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まこらみみらせ  作者: しげしげ
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第四十一話 「初めてのクリスマス」

第四十一話 「初めてのクリスマス」




あれから一度もアンドレさんは現れない。


十二月二十五日火曜日、今日は終業式、昼からクリスマスパーティーだ。


ナオイちゃんはオレより早起きだ、パジャマを枕元にたたみ、コタツに入って猫娘とじゃれていた。


なんて良い子なんだ。


ああ⚫⚫、ペルシャ猫の姿だが猫娘の奴、顔も体もガチガチだ、蛇に睨まれたカエルだな、なぜ、そこまで怖がる?


オレは洗面所に顔を洗いに行く前に、「猫娘の奴、何でかナオイちゃんの事を怖がってるから、その怖がる記憶が消えればいいのにね。」と言って、一階の洗面所へ向かった。


オレはナオイちゃんを試すような事をした。


ナオイちゃんが神格なら、アンドレさんの様に記憶を操作する力を持っているかもしれないと思ったからだ。


神様を試すとは罰当たりな事だとは思うけど⚫⚫、今この時に限っては、許される範疇だろと、勝手に思ってる。


顔を洗って部屋に戻ると、


「クリスマスケーキ食べたことないのぉ!?」と、猫娘がキューティーハニーの姿でコタツを囲んでナオイちゃんと楽しそうに話しをしているではないか!


これはっ!?


「えーっ!! どぉーしてぇ!? お母さんはいないのぉ?」


盛り上がってんじゃん。


⚫⚫これはやはり、ナオイちゃんの力⚫⚫、


「ちょっとあんた! この子にケーキ買って来なさいよ!」と、あれほど警戒し怖がってたコイツがっ! 「はあっ!? お前が買って来いよっ! どーせ暇なんだろっ! それに今日は昼から公民館でクリスマスパーティーがあんだよっ! そこでケーキ食えるからいいだろ!」


なにふつーに下僕扱いしてんだよっ!! お前が食べたいだけなんだろっ!


「⚫⚫⚫あたしも行く。」


「⚫⚫⚫?」猫娘が何か言っいる


「ケーキ、あたしも食べたい。」図星かい。


「お前、猫だろっ! 猫がケーキなんて食っていいのかよ!」


「どーしていけないのよっ! あたしも行くしっ! ね、ナオイちゃん」


「ね、ナオイちゃんじゃねーよっ!」


何なんだよ、突然のフレンドリーは!



まあ、何にしてもだ、ナオイちゃんにはアンドレさんと同じ力がある可能性は高い、それとその力を幼いナオイちゃんは自覚しているのだろうか?

⚫⚫ミケツ様を参考にすれば、自覚はしていないと思われるが、

⚫⚫参考にする相手を間違えているかな、ミケツ様はまるっきり子供だもんな、まあ、そのへんで言えばナオイちゃんも同じか。


だけど、あれほど警戒していた猫娘の、あの変わりよう、偶然とは思えない、


⚫⚫⚫いや、猫娘は気分屋だ、ミケツ様を除いて自分に甘く他人に厳しい、そして目の前にあるものなら口いっぱい頬張って食べる食い意地の悪さ、その辺を考慮に入れて考えれば、甘いケーキの話で盛り上がってうち解けた、とも考えられる。


⚫⚫考えれば考えるほど分からないが⚫⚫、

例えばプロのバカというのは、常に答えが間違えている、そのため賢く考えたほうがバカをみるものだ。


結論を言えば、考えるだけ無駄、と言う事になる。


プロのバカとは、もちろん、カップラーメン上島の事である。



さて、


今日もナオイちゃんと登校だ。


体の小さいナオイちゃんに、歩く速さを合わせる。


歩き方が可愛い、足元ばかり見て歩いていると、躓かないか心配になる。


長靴が気になるんだな。


相変わらず大人しいナオイちゃんとは職員室の前で別れる。


ああ、そうだ、ナオイちゃんにはランドセルがない、だからか、⚫⚫リックサックで登校してたのは。


さて、今日の授業は二時間目で終わりだ。


授業と言っても、冬休みのプリントの説明とホームルームの時間だ。


生徒たちには一旦、「帰ってランドセルを家に置いてきなさい」と、言っておいた。


職員室にもどると春名先生、校長先生と、午後からの打ち合わせがある。

その打ち合わせが終わると春名先生から「このランドセルをナオイちゃんに渡してくれませんか。」と言って赤いランドセルを渡された。


このランドセルは玉小学校の備品で、卒業生から貰ったものを保管して、再利用していると言うことだった。


またしても春名先生は気のつく人だった。

オレの数歩、先を行っている。⚫⚫数百歩かな。


その赤いランドセルはかなり昔の古いもので、少し重たく感じるものだったが、大事に使われていたのか、保管されていたのか、今でもしっかり使えるものだった。


新品のサラじゃなくてもナオイちゃんだったらきっと、喜こぶだろうな。



昼前には一通りの打ち合わせを終え、アパートへ帰ることが出来た。


猫娘は今までとは打って変わってナオイちゃんと仲睦まじい。


コタツを囲んでケーキの話に花が咲いている、よっぽどケーキが食いたいのか?

オレが部屋に入ると、「育ち盛りのナオイちゃんに、こんなラーメンなんか食べさせる気!? 病気んなったらどーすんのよっ!」と、


⚫⚫あーだこーだと言ってくる。


⚫⚫⚫⚫、


オレは本来なら一人暮らしだ。


⚫⚫⚫言いたい事は山ほどある、


がっ! しかし、ナオイちゃんの手前、何も言えない。


⚫⚫それに、


猫娘が怖い、なんて事は考えたくない! 何故ならオレは男だからだ。


世のお父さんとは、家でも仕事でもストレスを抱えているのだろうか?



オレは持って帰った赤いランドセルを、サラッと手渡した。


「学校で保管されてた物なんだけど、春名先生が出してくれてさ、これをナオイちゃんに使ってもらって下さいって。」


ナオイちゃんはランドセルを受け取ると⚫⚫


みるみる表情が変わり、目を輝かせていた。


ああっ! オレの胸がキュン⚫⚫とくるよ〜。


何度もオレを見つめ直すナオイちゃんが、とっても可愛い!


「二学期は終わったから、冬休みが明けたらそのランドセルで登校するといいよ。」と、言ってあげたら、


「うん!」と、小さな声で返事をしてくれた。


新品のランドセルじゃなくてゴメン⚫⚫、


なんだろ、胸がキュ〜っとくるよ!


不甲斐ないお父さんでゴメンよ〜! ⚫⚫お父さんじゃないけど。



お昼を過ぎてからだったが、白菜と一緒に魚(鯉)の身を煮付けた簡単料理だが、それをナオイちゃんと二人で昼ご飯にした。


オレの下手っぴな料理を、猫娘のコタツで黙って食べるナオイちゃん、箸の使い方がぎこちない、

白菜を大きく切りすぎたかな? ナオイちゃんの小さな口に合わないかな。


横で見ているだけの猫娘は食べない、「⚫⚫ほんとに食べないんだな?」


「いらない⚫⚫、不味そうだし。」 一言多いんだよ! その不味そうな料理をとなりでナオイちゃんが食べてんだよっ!


こいつ、普段何を食べてるんだ? それとも何も食べなくてもいい体質だったりするのか? 江戸時代から三百年は生き続けてると言う事だが、省エネ体質か? それとも無食か!? ホントか嘘か知らないけど。



ナオイちゃんの頭に雪がかかる、


母さんから送られてきたみかん箱の中に入っていた、灰色のニット帽を被らせる事にした。


「ちょっと大きいかな、」耳も隠れるしこれでいいだろう。


だがしかしだ、


「おまえ、ついてくる気なのか?」と、猫娘はナオイちゃんと手を繋いで一緒に来てしまった。


そして、猫娘の外見が毛皮のコートを着ているかのように、青みがかった長く白い毛で全身が覆われていた。



どーなっての? 毛が、服になるの!?


まさか、自在に伸びる自分の、❝毛❝ なのか!? その上、形まで変わってファッショナブルになっている、そんなのありなのか!?


お話しの中でのTPOならそれでいいのか? 自由自在に伸びる体毛で、都合の良いキャラクター設定だが、オタクのニーズに応えるTPOだから、それでいいのか?


もう、それでいいだろう。


手は短い毛の手袋をつけているようだ、足には、⚫⚫ブーツ? 長靴?


「そのブーツはどーしたんだ?」


「しんぺーに貰った。」と言う猫娘は、青いレインブーツを履いていた。


⚫⚫ブーツだけは市販品か。


⚫⚫と言う事はだ、地毛を除けば、ブーツだけを履いて外を歩いていると言う事なのか!? そーなのかっ!? これはっ! スケベな⚫⚫、ああ、待て待て、猫だぞ、猫娘だぞ、鬼太郎のガールフレンドだぞ! 普段から、服は嫌いニャ、とか言ってる奴だぞ! 動物は毛皮が当たり前だ! いつもの事じゃないか、と考えていたら、公民館についてしまった。


田舎道は近いようで遠い、片道三十分以上はかかる、まして、ナオイちゃんに合わせて歩けば、もっとかかる。


小さなナオイちゃんには遠すぎる雪道かもしれない、が、そんなナオイちゃんの表情は公民館に釘付けだった。


やはりクリスマスパーティーなんてのは初めての経験だろうか?


猫娘に手を引かれて歩くナオイちゃんは、幼く、あまりに無防備だ。


みんながクリスマスの夜に、暖房のきいた部屋で生クリームたっぷりのケーキを食べているとき、ナオイちゃんは真っ暗な氷点下の夜に、ずっと一人ぼっちだったのかもしれない、


そう⚫⚫、話し相手と言えば、


足のとれたリカちゃん人形くらいだろう。


⚫⚫⚫たとえ、それが神様でもだ、


⚫⚫寂しい、悲しくない、 なんて事はないはずだ、


⚫⚫感情があるんだから。



雪の降る中、玄関先で焚き火を囲んで数人の男達が話しをしていた、その中には小田さんに豆腐屋もいた。


「おや? どこの子だ、その女の子は?」と聞く豆腐屋。


「村の入り口近くに住んでる、綾野ナオイちゃんですよ。」と、言っておいた。


てか、猫娘は気にならないのか? すでに村の住人なのか? 全身ホワイトな毛皮で青い目をしたファンタジー娘だぞ!そんじょそこらにゃ、いないんだそ!


村だぞ!ここ。⚫⚫わかりませんよ。



先に、公民館の引き戸をガラガラガラー⚫⚫、と開け、入って行った猫娘と、手を引かれたナオイちゃん。


きっとナオイちゃんはドキドキなんだろうな。


公民館の中は一瞬むせ返るほど暖かかった。


源さんから貰った上着を脱ぎ、みんなと一緒に壁に掛けた。


古めかしい畳の敷かれた部屋は、色紙で飾られ、壁にはカレンダーの裏を貼り合わせ一つの大きな紙にして、そこに、❝☆Merry Christmas♡❝ と、書かれてある。


長テーブルを二列に並べ、そこにミケツ様をはじめ、年少組と春名先生の年長組の生徒たちが仲睦まじく座ってお話しをしていた、あと、


この子達は中学生だろうか?


体の大きな子供たち数人もテーブルに座っていた。


「城島先生、こんにちわ。」


「あ、こんにちわ! ソフィーさん。」


「今日は猫ミミちゃんも一緒なんですね。」と言うソフィーさんは、赤いチェック柄のスカートをはき、紺色のタートルネックを着て、金色の首飾りをしていた。

これは普段のジャージやスウェットとは違う、いわゆる、オシャレをしているのか!?


⚫⚫オレはオシャレは分からない、まったく分からない、だから褒め言葉も分からない、下手に褒めたら、❝城島さんみたいにオシャレを知らない人に褒められたら、バカにされてるみたい!❝ なんて事にならないだろうか!?


そんな事を考えていたら、何だかどっと疲れてしまった。


ナオイちゃんは、あんなとこにちょこんと、こちらに背を向け、みんなと一緒に座っていた。


横には松本百合子が座ってくれている、猫娘の奴はどこ行った!?


一つ飛ばして北本が座り、その横にミケツ様、タキちゃんもいる、コン太、お前までいるのか、幸詠さんの下僕じゃなかったのか? そして⚫⚫、!? あれはっ!!


⚫⚫あの赤いレディなサンタのかっこうをしているのは⚫⚫


アッッ!!


やはりっ!! 春名先生じゃないかあーッッ!! なんてこったあっ!!


春名先生がスカートはいたサンタさんっ!!


なんだか凄いぞ!! なんだっこの胸の高鳴りはっ!! 動悸息切れのようなこの感じっ!!


以前に街で見たコスプレーヤーには、❝変な子がいる。❝ としか思わなかったが!


春名先生がっ!!


こっ、こっ、こっ、コスプレッ!?

コスプレなのかッ!! 落ち着けっ!!オレッ!! オレは顔に出るっ!! 冷静を装えっ!! おちっ、おちけつッ!!


そのとなりには頭の大きなサンタさんがいるっ! それは誰かと言えばっ、誰でもいいけど、校長先生。


アッッ!!


あれはッ!!? 猫娘っ!?


サンタガールだっ!! 赤と白のサンタガールになっているっ!!


なんでお前までサンタガールなんだっ!? ナオイちゃんほっといて何やってんだよっ!


猫は人になつかないって言うけど、おまえはミケツ様にベッタリだな!


テーブル囲んで向かいには平太たち男子が座っている。


オレはと言うと、大人の席の一番端に、あぐらをかいて座った、「どっこらしょ〜」オッサンかな。


目の前には黄色い色したケーキ、これは確か、栗のケーキで名はモンブランともーしたかな? 横はまだ誰も座っていないが、イチゴのショートケーキが置かれていた。


前の方では、春名先生や校長、ソフィーさんに、あれは不二家のペコちゃん、あ、いや、店主にほか数名。


春名先生とソフィーさんが少し前にでて、話し始めた、「今日は十二月二十五日、クリスマスです、サンタクロースさんは良い子だったみんなにプレゼントを持って、トナカイのソリに乗ってやって来ます! みんなのお家にね。」教育テレビのおねえさんみたいだ。と、まあ、ちょっとしたおとぎ話しをするようだ。


ナオイちゃんはと言うと、


春名先生とソフィーさんのお話しを聞いては、目の前にあるだろうショートケーキを何度も見つめ直している、⚫⚫あっち見てこっち見て、忙しい事だね。


ナオイちゃんの後ろ姿からしか見えないけど、⚫⚫おあずけを食らった子犬のように見えてしまう。


さぞかし目の前のケーキが食べたくて仕方ないんだろう。


一方で、


ああっ!! ミケツ様っ!!? 食べてる!? みんなまだ食べてないのに食べてる!!? なんてことーっ!!


春名先生たちのお話しはまだ終わってないよ!!


タキちゃんはミケツ様とは反対側に座っているが、ちゃんと目の前のケーキには手をつけずにいるにも関わらず、ミケツ様は食べている! それを驚いた顔して見ているタキちゃん。


ちょうどその時、春名先生たちのお話が終わり、「ミケツ様! ミケツ様!」と、春名先生がミケツ様に駆け寄った!


「駄目ですよ! みんなより先にケーキ食べちゃ!」と、言う春名先生。当然です。


「やけど食べたいえッ!」と言うミケツ様の口の周りには生クリームが、泥棒ヒゲの如くべっとりとついていた。

さすがミケツ様、マンガみたいです! ウケ狙いだろうか!?


みんながケーキを食べ始めると、物欲しそうに指をくわえて見ているだけのミケツ様。


「もう食べちゃったんだから、ミケツ様のはありませんよ!」とちょっぴり叱る春名先生。当然です。


「えええ〜っ!もっと欲しーッ! こんなん小さいえっ、もっと大っきいのがええーっ! ああ、そーえ玉江っ!」


うわー、すっげーワガママ、しつけがなってないよ〜。


「は、はい! ミケツ様、」


「おまんのケーキ、食べんのやったらあっちによこしやし。」


「えぇっ!? ケッ、ケーキを⚫⚫ですか⚫⚫?」


「うん。」


「⚫⚫そ、それわ〜、」「ダメですよ! ミケツ様、それは玉ちゃんのです!」


「ええ〜っ! 玉江はケーキは食べないて、言うておるえに〜⚫⚫」ああ⚫⚫無茶苦茶言ってるよ〜。


「エエッ!!? あっ、あたしは⚫⚫」「ミケツ様っ!」


「フンっ、いいもん!」と言うミケツ様、何かが気になったようだ。


ミケツ様の視線の先には⚫⚫⚫、ナオイちゃん。


あ! ナオイちゃんはまだイチゴのショートケーキを食べずに見つめている!? もう、❝待て❝はしなくていいんだよ!


そこにミケツ様が、スタタ⚫⚫と駆け寄って行った。


何だ!この胸騒ぎ!嫌な予感がする!


ミケツ様は言った、「ナオイぃ、要らんのならあっちが食ってやるえ。」と。


何ですとお〜ッッ!!? 「ちょ、ちょっとミケツ様っ!」


ミケツ様の右手には、しっかと握りしめられた子供用安全ホーク、そしてそれは一瞬のすきをつき、❝初めてこんな近くでイチゴのショートケーキを見た!❝的に感動しているだろう、ナオイちゃんが見つめる、とっても素敵なイチゴのショートケーキを、イチゴの上から、「ブサッ!!」と心無くも、無慈悲にガサツに、突き刺したのだ⚫⚫


ああ⚫⚫血の気引いていく。


今現在、オレの頭の中は、走馬灯のちょっと遅いくらいの速度で、時間が流れていると思われた。


そんな事より!


ナオイちゃんに目をやると、ああっ!!


(けが)れなき(まなこ)にてミケツ様を見つめている!


そのミケツ様は 鼻のてっぺんから口の周りにおバカなサンタさんを思わせる生クリームを泥棒ヒゲの如く、さっきよりバージョンアップした状態で散りばめられていた!


いいのかッ!? いいわけないだろッ! それだけ見ればアホな子供だ!


だがしかしっ! 問題はそこではないっ!


オレはまだ手を付けていない黄色いモンブランを両手でしっかと持ち! ナオイちゃんの側へと駆け寄った!


「な、ナオイちゃん⚫⚫、あ、あの、オレのケーキ⚫⚫」と、その時、「ミケツ様っ!」と女性の声、春名先生!?


その声には怒りが込められているように聞こえた。


春名先生はミケツ様のすぐ横に正座をして座り、「それはナオイちゃんのケーキです。」と、今までで一番怖い目をした春名先生がそう言った。


「ナオイが食べんてゆーたえ⚫⚫」と、ミケツ様も少し春名先生が怖いようだ。


「ナオイちゃんが本当にそう言ったんですか? 私は嘘をつく子は嫌いです。」と一喝した。


すると⚫⚫、みるみるミケツ様の表情が変わり、


「う⚫⚫ぅわ〜ん! だってぇ、だってぇ」と、泣き出してしまった!


ミケツ様が⚫⚫、


泣いた!? 泣くのか!?


涙を拭うミケツ様、⚫⚫顔中、生クリームまみれ⚫⚫


オレはナオイちゃんの方へ目をやった。


あ!


肩をすぼめて泣いている!? うつむき小さく泣いている!?


声を殺して静かに泣いている⚫⚫⚫


泣く事は悪い事じゃないんだよ、大声で泣いたっていいんだよ、


オレは⚫⚫

そうだっ! さっき座ってた横の席にイチゴのショートケーキが置かれていた! それがあるじゃないか! やっぱ栗よりイチゴだよな!


オレは立ち上がって席に戻ろうとした、がっ!! そこには猫娘が最後のフロンティアに睨みをきかせて佇んでいるではないかッッ!!! なんでお前がそこにいるんだよッ!! なんてことだああ〜ッッ!!!


「オイッ!!猫娘ッッ!!」

オレの声に気がついた猫娘はすぐさま目の前のイチゴのショートケーキを隠すように威嚇してきた!!


「モッ、モンブランだっ!! お前にはモンブランをやろうっ!! 美味しいぞっ!!」


これはっ!!


テレビて見たことがあるぞ! 獲物をひとり占めしようとしている野生動物だ!


おれはすぐにモンブランを持ち、猫娘の元へと駆け寄った、「おっ、落ち着けっ、猫娘っ! これを見ろっ! 黄色いぞっ!黄色いケーキだ! ドオー、ドオー、ドオー⚫⚫、取ったりしない、取ったりしない、」


猫娘はオレの持つ黄色いケーキに目を奪われていた、行けるっ!行けるぞっ!


「このケーキはな、名をモンブランと言うんだ、なんか凄いだろ、ただ凄いだけじゃないぞ! 黄色い生クリームの下には驚いた事に真っ白な生クリームがたっぷりと入ってんだ! 黄色と白の生クリームを同時に食べるとどーなるか知ってるかあっ?」


「ど⚫⚫どーなるの?」


フフ⚫⚫、猫娘の奴め、オレの術中にハマって、ヨダレを垂らしながらモンブランを見つめている! こいつの脳ミソは幼稚園児並なのか? バカで助かる!


「それはだな⚫⚫、ほっぺが落ちるんだっ!」


「⚫⚫ほっぺが落ちる、?」


「あ、いや、ホントに落ちるわけじゃないぞ、ほっぺが落ちるほど、美味いって、事だ。分かったか? 分かったなら、お前の持つケーキと、このモンブランを交換だ、どーだ? 悪い話しじゃないだろ、さっきも同じやつ食ってたんだろ? 今度は違うやつだ、モンブランだ、何だか凄いだろ!」


「⚫⚫じゃあ、交換する」と言う猫娘、


よっしゃあ〜っ! してやったり〜っ!


猫娘は隠していたイチゴのショートケーキを、パッと前に出した。


⚫⚫⚫あ!?


⚫⚫腕を手前に出すとき、


⚫⚫それはハイスピードだった。


そのため、


イチゴのショートケーキはその速さに耐えきれず⚫⚫


小皿の上から畳の上まで⚫⚫


落っこちる⚫⚫⚫、そう、


リンゴが落ちるのを見たニュートンが⚫⚫


なんか、どーでもいい事が、走馬灯のちょっと遅いくらいの速度で、いろいろ目の前をよぎっていった⚫⚫。


⚫⚫⚫ホントに、⚫⚫どーでもいい事⚫⚫


「ポチャ⚫⚫」畳の上に、ケーキが落ちると、こんな音が⚫⚫、


「アアアーッッ!!!何やってんだよおーッッ!!!」オレはあまりのショックに正気を失いかけていた!


猫娘はすかさず、オレからモンブランをワシ掴んで口いっぱい頬張り、食い始めた!


「アアアァーッッ!!!」


ナオイちゃんのイチゴのショートケーキが無残な姿に⚫⚫、モンブランも無残な姿に⚫⚫


「もうちょと味わって食ったらどーなんだよおーッッ!!!」そーじゃない、そーじゃない、何言ってんのオレは。


ああ、ケーキが⚫⚫、ナオイちゃんのケーキが⚫⚫


「まあ! たいへん!」


その声は、春名先生⚫⚫?


「あ、春名先生⚫⚫、スイマセン、猫娘の奴が、」


「いいんですよ、それに、ナオイちゃんのショートケーキですけど、不二家さんが多めに作って、持ってきてくれてて、」


え!?


「ちゃんとありますよ。」と、ニコッと春名先生!


オレも思わず、ニコッと。


ナオイちゃんを見ると⚫⚫


⚫⚫後ろ姿、


食べてる?


その横に、ふて寝してるミケツ様。


え!? 食べてる!? 食べてくれてる⚫⚫


春名先生は畳に落ちたケーキを片付けてくれた。


「ありがとうございます、春名先生。」


春名先生はとっても優しい笑顔を返してくれた。


さっき見た怒った春名先生の顔は⚫⚫、なんだか別人のようだった。


女性の表情は猫のようによく変わる、


ゴミ箱に捨てられるケーキを目で追う猫娘⚫⚫、おまえは変わり過ぎるっ! たまに化け猫に見える。


ナオイちゃんにとって、ケーキは人生初! だろうか? えらくゆっくりと時間をかけて食べていた。


このあとは春名先生や不二家の主人とその奥さん、数人の幹事であろう人達と話して、クリスマスパーティーは終盤へと近づく。


その間、猫娘は子供たちの注目を集めていた、


おまえは反省をしないんだな。


オレがそこへ目をやると、猫娘の着ている衣装がなぜかコロコロ変わって見えた、白と赤のサンタガールの衣装から、黄色や青、緑、そして幸詠さんがこの前着ていた黒の服まで着て、一人ファッションショーをしていた。


どこにそんな衣装が、この公民館に置いてあるのだ?


なんでも受け入れる村の衆なのだが、「ねえ、玉江ちゃんの耳って本物ぉ?」と聞く、一人の子供に対し、「本物に決まってるじゃなぁ〜い! 猫耳よぉ〜、」と、隠し事を一切しなし。


「ねえねえ!玉江ちゃん、猫に変身出来る〜?」いや〜、さすがにそれは〜⚫⚫「できるわよぉ〜!」オイッ!!


猫娘は一瞬にしてペルシャ猫へと変身した!


「うわーッ!すごぉーいっ!」「すっげー! どやって変身すんのぉ〜?」こっ、これはっ、教育上良くないのではっ!? 現実と空想の区別がつかなくなってぇー! 上島みたいに変な大人になってしまう〜っ!!


「猫耳ちゃんて凄いのね〜。」と言うソフィーさん。


ウッソぉっ!? ソフィーさんまでぇ〜!?


「世間て広いのね〜、凄い人がいっぱい。」と、不二家の奥さん。


いやいやいやいや〜、世間て、村ONLY? 普通の世間じゃ猫娘は存在しませんから! 変身もしませんからっ!


不二家の奥さん、夫婦揃ってマスコットのペコちゃんに似ているのも凄いけど、この村ではそんな事がちっぽけに思えてしまうほど、


あなた達のその感性もまた、凄すぎる。


猫娘は子供たちに変身の仕方を教えていた。


見たところ、


変身ヒーロー物のポージングをアレンジして教えていた。


いつもはポーズなんて決めないで猫になるのに、今日に限ってポーズを決めている、そしてそのポーズを子供たちに教えている、「がんばれば変身出来るって!」と、熱血指導の猫娘。


頑張って出来るものじゃない。


顔が真剣なので⚫⚫⚫


お前の頭の中がどーなっているのか、分からない。



午後三時を過ぎた頃、子供たちのクリスマスパーティーは終わった。


最後に、春名先生やソフィーさん、それにサンタの格好をした校長先生から、子供たちにお菓子の入った袋を配っていた。


そのお菓子の袋を並んで受け取る、笑顔いっぱいのナオイちゃん。


公民館の後片付けは明日やる事になっていた。


帰り道、


ナオイちゃんは、


すごくすごく、笑顔だった!


さっき泣いてたから心配したけど、


ぃヤッホー! その笑顔、一瞬でさっきまでの何だか分からない疲れが吹き飛んでしまう! ナオイちゃん、カワイイ〜!


ウキウキの猫娘、スキップしながら踊るように歩く、 おまえも楽しかったんだな、ナオイちゃんよりはしゃいでる。


う〜ん⚫⚫だけどだ、


猫娘の奴、自分の事しか考えていなかったと思われるのに⚫⚫、


なぜ、ナオイちゃんは猫娘に懐くのだ? なぜ、オレじゃない? 何が違うと言うんだ?


⚫⚫見た目かなぁ。


猫娘とナオイちゃんのすぐあとを歩くオレはちょっぴり肩身が狭い。


⚫⚫と、思っていたら、


猫娘の髪の毛が⚫⚫、だんだん伸びて!?


目の錯覚!? いやっ、行きもそうだった!


また縮んで、


ショートヘアだ、ショートヘアになった! すっげーッ! オレは感心してしまっていた! 散髪に行かなくて済むじゃないか!


なんて便利なファンタジー体質なんだ!


おおっ! 今度はっ!! 髪の毛がバッと伸び、上へと逆立った!! 生きているかのようだっ!?


そしてその逆立った長い髪はクルクルと細くまとまり、ソフトクリームのように、猫娘の頭の上へと巻かれていった!


ウンコみたいだ! ウンコが頭の上にの乗っかっているみたいだ! 昔見たアニメでアラレちゃんがウンコを頭に乗っけていた!


⚫⚫マネ、しているのか!? そーなのか!?


その頭のウンコは、こともあろーに、赤や青、黄色と色を変えていったっ!! 頭の上でウンコがカーニバルだっ!


それを驚いた顔して見ているナオイちゃん、


そりゃ、驚くよっ! どー言った原理で髪が伸びるんだ!? 毛穴から伸びては縮むのか!? なんか気持ちワルっ!色はなぜ変わる!? なんだっていいのか!?


いけないっ!! 現実を無視した超常現象っ!


頭のウンコが信号機のように点滅して、赤に変わったーっ!! 教育上よくないっ!! 上島みたいになってしまうっ!!


だから、「おいっ!猫娘っ! その頭はなんだっ!」と言うと、


猫娘は振り返り、ウンコの髪の毛をスルスルスルー⚫⚫とほどき、今度はナオイちゃんの体にその生き物の如く動く髪の毛を巻き付けていった!


「フフフ⚫⚫、あたしの美しい髪はこんな事だって出来るのよ。」と猫娘はナオイちゃんの全身を自分の髪の毛で巻きつけ、それは首元まで伸びていった!


「お、おいっ猫娘ッ⚫⚫」


みるみるナオイちゃんの全身は猫娘の青みがかった長い髪で巻きつくされてしまった!


猫娘は不敵な笑み見せていた。


⚫⚫猫娘の奴、この時を待っていたかの様に、⚫⚫笑っている!?


背筋にゾッとする冷たいものを感じたっ!!


まさかこいつっ、本気でっ!?


「お前ッ何をッ!!?」


ナオイちゃんに巻きつく猫娘の生き物のような長い髪の毛は赤や黄、青、緑と色を変えていったっ!


そして猫娘は言った、


「アーハッハッハッハッ!! これで首元まで隙間なく巻き付ける事が出来たわぁーっ!」と。


オレは、猫娘の言った言葉の意味を知る事を拒んでいた!


ナオイちゃんに巻き付いた猫娘の髪の色は激しさを増し、赤、青、黄色、最後にはレインボーカラーとなり、⚫⚫クルクル回り出していた。


そして猫娘は言った!


「⚫⚫フフフ、 これであったかいわね! それにとーっても楽しいわっ!? ⚫⚫どう、凄いでしょ?」と⚫⚫



⚫⚫何が?


オレにだと思うが、


勝ち誇ってみせた。


そしてオレは考えた、


⚫⚫考え過ぎだな、と。


どの辺を凄いと言いたいのだろうか?


一部始終を見ているオレには、どこからどこまでが凄いのか、もう分からなかった。



「ナオイちゃん、あったかい?」と聞く猫娘、


「うん。」と、返事をするナオイちゃん。


オレの前を歩く二人は、


⚫⚫猫娘に髪を巻きつけられたまま歩くナオイちゃん、


電球を付けた服を着ているかのように、チカチカクルクルとレインボーカラーで、⚫⚫パチンコ屋さんみたいだった。


あったかくって、とっても楽しい、と猫娘はそう言っていたが⚫⚫


不気味だよ。


それと、不敵な笑みはやめろ、誤解するだろ。




アパートにつく頃、また少し寒くなったのか、雪がさっきより強く降ってきた。


二階のオレの部屋の前に⚫⚫、


ぬいぐるみが一つ、置かれてあった。


ナオイちゃんはそのぬいぐるみを直ぐに手に取って、


小さなカワイイ声で、「あなたはどこから来たの?」と、尋ねていた。


すると、「遠いとこからだよ。」と、ぬいぐるみは答えた。



つづくッ!!




第四十一話 「初めてのクリスマス」




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