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Prologue
燃え上がる炎の中、二人の男がいた。一人は地に伏し、もう一人は重傷を負いながらも、剣を支えにひざまづいていた。
「…魔王は倒した。これで、やっと俺達の世界に平和が訪れる。」
地に伏している男ー魔王ーを横目で見ながら男は言った。
「〇〇!無事か!!」
勢いよくこの空間に入ってきたのは、男とともに魔と戦っていた仲間達。彼らもまた傷だらけであった。男は身体を気遣いながらも、仲間達のもとに行こうとした。
―その時だった。
男と仲間達との間を引き裂くかのように、世界の一部が切り取られたのは
それは一瞬の出来事だった。仲間達はただ、男ー勇者ーが闇にのまれて消えるのを見ているだけしかできなかった。その場にあるのは、まるでさっきの出来事などなかったかのように修復された勇者だけがいない空間と、ただただ呆然とするしかない仲間達だけであった。
「〇〇ーー!!!」
一瞬ののち、仲間達の叫びだけが虚しく響いた――