表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まこらみみらせ  作者: しげしげ
10/42

第十話 「日曜日はまだ終わらない」




第十話 「日曜日はまだ終わらない」



春名先生から少し ゆずを貰った。


それを持っておうちに帰る、


・・日はまだ高い、なのに 私の心はとっても寂しい、・・・春名先生とお母さんは二台の電動自転車で「城島先生 また明日!」と元気に明るくさよならされた。


・・・ああ・・・、寂しい・・。


・・彼女が欲しい・・・、ああ・・・・、


・・ああ。



アパートに帰ると、ゆーパックが届いていた。


・・・最近 郵便屋さんは 鍵のない私の部屋を勝手に開けて、玄関に置いててくれている。


・・・・受け取り、いらないのかな?


・・・あれ、そういえば押し入れの前に 十ほど置いてある宅配便の箱の横に積み上げて置いてある カップ麺が・・・無くなっているような気がする、・・・・気のせいかな、・・・オレは無意識のうちにカップ麺を食っているときがあるからな。


オレは押し入れを使わない。


なぜかと言うと 怖いからだ。


以前見たホラー映画に、・・・ああ、・・怖い・・・、押し入れ開けたらお化けが入っていたのだ、あんな怖い映画、・・・ダメだろ。


だから、古いアパートの押し入れは使わないようにしている。


布団は引きっぱなしだ、服は脱ぎっぱなしだ、・・・・それでいいのだ。


そうだ・・・洗濯をしよう、三日も続けて着ると夏はダメだ、臭くなる。


アパートの風呂の横に洗濯機が一台あったな、・・・あれ、使っていいのかな? 人のかな? 黙って使ってもばれないかな?


今までは 洗面器の中で洗ってたけど、・・・汚れが落ちてないような・・・。


オレは暇なので 洗濯することに決めた。


半透明のごみ袋に 洗濯ものがいっぱい詰まっている、・・捨てるわけではない、汚いから入れているだけだ、・・それにちょっと匂うし・・。


さっそく半透明の込み袋を持って、洗剤持って・・・こっそり玄関開けて・・・人がいない事を確認して、静かに階段を降りた。


・・よし、誰もいない、・・辺りは静かだ、・・・まだ遠くで蝉が鳴いている、・・・土から出るタイミングを間違えたのかな? ・・・いや、そんなことはどーでもいい!


オレは洗濯機の前で考えていた、・・・・使ってもいいのだろうか? 誰かの所有物なのだろうか? 少し古い型の全自動だ、・・・どーやって使うのかな?・・・・洗濯機の横には 使われてない犬小屋があった、・・・上島の家だ。


・・・うー・・ん・・・。


カタカタ・・


なんだっ!? 焦ったあっ! ・・・やましい事してるつもりはなかったけど焦ったあっ!


カタ・・


アパートの風呂の横、・・・そこから、何かいる! ネコか? ドキドキする・・


いやっ! ここは田舎っ! 熊? 蛇? いやもっと現実的にキツネ? たぬき? ああ・・食堂思い出したっ! いやっ! イノシシ? もしそーだったら どーするっ!? 洗濯機の上に飛び乗るかっ!? 前には物干し台もあるっ!! これは使えるっ!! ここに干せばいいんじゃないか!? でもこれも人のかなぁ!


いやいやっ そんな事っ後で考えろっ!!


ガタンッ!!


デカい!!


「あ・・城島先生、」


・・ソフィーさんでした。


「城島先生 何してるんですか?・・・・あ、洗濯ですか?・・その洗濯機は誰が使ってもいいんですよ、どーぞ。」


「あ・・ソフィーさん、・・洗濯機、・・使ってもいいんですか、そーですか、・・・良かったぁ・・。」


なんだなんだぁ・・・ソフィーさんじゃーないかー、いやー金髪って映えるよねー、なんか こうパッと周りが明るくなった感じ? ソフィーさん、いるんならいるって言ってくれればよかったのにィ―・・へへへ。


「あの、ソフィーさんは何かしてたんですか?」


「ええ、お風呂 沸かそうかと思って、・・・で 準備してたんです。 フフフ。」


フフフぅ・・だってぇ、カワイイー!


「え!? お風呂 沸かすって・・・・薪で?・・・ソフィーさんが?」


「ええ、そうです、お風呂を沸かすのは私の仕事なんです、家賃を半分に負けてもらってるんで。」


お風呂は入りたい人が薪で沸かす、これが基本で、ソフィーさんの場合は家賃半額免除にしてもらっていると言う事で 用事がない限りソフィーさんがお風呂当番と言う事になる。

洗濯機と物干し台は 大家さん、春名先生のお婆ちゃんの寄付で誰でも使っていいと言う事とだ。


それからアパートの住人が分かった、一回は101号室に 函館太郎さんと言う名前の男性が住んでいる、本名かどうか定かではないが演歌歌手のような名前だ。


その隣は 102号室には誰も住んでいない、103と104はトイレと脱衣所、洗面所に風呂場となている。


201号室は オレ、202号室はソフィーさんだあ! 203号室は空き、204号室に上島新平が住んでいる、やはり犬小屋ではないようだ。


上島新平と言う奴、ほとんど働かず204号室に籠っている、・・引きこもりらしい。


この前の あの態度からして 引きこもるタイプとは思えないが、・・・人は見かけによらぬものなのだろう。


そして101号室の函館太郎さんは 夜だけ開店の古本屋さんを営んでいると言う事だ。


自営業か、すごいな、しかも夜だけって・・・どー言う意味なのかな?・・・客いるのかな? お店は この道をちょっと行ったバス通りに面した場所と言っていたが・・・・そんな店は無かったように思う。


それと 子供たちが 函館さんの事を "ドラさん"と呼んでいたが、・・あだ名らしい。


何でも 自称ドラキュラだと言う事だ。


・・突っ込む気がしないので 飛ばします。


私は そんな話をソフィーさんと話しながら 薪割りをしてみた、小ぶりの斧で薪を割っていく、最初は的外れに薪が割れなかったが、ソフィーさんにコツを教えてもらってからは どんどん薪を割っていった。


これは癖になりそうだ、気持ちいいほど スパンと薪が裂けるのだ。


ソフィーさんは私が割った薪を釜にほおり込んでくれた。


釜はアパートの西側にあり、その後ろ側には桜の木が小さな用水路に沿って植えられていた。


用水路の向こうはきれいな田んぼで まだ青い稲が、ちょうど穂をもたれてきたところなんだろう、風が緑の穂に波をたてている サラサラサラサラ・・・いい風だ、きれいな風だ。


木の焼ける匂いと煙は 昔、母方の田舎、広島で見た懐かしい風景の一つだ。


広島では当時 まだ古い街並みが残っていたせいか、つい最近まで 薪で風呂を沸かす家がたくさんあった、いわゆる五右衛門風呂だ。

風呂釜の中に大きな板が浮かんでいて、それを踏みながら風呂に入る、・・・私は子供だったので爺ちゃんと入った記憶がある。


工業地帯など周りに無く 瀬戸内海のきれいな景色が漁港から見えたりした。


爺ちゃんの家は 瀬戸内の小さな港町で町と言っても村のような雰囲気で 大正、昭和初期に建てられたような二階建ての黒塗りの長屋などが 両側にずらっと並んで建っていた。

夏休み、小さかった私は そのタイムスリップしたかのような黒い家並みを歩いて散歩してたのを覚えている。

誰もいない、人っ子一人いない夏休みの午後、私は一人で道の真ん中をドキドキワクワクしながら歩いてみたんだ、まるで自分が少しの時間、物語の主人公になったみたいに、・・とっても嬉しかった。


遠くを探検するにはまだ怖い、ちょっとした冒険をしてお祖父ちゃん、お婆ちゃんの家に帰る途中、夕方になると夕飯を作る音とおいしそうな匂い、玉ねぎなどを鍋で煮込んでいる匂い、カレーなのか? 肉じゃがなのか? それに 風呂釜に薪がくべられ煙が少しだけ家々から出ている、それとその焼ける薪の匂い。

香り、匂い、そう言ったものは 見えないし形に残らない、データに残すことも出来なければ、未来に残すことも出来ない、その時 その場所にいないと経験できない感じることが出来ないものなのだ。


今、ソフィーさんと何気ない日常のやり取りや会話を、私はずっと歳をとってから 少年時代に見た広島の景色と同じように思い出すんだと思う。

だから 今はまだよくは分からないが、きっと これもお金では買えない思い出になるんだろうと思えてくる。


ここの玉利荘は五右衛門風呂ではないが薪で沸かすと言う古い形式を使っている。


「一番風呂、入りますか?」と言うソフィーさんに「ソフィーさんがお先にどうぞ、上島が覗かないように見張っときますから。」と言うと、「じゃあ 一緒に入りますか?」と言われて ちょっと本気にしたオレ。


そしてソフィーさんが先に入ることになった、オレはのぞき魔からソフィーさんを守る役を買って出た。


そろそろ夕方だ、黄金色の日差しは少しづつ色濃くなる。


一匹の蝉しぐれ、季節はもう秋風だろう・・蝉にとっては寒いだろうに、・・出るタイミングを間違えたのかな?


今年は この蝉で最後だろうな。



・・いやー、何もしないで 入口の前で立つだけでぇ・・・いろいろ頭に浮かぶんだけどー・・・。


・・ああ・・、どーしよー・・、自己嫌悪に陥りそうだ・・。


風呂の中から・・・カタン・・とか、ザバア・・チャポン・・・なんて音がたつと・・・


・・・だってオレ、男だよ、・・男なんだよ、・・・ああ・・ああーっ・・・・


・・・おさまりがつかない、・・ああっ・・こんな時は 嫌だけど・・せっかくのサービスタイムで嫌だけど・・・仕方がない、オレは今日から紳士なのだ、


・・・だから 上島の面白くて腹の立つ顔を思いだ「おいっ!」し・・?


っ!!! 「上島っ!! 出たっ!!」 部屋に閉じこもっていると言うのはほんとーかっ!!


「・・なあ、・・・ソフィー 風呂入ってんのか?」


「だったらなんだっ!? 何 普通に聞いてんだっ!! 前科者めぇっ!!」


「・・・なあ、」


「なんだよっ!! さっきからっ!! オレが見張ってんだからなっ!!」


「・・・わかったよ、・・じゃあ こうしようぜ、・・・一緒に覗くってのはどーだ?」


「はあぁ・・? ・・あのなぁ、上島ぁ、一緒に覗くから、それでいいだろって・・・お前、何か大切な部分、飛ばして考えてないか?」


「大切な部分てなんだよ・・・・・? はっ、・・あれの事か!? いやっ! あれは 見えないって、なかなかそー簡単にはなあ、お前も贅沢は言うなよ、」


!!?? こいつっ大変なこと考えてた!? 待て待て待てまーて、とりあえず「お前の顔をよーく見せろっ!」この腹の立つ顔でも見て落ち着かないとな・・。


「・・・なんだよっ!・・」っ! うわっ!! 照れてんのか!?こいつっ!!「キッモーッ!!」

「はあっっ!!何がキモイだあっ!! 気にしてること言いやがって―えっっ!!」


「・・・、おまえなあ、建前も本音も・・全部口に出すな。」


「・・な、なにがだよ・・? 何が建前だよ・・オレは建前なんて嫌いだっ!」


「・・はあー・・、前からそーじゃないかなーって・・思ってたけど、・・・・心に思ってること 全部喋るだろ?」


「・・ああ、喋る。・・・・だが それのどこが悪い?」


「・・・・もう いい、・・よくわかった・・・上島ぁ、お前は悪い奴じゃない、・・・・だが正真正銘のバカだ。

お前に送る言葉がある、受け取れ!」


「・・何を受け取るんだよ?」


「言葉だよっ!!


一つは、バカにつける薬はない、だ。

他にはこんな言葉がお前にふさわしい、バカとハサミは使いよう、バカも歩けば棒に当たる、バカの上にも三年、三年バカ太郎、バカも木から落ちる、バカでも鉄砲 数撃ちゃ当たる、バカに小判、バカが上島しょってやってきた、バカは死ななきゃ治らない、こんなところだ。」


「もおいいっ! もおいいわっ! 笑っちまったじゃねーかっ! アハハ おまえっ知ってることわざに全部 バカつけただけだろッ!」


「ところで上島ぁ・・Tシャツに短パンは女だけだぞ、・・男のお前が短パンはいたら すね毛ボーボーですんげー汚ねー絵になるんだよっ、見せつけんなっ! だから夏でも冬服着ろよっ! 露出度をゼロにしろよ、な。」


「な、じゃねーよっ! ろしゅつどゼロって・・それって顔も全部隠せってことかあっ!? 何着んだよっ!! 着ぐるみしかねーよっ!!」


「着ぐるみ着ろよ!」


「なんでこのクソ暑いのに着ぐるみ着るんだよぉッッ!!・・・で、どんな着ぐるみだよ?」・・・? なんだ、こいつ着る気なのか!?


「おおっ!そうだっ! お前とも仲良くなったからっ!」と言う上島、ガラガラガラガラアーっ!と 脱衣所の戸を一気に開けた上島っ!!「おいっッ!!」ソフィーさんが入ってるッッ!! 思わず中を見るオレッッ!! オオオオオオオオオッッッッッッ!!!!これわああッッッ!!!!


アアアアアアアアアッッッッッ!!!!


「閉めろッッッ!!!! 上島あっっ!!!」ガラガラガラ!!ガッツンッッ!!!!「イデエエッッ!!!!」ガラララッっバンッッ!!!!とオレは急いで戸を閉めたっ!!!上島の頭に見事ヒットしたっっ!!!だがっ!気にしなあいっっ!!!!


ハアハアハアハアッ・・・オレは今世紀始まって以来の衝撃を受けたッッ!!! 生まれて初めてと言う事だッッ!!!


それはっ・・・


それはアッッ・・・


お・し・り・ぃ・? ・・・おもてなしみたいに言ってくれますか?


おぅ・しぃ・りぃ・、おしりー。


アアアアアアアアアッッッッッ!!!! あれがとう、・・神様ぁ! 


生まれて初めてあんなきれいな女のおぅしぃりぃを見てしまったあっっ!!! あれはっ! なまっ!! やっぱ違うっっ!! 銭湯で見た 汚い何かとはぜんぜん違あうっっ!!!


「おいっ!! じょーしまぁっ!! ラッキーだったなぁ! ソフィーが風呂から上がったとこだったぜっ!! 今夜は一人祭りだろっ!! 今晩だけはソフィーを貸してやるっ!! そーぞうだけだぞっっ!!」


このバカは何を言っているんだ!? とりあえず 上島の顔の横についている豚まんみたいな固まりを握りつぶすことにした。


「イデエエッッ!!!! 何すんだっ!!? スッゲー痛いだろっっ!!! お前っ本気で力入れただろッッ!!!」


豚まんはオレの手の平にちょーどいい大きさだった。


「お前なあっっ!!! 人がいいもん見せてやったのにっっ」短く太い指先がオレの顔の前で指されていた。


人に指を指すなと親から教わらなかったのか?


オレは その短く太い人差し指を掴んで、上島くんの顔の方へ向けてあげることにした。


「イッデエエッッ!!!! 指が折れんだろがあっっ!!! お前っっ!!いい加減にしやがれえっっ!!!」と言って オレに掴みかかってきた、「コンチクショーっっ!!コンチクショーっっ!!!」上島は あまりにも非力だった。

なので、横へと力を流したら、足がもつれたのか、ついでに飛び込み選手のまねでもしたいのか、地面に向かってダイブした。


ぺちゃんっ!!


肌着のようなタンクトップがめくれ上がった。


・・動かない。


・・つぶれた蛙を思い出した。


・・・あの時は 蛙に申し訳ない事をした。


あ、動いた、四つん這いになった、・・体が重そうだ。


・・よちよち歩きの赤ん坊のようだ。


・・立った、・・・よく頑張った! 振り向いた、・・・めくれ上がった腹には 砂がべったりと付き、二つの豚まんも土まみれになっていた。


握りこぶしのまま ・・・上島は半分泣き顔でこちらを睨みかえしていた。


その時、脱衣所の扉が開いた、ガラガラガラガラガラララ・・、


ソフィーさんが出てきた! やばいっ!! お尻を見てしまったっ!! 嬉しかったっ!! そーじゃなくて・・どーしよう、悪い事をした、・・なんて言ったらいいんだ、


「おいっ!! ソフィーっ!! こいつが お前の尻を見て喜んでたぞっ!!・・なんか言ってやれっ!!」


「はあっ!? お前だろッッ!!」いやっ そんな事より、ソフィーさんの気持ちになって考えなければっ!!


・・・


・・・


・・・う・・分からない・・・。


「おい、ソフィー! こいつっ 変態だぞっ!!気をつけろっ!!」


「ああ・・の ソフィーさん、・・・えっと、・・扉を開けたのは・・・」


「どーせ、しんちゃんでしょ。」と言う、ソフィーさん、「・・・もう いいんです、・・しんちゃんに言ったって聞かないし・・それに、見られたって減るもんじゃないし。」


減るもんじゃないけど・・・嫌でしょ?・・ふつう。


「ソフィーの尻は最高ーだよなぁっ!」と さっき半泣きだったのに「ハハハハハぁっ!」と笑うバカ。


「なあ、ソフィーイー、・・ちょっとでいいから 触らせて、お・し・り・。」


何を言ってんのかな? このバカは?


「もー、何言ってんの? そんなことしたら嫌いになるからね。」


「うそうそっ! 冗談に決まってんじゃんかあー、アハハハハハ!」


・・・マンガみたいだ。


「城島先生、このあと どうぞ、私は 部屋に戻って髪を乾かしますので。」と言って帰っていった。


・・・行ってしまった。


ガラガラガラガラーっ! 「じゃあ、オレが入るわっ! お先っ!」


「何がお先っだっ!! テメーはなんにもしてねーだろっ!!」と言って 中に入ろうとする上島のバカを引っ張り出した。


「何だよっ! オレは今から風呂入るんだよっ!! ソフィーが入った後はオレなんだあっっ!!」


頭にきたので 豚まんを握り潰すことに決めた。


イデイデデエッッ!!!!」


とりあえずは 駆除し後、オレが入ることになった。


「わかったよっ!! じゃあっ! 一緒に入ることでいいだろっ!!」と言ったから、もう片方の豚まんも潰すことに決めた。


上島は泣いて帰っていった。


・・・オレは、弱い者いじめをしているのではと罪悪感に苛まれた。


が、気にしないことにした。


心を静め、ソフィーさんとの薪割りを思い出すことにした。


オレは服を脱ぎ・・・・あ、


・・洗濯物・・・・忘れてた。


まあ、いいかあ、ソフィーさんと一緒に薪割り出来たんだから。


オレは 風呂場へと足を踏み入れた。


・・生温かい浴室は とっても清らかなように思えてならなかった。


はあー・・ふぅー・・ 深呼吸をしよう。


ああ・・・、ちょうどいい具合に浴室に西日が差し、夕方前の幸せな午後をつくっていた。


オレは 湯船を見つめた、・・・・西日の光がきらきらして、とってもきれいだ。


はっ!!・・・・座って体を洗おうとした瞬間!! 一番手前にある プラスチックの風呂で使う椅子に・・・目を奪われた。


三つ、ある。


・・たぶん・・・ソフィーさんが使ったと思われる椅子は ・・・この手前にある なんとなくきれいなこの椅子だ。


後は 汚い、使う気しない椅子が隅っこにある、もう一つは少し離れて ピンク色の椅子がある、・・・これはどー言う事だ! ピンクだと!? なぜ 隅っこにあるんだ!? わからんっ!!


ピンクは女性が使うもの、なら ソフィーさんじゃないのか?


いや、手前にある白の椅子も 女性が使っていたとしても いたって普通だ。


推理は嫌いだ、頭を使うと眠くなるからだ。


手前のでいいや、・・手前にあるから。


体を洗った後、ゆっくりお湯につかった。


明るいうちに入る風呂とは なかなかいいもんだ、夕方の静かな時間、一匹の蝉しぐれと風と葉っぱの音、鳥の声が遠くで聞こえる。


ああ、ソフィーさん カラスの行水みたいに出てったけど・・悪い事したなぁ・・、オレがいたからゆっくり入れなかったんだな・・・、部屋にいるから上がったらノックしてください、って言った方が ゆっくり入ってくれただろうか。


・・・上島が邪魔してんのかー・・・、あのバカ、毎回 覗いてんのかな? もしそうなら ストレス溜まるな、・・あの人はわざわざフランスからこんな日本の田舎までやってきたんだ、日本の文化なんかを情緒的にも感じたいかもしれない。


おれも この玉村に来て とても穏やかな気持ちになれるんだから、・・・きっとソフィーさんも 同じなんだろう。


ガラガラガラガラガラララーッ!! 「おいっ!! 城島あーっ!!・・」オレは横にあるプラスチックの風呂桶を引っ掴んでバカめがけて投げつけたっ!! コーッ・・ン!! いい音した! ちょっと気が晴れた!


上島は 裸だった・・・。





第十話 「日曜日はまだ終わらない」   第十話へつづく。 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ