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勇者として召喚された俺(17)嫁と娘を連れて帰宅します!  作者: 雪代ゆき


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第91話 魔王戦そのに

先手を取った和也は右横へ真っ直ぐ鋭い一撃を見舞わせる。

が、それを魔王はロングソードを使わずに容易に手で受け止める。


「その程度か?」

「まだ!」


右へ左へ剣を振る。それを魔王は片手でロングソードを振るいいなす。


「カズヤ様!」


セレスの合図で勇者は射線を譲る。

それと同時にセレスの魔術が魔王にモロに当たる。

が、それも別に響いていないのか、煙を煩わしそうに払うだけだ。


「クロゥビルらを葬った割にはこの程度か?」


今度は魔王から攻撃が繰り出される。

素早く一合二合と剣戟が交わる。

それも、防ぎきれず、和也は体に傷をつける。


「隊長!」


ケインらの援護の矢が飛んでくる。

魔術で強化された矢はただ当たるではなく爆発や酸が降りかかる。

しかしダメージを負ったとしても即座に再生され、何事もなかったように魔王は攻撃を繰り出す。

それを勇者は寸前で回避する。


「カズヤ様、傷が……」


通常であればどんどん治っていくはずの和也の傷が塞がらない。

小さな切り傷だが、絶え間なく血が流れている。


「大丈夫だ、ただこれ以上は皆んなを巻き込む!退いてくれ!」

「いやです……!けれど、わかりました……皆さん、ここにいてはカズヤ様の邪魔になってしまいます。退きましょう」

「しかし、それでは隊長一人になってしまいます!」


他の騎士たちから非難の声が出るも、激化する戦場でそれは命取り。


「ケイン!」

「わかっています!皆、隊長の言う通りにしましょう。そうでなければ彼は全力を出せません!」

「くっ……隊長、ご武運を」


ケインに促されて騎士たちは退いていく。


「さあ、殿下も」

「……わかりました。カズヤ様、どうかご武運を」


入り口から彼らが様子を伺っているものの、魔王の間には魔王と和也の二人だけとなる。


「お前一人で良いのか?」

「ああ、みんなを巻き込みながら戦いたくない」


和也は剣を空に向かって斬る。

最初は鈍い音だった空を切る音が、だんだんと甲高くなっていく。

そして次第には段々音が遅れて聞こえるようになる。

振るたびに血は流れ、飛沫が弧を描く。


「……ほう」

「……さあ魔王、勝負だ」


先ほどとは違い、剣と剣がぶつかる甲高い音が響く。


「どうして……」

「傷が塞がらないのがそんなに不思議か?」

「くっ……」

「今宵は興が乗る、特別に教えてやろう。神からの贈り物でな、あらゆる能力を無視し、攻撃できるそうだ」

「……出鱈目な」

「お前も似たようなものだろう?再生の権能を神から与えられていて何を言う」

「……!なぜそれを」

「神がそう教えてくれたのさ」


鍔迫り合う中、魔王と和也は応対する。


「【ダークジャベリン】」


見合う中、魔王は魔術を使い和也を攻撃する。

それに気づき、和也は競り合うのをやめ、後方に引くがその過程で左目に傷を負う。


「――ッ、カズヤ様!」

「来るな!」


今にも駆け寄ろうとする声を発したセレスを和也は語気強く止める。


鋭い一撃、重い一撃。

双方繰り出す技はどれも一級品で、並大抵の相手では一撃で終わってしまうようなものばかり。けれど、両者はそれを躱し、受け止め反撃している。


「人間でここまでやるのは珍しい。褒めてやろう」

「別に嬉しくは……ない!」


流れる清流のように美しい剣技が猛烈に魔王を襲う。

それに魔王は防御で答える、が、ようやく攻撃が通り始めたのか、魔王も傷を作り始めた。


血が飛び散る。


それは魔王のものか和也のものか。それは流れる血の量で察するにあまりあった。


「隊長!」

「気にするな!掠っただけだ!」

「はっ、その強がりはいつまで持つかな」

「うるさいっ!」


大薙の一撃は十数歩分魔王を後退させた。


「なるほどな、勇者というものはこのような剣を使うのか」


防御の構えを解き、剣を構える魔王に和也は警戒する。

――一体どんな攻撃を仕掛けてくる。

その考えが和也の脳内を反芻する。


「シッ――!」


素早い一撃。そんな言葉では収まらないほどの速さ、文字通り刹那をかき抜ける一撃だった。


その攻撃が和也の左腕を穿った。


「何!――くッ!」


左腕を庇いながらも和也は剣を落とすことはない。

むしろ片腕を失ったのに変わらず重い一撃を魔王にくらわせる。

その一撃が魔王の右目を切り裂いた。


「ぐっ……さすがは勇者、そう呼ばれるだけのことはある」


それに対して勇者は無言で構える。


「ふっ……いいだろう、勇者、お主の名前は」

「……和也……羽鳥和也だ」

「その名前、覚えたぞ」

「今日で決着なんだ。覚えてもらはなくても構わない」

「フハハ、抜かせ――!」


文字通り目にも留まらぬ速さの攻撃の応対は、双方ともに傷を作る。

床は勇者と魔王の血で濡れている。キャンバスに置かれた絵の具のようにそれは床に塗り広げられた。


「……次で最後だ――!」

「……望むところ――!」


その言葉と同時に和也と魔王は駆ける。

魔王は横薙ぎに和也は縦に剣筋を通す。


交差した瞬間、勇者の剣が光を増し、魔王のロングソードを打ち砕いた。


「……強いな」


そう言って魔王は崩れ倒れた。

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