Ⅰ-2
…―――物語の舞台は金持ちの集まる、
「皇華京学園」という高校。
そこに一般家庭で育ってきた如何にも場違いなヒロインも入学するのだが、なんとこの学校、生徒会長の命令は絶対であり、逆らえば即退学その他もごもごもご……という謎の掟有り。キャー関わりたくないわ。
そして物語の重要なところだけど、ある日ヒロインは偶然廊下に落ちていたバッジのようなものを拾うのだ。
それが突然光り出してしまい、その姿をこれまた偶然……生徒会の人に見つかってしまう。
この出来事がきっかけで、この学園のヒミツ―――皇華京学園生徒会の人達は魔法に似た特別な力(もう魔法でいいじゃない)が使えることを知る。
無論、皇華京がただの金持ち学校でないことに加え、バッジは魔力が込められているから光っていたのだということも聞かされ、ヒロインは戸惑う。
……ちなみにこのゲームの攻略対象は、
俺様な生徒会長、クールな生徒副会長、ワンコな書記、癒し系な会計、ミステリアスな保健医、の五人。+確か闇のオーラの隠しキャラが一人。
そのクール(以下略)が、ヒロインが外部にこの秘密を漏らさないようヒロインの記憶を魔力で消そうとするのだが、俺様(以下略)はそれを止め、クール(以下略)にこう言った。
『あのバッジは魔力を持つ者以外は拒絶するのに、この女を拒絶しなかった。何故だ?』
返事に言葉を詰まらせたクール(以下略)を無視して、今度はヒロインに『お前を生徒会長補佐に任命する。逆うな』と言い放ち、生徒会ライフが始まる―――。
―――話は変わって「英エリカ」についてだ。
彼女も金持ちボンボンとオホホの高飛車が集まる皇華京学園の中では珍しい、一般家庭育ち。
実際母親は令嬢で父親はポンコツだから庶民扱いされてたような……。
とにかくヒロインと共通点があるにも関わらず、まずヒロインとの見た目の差と性格の差と言ったら!(激怒)
ヒロインはふんわり桜色のセミロングヘアに、若葉色の癒し系な瞳。
そしてちょっぴり天然な性格と、成績優秀で家庭的。見た目の愛らしさで、さぞ攻略対象達の庇護欲を掻き立てられるのでしょう。
比べてエリカはまず、黒髪おさげに銀縁メガネで如何にも真面目地味子。
性格は引っ込み思案。根暗。以上。(泣)
なんと言っても、中学時代に俺様(以下略)の逆燐に触れてしまったことがきっかけで、当人からも周りからもいじめ紛いのことを受けてきた。
というのも、そいつが普通の俺様よりタチが悪いのは、絶大な魔力を持つ者としてプライドがクッソ……げふんごほん、非常にお高いのでしょう。
高校生になったら流石に本人からは何もされないみたいだけど、そいつの取り巻き?ファン?みたいな奴らにはいじめられ続ける。
そしてそれを密かに恨んだエリカは、ザコみたいな(2回目)闇の力で「生徒会長のお気に入り」になったヒロインを裏で陥れようとする。
……これ、完全に俺様(以下略)のせいじゃない?
結局ザコみたいな(3回目)力しか使えないので、エリカは俺様(以下略って書くの疲れた)に返り討ちにあってぐわぁぁぁあ!でサヨナララバイ☆が末路である。
――――
―――――
と、まぁこんな感じでいい?
最後雑だけど誰も見ないんだから。
先程意識を取り戻してから、あたしは多過ぎる情報をノートに書き留めていた。
……でもどうして、よりにもよってラスボスでもなく、あのザコなのよ?よくある悪役令嬢に転生しちゃった小説とかの、つり目ドリルな美人じゃなくて、メガネおさげの地味子なのよ?
もはや良いとこ無しの、モブ扱いに近い可哀想なサブキャラ。もっと存在感あっても良かったんじゃないの。
なーんて!
あたしがこんなに冷静に分析できているのは、まだ夢だと信じているからかもしれない。
もしくは今頃トラック事故で意識不明で寝たきりなのかもしれない。
死んだにしても、生前にやり残したことなんて山ほどあるあたしに向かうところ敵なし。(※ヤケです)
ヤッ(×殺)てヤ(×殺)ローじゃないの。
大人なめんなよガキどもめ。(※恋愛ゲームです)
ああ、とりあえず今日は寝よう。
夢オチも期待できるからね。
本題はそれからよ。おやすみなさい……
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