Ⅰ-1
『―――ぁ…エリカ!目が覚めたのね!?』
(ん…?)
気がつくとそこは見知らぬ部屋で、見知らぬ女性があたしの横で、あたしを心配そうに見つめていた。
『学校の近くで倒れてたって聞いたから心配したのよ…ねぇエリカ、どうしちゃったの…』
………まって待ってマッテ。
『隠し事をしているみたいだけど、何かあったんじゃないの?』
ねえッ……
チョットマッテストップWait!!!!!
「いや、えっと…」
ねえねえエリカって……誰?
てかてか、アナタは……誰?
『家族にさえ言えないような嫌がらせか何か、されてるんじゃないの?』
いやいやナニ...言ってるの?
はたまた、ここは……ドコ?
「やっ!だか…―――ら…」
ふと、寝ていたベッドの正面にはドレッサーがあるということに気づき、鏡に写し出されたその姿を見て、あたしは言葉も発せなくなる。
そもそも、あたしは一体誰なのよ。
「あの、そこの鏡…壊れてない?」
だって、でなかったらおかしい。
『え…?何よ突然、壊れてないわ。ほらね?』
ほらね、とその女性はドレッサーの前に立ち、固定部分を触って確かめた。
その女性はちゃんと映し出されているし、おかしなところは何もない。
じゃあ、これは一体……?
ハッ!と突然、あたしの脳内に一人の名前が浮かび、口にする。
「エリカって…英、エリカ?」
『? 当たり前でしょう。混乱してしまっているのね。問い詰めてしまって、ごめんなさい…もう少し横になっていましょうか』
一瞬怪訝そうな表情をした女性はやはり心配そうにそう言った。あたしはというと、今度は黙って、コクリと小さく頷いた。
それと、ほぼ同時くらいに―――
あたしの脳内に、電流が流れるような―――いいえ。
もっと、稲妻が走ったような衝撃で、先程まで疑問符を付けてきた全ての謎が、解けた。
「ぁ…ぁ…」
その答えはあまりにも恐ろしく、ハッキリと。
そして考えて考えて脳をつかいすぎたことが原因で、あたしの頭はキャパオーバー。
『え、エリカぁ!しっかりして頂戴…エリカぁぁあッ!』
ヒステリックな金切り声を最後に、オールショートしてもう一度あたしは意識を失った。
(―――I'll be back.……)
――――
―――――
あたしの名前は宮間 瑛梨沙。
25歳。えっと……独身。
25歳のあたしは、わりと有名な某ゲーム会社である、【株式会社ラヴィダヴィ】という所に勤めていた。
『何を言ってるかわからない!』という、そこのあなた!とりあえず先程までの出来事を忘れて下さい。
一から整理しますからっ……。
ともかく事の始まり……(いや、終わり?ややこしいな)は、あたしがいつものように会社を後にしたある日の帰り道。あの日は雨だった。
前日の夜に、親とは電話で口喧嘩をして。
恋人とはなかなか会わない日々が続いて。
上司とも、あまり上手くいってなかった。
そんな絶望的三拍子が揃った状況で、悲劇は起きた。
青信号が点滅し、赤に変わる前に走り出したあたしの視界を覆うヘッドライト―――あたしはトラックに撥ねられたのだ。
それから先の記憶は定かでない。
けど突きつけられた現実が、今。
「エリカって…英、エリカ?」
(ハナブサ…エリカって―――!)
皆さん、もう思い出していいですよ。さっきのアレです。
それは紛れもなく、あたしの勤めていたゲーム会社で大ヒットの功績を残した……
乙女向け恋愛シミュレーションゲーム、
【ハナコイ~学園王子とヒミツの華恋~】の登場人物の名前だったのだ。
しかも、それだけじゃない。
英エリカはこの作中で、ヒロインの某攻略対象様にボッコボコのギッタギタにされて散る、かと言って悪役ボスでも何でもないザコみたいなサブキャラだ。真の悲劇のヒロインだ。(サブだけど)
漫画化もされた作品だから勿論情報に間違いはないし、何より会社に入るために夜な夜な攻略し続けたゲームなんだから。
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皆様、初めましての方は初めまして桜雪りか(サユキリカ)と申します(*´p`*)システムがわからないまま書き始めてしまいました、恐縮です……ガタガタ
まずは軽く私の傾向やその他について記させていただきますね!
その一、始めっからですが謝罪させてください。
更新率は非っっっ常に!!悪うございます!!!(土下座)
自然界ではカメでもなく、まりもの成長速度と毎度のことながら言ってます。
その二、「慣れ」なのか、1話制度に慣れておらず1部の文字数が他の方より短いことに気づきました。ちょっと長くして何とかページをくっつけてもあの長さです…スミマセン…
ご理解いただけたら幸いですm(_ _)m
何卒宜しくお願い致します!
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桜雪