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可憐な華でも、姫でもナイッ(仮)  作者: 桜雪りか
Ⅰ.英エリカ、モブキャラの謎編
4/33

万年不機嫌な暴君-2



「な、!」



 えぇ~、ガラケーッ?不便だわ。

 これは帰宅したら必殺奥義「おねだり」ものだ。

 小さく溜め息を吐きつつ、日にちを確認した。



(世華(セイカ)6年、5月10日)



 ってことはあれだ、もうすぐ記念すべき最初の学年行事が待ち構える。

 その名も、親睦旅行。



 3年だというのになんとも悠長に、名前の通り「新しいクラス、親睦を深めよう!」的なやつ。

 それにもワケがあって、そんなに悠長にできるのは余程の理由がない限り、ほっとんどの生徒が皇華京学園にそのまま上がるからだ。




 ん?ちょっと待った。


 親睦旅行が近いってことは、「エリカが俺様の逆鱗に触れてしまう」エピソードも近いということ。

 てか、まだだったんだ。どうりで平和なのかー。いきなり来るとは思ってもみなかったわ。どう乗り切ろう?




 ―――「エリカが俺様の逆鱗に触れてしまう」エピソード、略して「俺逆(オレゲキ)」と呼ぼう。(雑)


 確か親睦旅行は5月25日から、京都に3泊4日だったと思う。



 あたし達の中学、皇華京付属中学校。高校も金持ちが集まるけど中学も同じ感じの人が集まるため、当然のこと、世間知らずばかりだ。


 だけどエリカにはクラスに数少ない友達もいたし、その友達―――[加城(カシロ) 絵鞠(エマリ)ちゃん]と、[柚葉(ユノハ) 凜子(リンコ)ちゃん]―――と京都も回った。人並みに仲良かったと思う。



 そして5月28日、親睦旅行最終日。

 あたし達三人はとある料亭で昼食を摂ることにした。料亭「緋凰(ヒオウ)」という所。なかなか記憶力あるかも、あたし。


 出される料理はお豆腐メインだったけども、とても美味しかったと思う。願わくは行きたい。

 で、唐突だけど……確か最初に口を開いたのは凜子ちゃんだった。



『本当美味しいわ~お豆腐ってちょっと食べづらいからあまり好きじゃなかったんだけど、これを機に食べてみようかしら』



 普段はナイフとフォークを使ってるお嬢様だもの。食べづらくて当然ね。

 そして絵鞠ちゃんも、『ええ、確かに食べづらいのよね。スプーンが欲しくなってしまうわ』と同意。

 そしてまた凜子ちゃんが、こんなことを言い出した。



『その……会長とかはどうなのかしら。お育ちが良くて、箸遣いもお上手そうよね』



 会長はこの頃から会長やってますね、ハイ。

 うっとりする凜子ちゃんに対して、エリカがやっと口を開いた。



「えと……でも、もし箸遣いが上手じゃなかったら、ちょっと幻滅しちゃうかも」



 ねえエリカ。なにフラグ立てちゃってるの?

 絵鞠ちゃんは『そうかしら。逆に可愛らしいかもしれないわ』と言ったのに、エリカはこう返したのよね。



「箸遣いが下手な人って、私だめなの。日本人としてどうかと思うわ」



 ここまでこだわるのは、母・華憐がお嬢様育ちだからかもしれない。そもそも母の母校だからエリカはこの学校に通っていたのだから。

 そして、ハッキリと答えるエリカに二人が突然青い顔をした。控えめに『エリカ、後ろ…』と呟く凜子ちゃん。


 首を傾げつつ振り向く、



エリカの、



は、背後に、



『貴様…それは俺に言ったのか?』



 ハイ見事にフラグ建てちゃいましたぁ~一級フラグ完成ですぅ~おめでとうございまぁ~す(棒)


 といったルートを辿るのはご勘弁願う。

 いやしかし緋凰行きたい。和食食べたい。今物凄い自分の中で葛藤してます。自分というか英エリカだけど。



 取り敢えず考えるのは置いといて、あたしはこれから理科という、会社でも大して役に立っていなかった厄介な魔物の授業を受けてから作戦を練ることにします。

 お疲れ様でした。



.

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