一羽なう
2040年-夏――AM11:00<日本-東京都天井市>
[天井市学園図書室]
ん?なんだあれ? おいおい……な、何かすごい勢いで近づいてくるんですが……
これはやばいだろ……いやいや、これは本気でやばいだろっ、コレワァーーッ!
そう、突然に図書室で絶叫したオレを誰も責められはしない、たとえそれが目の前のガラス窓に張ってある、図書室では飲食私語厳禁のマークが自己主張していようと、たとえそこに夏なのにダサ過ぎる編みセーターを一年中着てる事で有名なやけにツヤのある黒縁メガネをかけた激怖生活指導の三好先生がいようとも――
何故かって? そりゃこのオレの事目掛けてすごい勢いで飛んで
くる、 真っ赤な鳥居があるかぎりなっ!
そう内心盛大に焦りながら、あっという間に俺のいるガラス窓の前まで飛んできた真っ赤な鳥居はその勢いを止めるどころか、 さらに加速してオレに向かってきては、 真っ白な光を放ち図書室で叫んだオレの腕を反射的に掴んだままの
三好先生ごと、飲み込んでいった…… 。
次に視界が戻った時、オレは森の中にいて、
オレの手をとても美しい金髪エルフさんが掴んでいた
んっ?気がついたか高野……、???こ、声がおかしい……
コホンッコホンッ んっんっー
そんな色ぽっい咳払いをする金髪エルフさんがすぐに三好先生だと気づいたのは、
おなじみのダサすぎる編みセーターに、黒縁メガネをかけてオレを高野と呼んだからだ。
ほんとに……今更で悪いんですけど、 オレの名前は、
――高橋です!
そう、この金髪エルフは一年の頃からたまたまオレの事を高野と間違えて呼んで以来、ずっと修正もできず2年の時を過ごした三次先生を置いて他にいなかった。
次回予告異世界迷宮は日本城!?
とりあえず森を探索する事にした高橋 哲也ことオレと金髪エルフになった三好先生は、
森の中にそびえたつ巨大な日本城らしき建造物を発見するが……