表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レイジと呼ばれた男  作者: 三木小鉄
PR
16/25

第16話 レイジ 走る

流れ出す汗を手の甲で拭いながら走る。ジムに通っているおかげで少しは体力もついたみたいだ。足がもつれることもなく、約束のコーヒーショップへ到着したが、時計を見ると三十分くらいの遅刻。


ゆっくり深呼吸を繰り返し息を整えていたが、急に不安に襲われた。


エルは遅れた俺をまだ待っていてくれるだろうか。いや、そもそも三か月前の約束を覚えていてくれるのだろうか。


(エル、怒っていてもいい。店にいてくれ)


頭の中で、先ほどの老婆の顔と亡くなったばあちゃんの顔が重なる。


(ばあちゃん、俺を応援してくれ!!)


ゆっくりとドアを開け店に入る。



少し奥のいつもの席。俺に気が付いたエルが立ち上がり小さく手を振る。

しかも眩しいばかりの笑顔で。



「遅れてしまってすみません」

「大丈夫ですか、とにかく座りましょう」

「本当にすみません。待たせてしまって...」

「いいですよ、私だって均さんを三か月も待たせてしまった」


エルの優しい言葉、やっと会えた安堵感、待たせてしまった罪悪感。それに加えてさっきの老婆の不安そうな顔やおまわりさんの笑顔。そういうものが一気に押し寄せ、なんだか目頭が熱くなった。


ここは泣くところじゃないぞ。おしぼりで汗を拭うフリをして目元を拭いて胡麻化すが、エルにはわかってしまったようだ。



「今日は、一緒に行ってほしい所があります」


アイスコーヒーを飲み、ようやく気持ちも体も落ち着いた頃、エルが告げてきた。


「いいでしょうか? 変な所ではないですから安心してください」


『変な所ではない』ってどういう所よ。『安心して』って言われれば却って不安にもなるさ。普通の人が言えば怪しい言葉も、エルならきっと大丈夫。俺は深く頷いた。



いつものようにゆっくり話すこともなく、俺たち二人は店を出た。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ