交差する想い
気が付くと何故か見たことのある天井。
俺の部屋か。
いや、俺の部屋にしては騒がしい。
意識がはっきりしてくると子供の騒ぎ声しか聞こえて来ない。
起き上がろうとすると腹部に鋭い激痛が走る。
その痛みで再確認する。
俺はアリッサに刺されたんだと。
グーパンなら予想していたがまさかナイフとはな、冗談どころの騒ぎではすまねぇな。
一体何があったんだアリッサ。
しばらく天井を見続け考えているとここがカルディア孤児院ということがわかった。
どうりで見たことあると思った。
「あーノア兄ちゃん起きたー」
「おう、悪いシャルじゃなかったママ呼んできてくれ」
元気のいい返事をし部屋を出て行き、すぐにシャルが来た。
そして恒例の抱きつき。
「ノアー良かった、大丈夫痛くない」
「さっきまでは、あまり痛くなかったんだが、今もの凄く痛い、傷口が開く」
「あーごめんごめん」
シャルから一通り説明を聞いた。
まず俺をここに連れてきたのがルガートということ、そしてそのルガートがアリッサは突然いなくなったと・・・・・・
俺は頭を掻く。
「どうしたの?」
「よりによってあの天パに助けられるとは」
「ノアったらルガートさんと仲良しなのね」
「・・・・・・そうだ、シャル俺どれくらい寝ていた」
「えーと三日ね」
シャルが言い、俺は急いで荷物をまとめる。
あいつを探しに行かないと・・・・・・
「ノア、駄目よそれにまだ傷が・・・・・・」
「その聡明な女性の言うとおりだクソガキ」
部屋の扉の前には見たことのある天パがいた。
「あらっ確かルガートさんでしたかしら」
「何しに来たんだ、ここは天パ直す店じゃねえぞ」
「相変わらず口が悪い、ここであの時の続きをしてもいいが怪我が完治するまで生かしといてやる」
ルガートが今日の新聞の一面を俺に見せる。
そこには、大きな字で東アルフォード聖騎士団壊滅間近と書かれていた。
無法者達の反乱、聖騎士団の力不足、アルフォードの終わりといろいろな文面で書かれている。
その書いてある下に一枚のモノクロ写真に聖騎士団とアリッサがいた。
そんな馬鹿な。
ここカルディアから東アルフォードまでは結構離れている。
寝ずに三日間歩き続ければ付かないことも無いがアリッサの体力では絶対に不可能だ。
ということは、この映っている人物は偽者か。
だが、見れば見るほどアリッサにしか見えない。
急いで旅の支度を・・・・・・ドンッ
首の後ろに重い衝撃が走る。
視界が薄れていく。
「すみません聡明なお嬢さんちょっと強引なやり方で、もう二日か三日休まして下さい」
「・・・・・・天パ、よけいなことを俺はすぐに行ける」
「俺の手刀すらかわせなかったお前が今行っても駄目だ、回復して俺と互角に闘えるぐらいまで待て」
「お前・・・・・・俺に・・・・・・ボロ負けした・・・・・・だろ」
ノアは意識を失った。
「あーそうだお嬢さん、こいつが起きたらカルディアの桜の大樹で待つと伝えてくれませんか」
「・・・・・・どうしてもノアは行ってしまうのですね」
「そうですね、付き合いは短いですが、人を引き付ける魅力が彼にはあります」
「本当は用心棒とか危ない仕事も反対だったんです、ただノアが無事に帰って来れればそれで」
「・・・・・・」
「ルガートさん、お願いがあります」
三日後 カルディア桜大樹の前
「見つけたー糞天パ」
「速かったな、もう少し強めに打ち込めば良かったかな」
・・・・・・今度隙があったらその天パ刈り取ってやる。
「そう言えばなんでお前も付いてくんだ?」
「俺もちょっと頼まれ事があってな」
「まーいいけど、足引っ張るなよな」
「お前がな、クソガキ」