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可憐な華でも、姫でもナイッ(仮)  作者: 桜雪りか
Ⅰ.英エリカ、モブキャラの謎編
6/33

万年不機嫌な暴君-4



 ……果たして、この行動に間違えはなかったのだろうか。あたしにはわからない。



 着席し、昼休みが終わり、授業が始まっても勉強どころじゃなく、全く手につかなかった。

 まさか俺逆エピソードをこのせいで早めてたりしないだろうか?そう思うと不安は募っていくばかり。


 まあ、英エリカの中の宮間瑛梨沙はここで終わらせたりなんかしない。戦う覚悟はできている。

 た…、多分ね。(白目)



 覚悟したつもりで結構ビクビクしているのは、これが現実だという証拠を最もわかりやすく裏付けていたのかもしれない。


 それでも好奇心が勝り、なんだか不思議な気持ち。 変だけど、あたしはこう思った。




(ああ、生きてる―――あたし、ちゃんとここにいるじゃない)




 宮間瑛梨沙はもしかして……まだ、生きている?




***



(そうだ……)



 昨夜から色々あり過ぎて、もはや今現在冷静な自分が不思議なくらい色々ありすぎて、全く触れずに「後でいっか」とスルーしていた事案があった。



「ただいまー。ねぇお母さん、お父さんは?」



 帰宅早々、広い玄関スペースからリビングに居るであろう母に聞こえるように、あたしはでっかい声でそう言った。

 すぐにバタバタと足音を立てて出迎えてくれる。



『お帰りなさいエリカ。ところで…その…』



 今朝のように不審そうな視線を向けられ、あたしは最初意味がわからなかった。だけど。



『貴女昨日からおかしいわ…いつもと話し方も違う、行動も別人みたい』



 こ、これよ~~ッ!!


 母にはどこか普通とは違う目で見られていた気がしていた、スルー事案・家庭のこと・その一。

 そして母はなにやら『病院に連れて行った方がいいかしら…』とか呟いていた。


 この事案、学校が優先だと思って考えてもいなかったが、流石に病院送りは第六感が拒絶を示したので今後は向き合おうと思った。

 あぁ、そっか……。

 あたしってば、つい標準語の癖でエリカがお嬢様口調だということを忘れていたみたい。



「ええと…、ごめんなさいお母様。この話し方が学校で流行っているものだから、つい」


『……流行りもの?あら、そうだったの!もっと早く言って頂戴よ~。お夕飯の支度はできてますからね。あと、邦之(クニユキ)さんは昨夜から出張よ』



 邦之はエリカの父の名前。

 そう言うと母は安堵の溜め息を吐き、そそくさとリビングへ戻って行った。

 あたしも後からリビングに行くと、用意された食事の前に座った。


 そしてこれが、わりと重要なスルー事案・家庭のこと・その二になる。

 重要なのにスルーしてきた、ということはスルーしてほしい。



『エリカに栄養をつけてもらいたくて、今日は張り切ったのよ―――シ・ェ・フが♪下がっていいわ』


『かしこまりました』



 こ、これよ~~ッ!!感じていた違和感!!

 スルー事案・家庭のこと・その二、この家が全然一般家庭ではないということだ。


 これは最初から薄々感じてはいたが、ゲームでの物語(ハナコイ)で英エリカは一般家庭という設定だったはずだ。

 ところがどっこい、この大きな家のどこに〝一般〟の要素があるのだろう?これも追究していきたいところね。



「有難う。戴きます」



 かろうじてエリカの記憶はあるものの、あの時は走馬灯のように流れてきたため、大事な部分しか鮮明には覚えていないのが難点だ。

 エリカの中に宮間瑛梨沙がいるから仕方ないのだろうか?

 まあテーブルマナーくらいは、宮間瑛梨沙(あたし)も知っているから大丈夫だけどね。……本当は友人の婚約披露宴の為に覚えました。結婚適齢期なめんなよ。(白目)


 話は逸れたが、最後のスルー事案といこう。



「お母様、お父様は何方(どちら)へ出張に行かれたの?」



 答えによっては、あたしのゲームでの知識が無駄になることを意味するけれども、その逆で、シナリオ通りかどうかを見極められることにもなる。


 ―――何せ、英エリカが心に闇を抱える理由の一つである「父親が失業し、【略】」に関わる問題が今発生しているのだから。



『あらあら。お土産なら買って来ると言っていたから、安心なさいな?確か…』



 これは走馬灯―――流れてきたエリカの記憶のことを、これからはそう呼ぶ―――で見たけど、ロサンゼルス出張にて父がやらかして会社クビになった。からの貧しい生活が続くはず。


 それでも父と別れない母の強い愛は、両親に理解してはもらえず縁を切られてしまうのだ。

 そして父は仕事を転々としている感じに……。



 ―――って、ああぁッ!


 走馬灯思い出したじゃないッ!だからエリカは一般家庭と言われるようになるんだわ!?もう!順を追わなきゃ思い出さないっての?



『確か、ロ…』


「あぁッ!やっぱりロスなのね!?お母様どうしましょう…」



(悪い予感はしてたけど!)



『いいえ、エリカ。ロンドンよ』


「どうしましょうロンドン!……って、え?ロンドン?」



 一瞬、何を言われたのか理解に苦しんだ。

 そして、こんなに早くも軌道に沿わない展開になるとは。どうしてこうなった?何が原因だ?

 だから取り敢えずお願いします。早く親睦旅行の日になっちゃって下さい。


 ……闇の力には取り込ませたくないけど、ちゃっちゃと終わらせてちゃっちゃとヒロインが来てくれればいいと思う。

 あたしはひたすら強制早送りを押します。くっ、ボタンがあればの話。




 夕食を食べ終え、もう寝る準備万全の態勢で気持ちノイローゼ気味になりながら自室へ戻った。

 はぁぁ~疲れた。


 強制早送りはできないけど、今日の強制終了はできるのよ。

 ってことでお疲れ様でしたおやすみなさい。(早口)



.

読み返して、さすがに父さん一人のせいで倒産は無いか☆と思ったのでちょい内容変更しました…汗

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