第二話 第一章 ~始まり What do you think?~
夏休みと言えば。
俺達、高校生だけでなく学生全員がそうだろうが、天国である。
が、後半になるとそうも行かず、宿題の山に追われ、夜な夜な泣くことになるのである。
‥‥‥えっ、俺だけ?
まあ、とにかく。時には天国、時には地獄な夏休みを過ごすことになった。
‥‥‥フェーリーと一緒に。
夏 国立東宮柁高等学校一年一組
「だーっ!明日から夏休みかーっ!」
こんなセリフから、俺と、友達の永友恂之介との会話が始まった。
「そうか、明日からか」
「おいおい、ボケーッとしてんじゃねーぞ!俺はカミーと一緒に遊びに行くって決めているんだから!」
因みに、『カミー』とは俺のあだ名らしい。恂しか使ってないが。
「いや、俺聞いてないんだけど。遊びに行くなんて」
「そうか?まあ、今言ったからいいだろ!」
「いやよくねぇよ」
「HAHAHA!何を言ってるんだYOUは!『終わり良ければ全て悪し』って言うだろう!」
「いや、全て悪かったら今までやってきた意味無いわ!そこは、『終わり良ければ全て良し』だ!」
「ん?そうなのか。がははははは!俺には英語はわからん!前のテストは英語は三点だったぞ!」
自慢するな。というか。
「『終わり~』は国語だ!」
「国語?国語は一点だ!」
いやだから自慢するなって。
しかし、恂は急に真面目な顔になって、言った。
「まあ、苦労しているなら、いつでも相談に乗るぞ。大事な『親友』なんだからな」
こいつの、こういうところが好きだ。友達として、頼りになる。
「お、おう‥‥‥」
なんだか照れくさくなる。
「ま、友達の一人が心配してるだけって考えとけ。あんまり深く思い込むなよ」
「わかってるよ」
そんな、五時間目の休み時間の会話だ。
夏 紫蘇野家
学校が終わり、家に帰ってきた。明日から夏休みだから、今日はゆっくり出来るな、と考えていたら。
「ただいまー‥‥‥あれ?」
いつもなら、愛唯が「おかえりなさい」って言うのだが。
静かだ。
リビングに行ってみると、いつもとは違う感じがした。
冷気がする。
リビングには、扇風機しか置いてないのでこんな冷気はしないのだが。
まるで『氷に触れている』感じがする。
まさか‥‥‥。
愛唯は、能力を制御できない。能力に飲み込まれ、死ぬ事だって考えられる。
「愛唯!」
リビングのドアを思いっきり開けた。そこには‥‥‥。
「うわあぁ!お兄ちゃん!?ちょ、ちょっとこっち見ないで!」
水着を着て、わけわからん言葉を言いながら氷を操ってる愛唯と。
「あっ、神成さん!どうです?この水着!ギリギリでしょー?」
あと数ミリずれたら大事なところが見えてしまいそうな水着を着ているフェーリーがいた。
「お前ら何やってるんだ‥‥‥」
少し、頭を整理させてください。
というわけで。
「何やっていたんだ?」
「いやー、たぶん愛唯さんの異能力制御が出来るんじゃないかと思いまして」
「えっ!?」
正直、俺は声をあげて驚く。それだったらうれしいが、なぜ水着なんだ?
「そして、今に至る訳です」
「大事な部分をはしょるな!」
「大事?ああ、ここ見たいんですか?じゃあ‥‥‥」
「ストォォォォッッッッップ!!やめろ、俺を出血多量で殺す気か!主に鼻からの血!」
「ちぇ。準備万端だったのに」
「何の!?」
どうでもいい話を置こう。
「愛唯」
「ん?」
「お前、体は大丈夫か?」
「うん。前よりか軽くなったよ。でも、あんまりこっち見ないで‥‥‥」
「何で?」
「神成さん、わからないんですか?今、襲うチャンスですよ!」
何のだよ。
「水着、恥ずかしいの。それに、何か露出が多いから」
誰だよ。こんな水着用意したの。
「私ですけど?」
「お前か!大体わかっていたけど!」
「あの露出の多さは私の趣味です」
「いやな趣味!」
「それより、どうして制御できたんだ?」
それは、一番聞きたかっ事だ。
対してフェーリーは、つまらなさそうに言った。
「簡単です。『魔術詠唱』を利用するんですよ」
「魔術詠唱?なんだそれ?」
「覚えてませんか?デモンとのバトルで、デモンや私が言っていたあれ」
思い出した。あの、何言っているかわかんないやつだ。
「私が使った魔法は、非常にリーズナブルな物だったので細かい詠唱は要らないんですよ。それこそ、魔法名だけでいいんです」
「私の異能力は、すごく威力が強くて制御が難しいから詠唱はしないといけないんだって」
フェーリーと愛唯が交互に言う。なるほど、そういうことか。
「魔法には、詠唱が決まっていて、一言一句間違えないで詠唱できれば発動する〔確定魔術〕と、その魔法にある、特定の単語が入っていれば発動する〔不確定魔術〕があります」
ん?なんだかよくわからん。
「わかりませんか?じゃあ、わかりやすく」
と言って、フェーリーは、テーブルにあった紙とペンを取る。
「例えば、ここに『ザステリア』という魔術があったとします。本当はありませんよ、絶対使わないでください。そこにいる皆燃えて死にますよ」
絶対あるな、この魔法。というか、何でそんな凶暴な魔法を選んだんだよ。
フェーリーは、紙に、『ザステリア』と書く。カタカナで。
「そして、この『ザステリア』には、『炎上』という単語が一つでもあれば、発動します」
フェーリーは、紙に『炎上』と書く。
「詠唱の例としては、『我が身を犠牲にし、炎上させよ』的な感じです。これで発動します。もちろん、『炎上』と言うだけで発動します」
「?じゃあ、皆『炎上』って言えば‥‥‥」
愛唯が疑問を口にする。確かに。
「いいえ、そこに落とし穴があります。実は、単語だけ言うと自分も巻き込まれてしまいます。治癒魔法や、防御魔法だったらいいんですけど、攻撃魔法は、敵のダメージの二分の一が自分に来ることになります。なので、一文章ぐらい詠唱してくれれば、大丈夫なんですけど。先ほど例に挙げた、『ザステリア』だったら、敵もろとも自分もどっかーん‥‥‥ですよ?」
「怖いわ!あと最後の『ですよ』はやめろ。ちょっと‥‥‥」
可愛かった、なんて言える訳がない。
「ちょっと‥‥‥何ですか?」
「いや、なんもない」
「そうですか‥‥‥」
何で悲しそうなんだよ。
「ま、まあ、とにかくそんな感じです。『確定魔術』は面倒くさいので、説明は省きます」
「そういや、愛唯の詠唱はどんな感じだ?」
「い、言わないよ。ひ、み、つ!」
「えぇぇ!?‥‥‥まあいいか」
「で、どうして水着だったんだ?」
「えっ、決まっているじゃないですか」
?何を言ってるんだこいつは。
「せっかくの『NATUYASUMI』です。もう予約とってあるので、海行きます。これは決定事項なので変更はできませんよ」
‥‥‥フェーリーと、愛唯の両方の目がキラキラと輝いている。
これは、答えはひとつしかないじゃないか(主にプレッシャーで)。
「わかった。行こう、海」
どうも、五月雨度巳です。
今回は第二話です!やっと第二話です!
きゃっほーーーーい!
ふざけすぎました。すいません。
まあ、今回は夏休みに入ります!
これ書いてるとき冬ですけどね。
ではまた次回会えると信じて!
フェーリーの水着、絶対売ってないほど露出高いっす。
五月雨度巳