵家との縁は完全に途切れたはずでしたのに、動かない私の足元には何故かその公爵家の長男であるローリー様がいますのでしょうか?
はい?私のことが気になって見ていたら好きになっていた?身分は釣り合う?だから、婚約を結ぼうですって?
ホホ、今日で1番笑える話ですわね。色々な思惑と負担を考えた上での婚約破棄でもありましたのに、更なる苦労が見える公爵家時期当主の元に嫁げと?
「嫌ですわ」
先程述べたようにこの花園はお金になりますのよ。
今更、大金を積まれてもそれは意味を成しませんし、身分上そちらが上だとしてもハンデがあると断れるのです。
そもそも、そちらが引き起こした事が原因でのハンデですものね。お父様が許すはずがありませんし、大公様も流石に勅命などといったような無謀なる行動に出ませんわよ。
何ですって?弟は追い出したから大丈夫って、人の話を聞かない人ですわね、ですから私は怒ってないのですよ。無駄なことです、それよりももしもの時の弟様を勝手に追い出して良かったのですか?
ああ、婿養子に出したと。なら、尚更私ではつとまりませんわよ公爵家の妻だなんて。
これで、話は終わりです。
「それでは、お帰りはあちらですお見送りは出来ませんがご了承ください」
出来れば、もう2度と来ないでくださいね。
護衛から見た彼女は、笑っていたがかなり怒っていたそうだ。
流行りものである婚約破棄とかそんなのを年に1回は書きたくなる不思議。あらすじ詐欺だけはしてない。