事前準備
「今日はもう遅いから明日明朝に出発でいいな」
「ええ、それでいいわ」
「じゃあアリッサはそこで今日寝泊りしな」
俺が小屋の奥を指差す。
「まさか、あんたも一緒に雑魚寝ってことないわよね」
「ああ、俺はちょっとした用件があるから明日には戻るよ・・・・・・まぁ一緒に寝たとこで何か起こる可能性は皆無なんだけどな」
意味ありげに含み笑いしていると
「・・・・・・馬 鹿 ノ アーーーーーーーーーーーーー」
もの凄い形相で頭を殴られる。
速い上に一撃が重い。
「・・・・・・もう知らない」
アリッサは小屋の奥へと消えていった。
「さて、俺も用事済ませるか」
小屋を出て慣れた足取りで細い道を走る。
向かった先には大きな看板でカルディア孤児院と大きく記されていた。
扉に三回小刻みにノックする。
扉が開き一人の女性が覗き込む。
そして俺とわかった途端
「ノアー、会いたかったよー」
俺に抱きつく。
しばらく抱きつかれたまま拘束された。
彼女はシャルロット・ブレスト、この孤児院で働いている同い年の知り合いだ。
「よーシャル、またちょっくら出かけてくるわ」
一瞬シャルロットは硬直した。
「また仕事なの・・・・・・」
「あー悪いな、子供達にはすぐ帰ると伝えといてくれ・・・・・・あとシャルこれも」
封筒をシャルロットに渡す。
「・・・・・・またこんな大金」
「じゃあシャル、ばあさんにも宜しく伝えといてくれ」
「ちょっと待っ・・・・・・行っちゃった」
そしてその帰り道・・・・・・
嫌な予感がした。
「ようやく見つけたぜ優男」
「こいつがミディの旦那に重症負わせたっすか」
アリッサを助けるために追い払ったモブキャラが集団を連れてきた。
「囲め囲めー」
俺は深いため息を付く。
「あのさ君達、こんな深夜に叫んでる暇があったら仕事しろよ、近所迷惑だろ」
「うるせー余裕ぶっこいてるのも今の内だけだぜ、お前等殺っちまえー」
五分後・・・・・・
「言ってなかったけど昔騎士だったから、この剣一本あれば充分なんだよね、あえて能力使わなくても」
「つ、強すぎる」
「誰だよ囲めば勝てるって・・・・・・」
モブキャラは戦意喪失している。
「悪いけどお前等と違って暇じゃないから帰るな、付いてくんなよ」
「こうなったらあの助っ人だ、おい出て来いルガート」
モブキャラが呼ぶと暗闇から長身の渋い顔の男が出て来た。
かなり髪質に癖がありよく見ると天パだった。
俺の前に立ち見下す。
身長差はたぶん二十cmぐらい差があり、近くに立つとでかい。
「ルガート・ウォッカだ、ビジネスだから不幸なことになっても怨むなよ」
くすっとノアは苦笑する。
「不幸なこと?あーお前の髪のことか」
「ほざいてな・・・・・・行くぜ」