氷と炎
始めて書いた短編です。良かったら感想ください。
氷の王子と炎の姫君は恋をした。
”貴女の涙も拭えない、氷った我が身が恨めしい”
それは、貴女の心を傷つける。
もぐらが太陽に焦がれたように、
眺める距離じゃ足りなくて。
「これが運命と言うのなら、なんて残酷なんでしょう。
目で追ってしまっている時に、気づけばよかった。
ダメだと分かっているはずなのに惹かれていく心を、止めらたらよかった。
だって、私は貴方を傷つけることしか出来ない。
でもね、どうすればいい?
貴方へのこの気持ちは抑えきれず大きくなっていくの。」
そう言って、
君は静かに泣くのです。
”貴方の手も握れない 燃える我が身が憎らしい”
それは、貴方を滅ぼすものです。
蝶が蜘蛛に引き寄せられたように、
触れれば終わりと分かっていたの。
「僕たちは対局にいるのにね、運命はまったく不思議なものだよ。
貴方に出会う前までは嫌うことしかしなかった紅が、
とても綺麗に思えてしまう。
とても愛おしく思えてしまう。
熱の宿ることのない、この心に優しい熱を感じるんだよ。
これはきっと君と居るからあるんだろう。
この気持ちをきっと人は愛と呼ぶんだろう。」
そう言って、
貴方はこちらに手を伸ばす。
愛しさあまりに近づけば、王子の命を削ってしまう。
愛しさあまりに近づけば、姫の心が壊れてしまう。
けれど、離れることも出来なくて。
ならばこのまま二人、永遠に愛を誓おうと
二人は静かに抱き合った。
読んで頂きありがとうございました。