プロローグ
どれだけ夜道を走っただろうか。
「待てぇーごらぁぁぁぁぁ」
後ろを振り向きながら相手二人との距離を一定に保つ。
追手の一人が右腕を正面に突き出す。
すると、ゴオッと燃焼する音が聞こえて右手にはソフトボールぐらいの火球が創られいる。
当然発射されるが、何事も無かったのように避ける。
そりゃそうだ、この能力は追い掛けられているときに何十回も見ている。
そしてもう一人の能力も。
空気が冷たくなるのを感じ俺は咄嗟にしゃがみ込み氷の礫を回避する。
そして、また走る・・・・・・その繰り返しだ。
後ろの二人も疲れたのか俺を追うスピードが徐々に遅くなっていく。
俺は腕時計で時間を確認し、逃げるのを止め逆に近づく。
その極端な行動に驚いたのか二人は唖然として俺を見ている。
「ハハッ、ようやく覚悟が出来たようだな」
モブキャラAが言う。
「まぁ、俺達の能力をあれだけ見たんだ、そりゃ敵わないってわかるよなー」
続けてBが言う。
「殺しはしねぇよ、まずあの女どこやった」
Aが俺の胸倉を鷲づかみにし右手には火球が創られる。
「さぁ早くいいな!」
「ククッ、おっさん達」
大きくはにかむ。
「時間かけすぎ」
ドスッ・・・・・・ドスドスドスドスドス
鈍い音が何度も何度も聞こえる。
Aをみると氷の礫が顔面を覆い激痛の悲鳴を出す前に気を失い倒れる。
この光景を目の当たりにしたBはすかさず俺から距離を取る。
「まさかお前も同じ氷の能力だったとは」
「ん、いや全然違うぜ」
Bが一定の距離を保ったまま氷の礫を投げつける。
さっきのときとは違い数が多い。
避けることは難しいと判断した俺は右手を突き出し火炎放射のように炎を噴射させた。
氷の礫は瞬く間に空中で溶けて無くなる。
「う、嘘だろ・・・・・・多重能力なんて聞いたこと」
「さぁどうする、特別に選ばせてやるよ、炎か氷か」
「くそっ、覚えていやがれー」
Bがいなくなり一息つく。
「ふぅ、マジで疲れた」