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第二章 ~設定 setting~

国立東宮柁高等学校こくりつひがしみやかじこうとうがっこう。国立以外なら、名前からすればごく普通の高校だろうが、他の学校とは違うところがかある。

一つ、まず、海に浮いている。

これは比喩でも何でもない。本当にプカプカと浮いている。何か仕組みがあるのだろうが、専門用語がいっぱいありすぎて何がなんだか分からん。

二つ、ものすごく大きい。

正確に言えば、『高校』という名前ではあるが、町一つ分ぐらいある。

因みに、東宮柁高校『本体』は一番奥の場所にあるので、地下鉄やバスの終点は、必ず「東宮柁高校本体駅」と明記されているらしい。

らしい、と言うのは俺がそれらをほとんど利用したことが無いからだ。俺は基本的にチャリである。(今回は、もう遅刻するとわかっていたので、歩きだった)切符買う金無いし。

三つ、もう学校のレベルを超えている。

簡単に言えば、どっかから、町を持ってきて、海に浮かせたような、そんな感じだ。

ショッピングモールとか、遊園地とか、住宅街とか、いろいろある。家賃は高いけど。

これが、東宮柁高校の、他とは違う(と思う)点である。






東宮柁高校 一年一組。

家を出てから一時間二十三分遅れてきた俺は、担任の片谷かたや先生(男)に怒られた。片谷は数学の先生、つまり俺が教室に入った時、片谷が居たということは数学の授業中だったのか。

席に座る許可が出て、やっと座れた。はー、疲れた。

「あの人間怖そうですね」

「ん?ああ片谷か。奴は怖いぞ。実は角が生えてるんじゃないかって噂もたってるぐらいだからな」

「角が生えてる、ってことは闇神賊の鬼科、鬼目でしょうか」

「いや嘘だろうよ」

「そうですかね」



ん?



「って貴様!なぜここに!」

「いやー、おっちゃんに『お兄ちゃんのところに行きたいです』って潤んだ目で頼んだら、連れてもらいました」

そこにいたのは、あの不死身女だった。

「おっちゃんも堕ちたな」

「いやー私にとって、人間などちょちょいのちょいですから!」

「自慢気に言ってんじゃねーよ」

ここで、俺は気づいた。ここはさっきの田んぼ道では無いのだ。

「おい、紫蘇野」

ここは片谷の持つ、一年一組だ。みんなの興味を乗せた視線と、片谷の恐怖を乗せた視線がビシバシと当たっていた。もし、視線が拳銃の弾丸だったら、俺と女は身体中血だらけだ。

片谷が睨んで、緊張感たっぷりに言う。

「そ、その、お前の隣にいる可愛いお嬢さんは誰だ?」

お前もか。お前も、こいつの毒に犯されたのか。さっきの緊張感はどこへ行った。可哀想だ、片谷。

「ふふん、聞いて驚け、見て驚け!」

「紫蘇野、そのお嬢さんは外国人なのか?だったら、日本語が少し間違ってる、と、訳してくれ」

「私の名前は‥‥‥」

また無視しおったぞ、こいつ。

そんな俺の思いも女には届かず、女は続ける。そういえば、こいつの名前を聞いていなかった。

「私の名前は、フェーリー・グリュック・マルウール・コントール。幸福と不幸を司る神です」


このクラスに、静寂が訪れた。


「え、えーと、外国人っていうことは分かった。しかし、外国人にも中二病を患う人はいるのか?」

片谷、その発言を撤回し、世界中の中二病に謝れ。

「おい、紫蘇野、本当なのか?このお嬢さんは神様なのか?」

今度は、視線が俺の方に来る。が、俺は知らない。ついさっき会ったばかりで、全てが説明出来るわけがない。

なので、このクラスを混乱させない、最善の言葉を言うしか無かった。

「いいえ、違います。当たり前でしょう!」

その瞬間、クラスには安堵の空気(なぜ安堵の空気が出たのかは知らない)が、フェーリー・グリュック・マルウール・コントールの視線に、何か変なものを感じた。

そして、片谷はまた面倒な事を聞いてくる。

「じゃあ、そのお嬢さんは一体誰で、どうしてここにいるんだ?」

かあああぁぁぁぁたあああぁぁぁぁやあああぁぁぁぁ!!!!

聞くな!面倒な事を聞くな!また考えなければならん!

しかし、答えない訳にもいかん。

しょうがない、考えるか。えーと、フェーリー・グリュック・マルウール・コントール‥‥‥長いな。面倒くさい。

フェーリー・なんちゃらなんちゃらなんちゃらなんちゃらなんちゃらなんちゃらなんちゃらなんちゃら‥‥‥‥あー!分からん!

と、いうところで思い出した。今日、朝踏んだDVD「セカンドスラッシュ」のヒロインの名前は、菊地原神無月きくちはらかんなづき

かんなづきかんなづきかんなづきかんなづきかんなづきかんなづき‥‥‥

「おい、紫蘇野?このお嬢さんは誰だ?」

「いやだから、私はフェー‥‥‥」

神奈かんな紫蘇野神奈しそのかんなです。一応、血の繋がらない妹としてここにいます。間違って着いてきたみたいです」


この教室に二度目の静寂が訪れた。

まあ、普通はそうなるな。すまん、みんな。





四時間目が終わった。片谷は、「お前は今日は休め。その神奈さんを家まで送ってやれ。言い訳は、俺が考えてやる」と、偉そうに言った。まあ、嬉しいがな。

フェーリー・グリュック・マルウール・コントールは、校門前で待っていた。

「おっちゃん、ありがと!お陰でお兄ちゃん見つけた!」

フェーリーは、おっちゃんにお礼を言って校門を出た。(俺は、ただ会釈をしただけだ)

ただ、このまま俺の家に帰る訳にもいかん。妹(本物)いるし。


というわけで、近くの喫茶店で飲むことにした。


適当に、俺は茶。フェーリーはウインナーココアを頼んだ。

最初に、水が運ばれてきた。頼んではないが、サービスで水が来るのは少なくない。そのあと、頼んだ飲み物が運ばれてきた。

夏の暑い日に、暑い茶を飲む。‥‥‥最高。

「フッフーン、フッフフーン、フフフフーン」

フェーリーはフェーリーで、やけに楽しそうだ。

「どうした。楽しそうにして」

そう言いながら、熱々のお茶を少し口に含む。

「いやー、まさか神成さんの口から、妹設定が出るとは思いませんでした」

吹いた。口の中に含んだお茶がフェーリーの白いワンピースに飛び、茶色のシミを作った。

俺は大きくむせた。肘がテーブルに当たり、少し痛かった。しょうがないので現状を確認した。

まず、謝ろう。

「ああ、すまん。むせた」

「いえ、別に気にしないで」

フェーリーはそんなことを言うが、俺は目のやり場に困った。なぜなら、フェーリーの白いワンピースにシミがついたが、肘がテーブルに当たったとき、水がこぼれて、服を透けさせていた。そして気づく。

こいつ、下着着けてねぇ。

「お前、下着は?」

「下着って何ですか?パンツですか?えっ、必要なんですか?私、てっきり防寒のためにしているのかと」

‥‥‥ダメだこいつ。

財布を見る。今日は偶然三万円もあるので、ある決意をする。


買いに行くか、パンツ。

どうも、五月雨度巳さみだれたくみです。

第二章目です。まだ、『一話』としては終わってないので、前章の続きとなります。

これからも、この話を書けたら、と思っております。よろしくお願いします。

因みに、この第二章、第一章の翌日に書き始め、その日の内に書き終わりました。かなりハードです。

それでは。



第三章は、(たぶん)バトルです!


五月雨度巳

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