第88話 文化祭そのろく
戦場は一時の静寂が支配する。
そしてどちらともなく縮地し、剣が交わる。
「ほう、この速度についてくるか」
「思っていたよりも遅くて安心した」
「抜かせッ――!」
一合二合と剣が交わり、一拍おいて鈍い金属音が広がる。
「――【ホーリージャベリン】!」
「――【ダークジャベリン】」
鍔迫り合いした剣が離れ両者魔術を行使する。
魔術同士がぶつかり合いながら剣が交わされる。
鋭い一撃、重い一撃。
双方繰り出す技はどれも一級品で、並大抵の相手では一撃で終わってしまうようなものばかり。けれど、両者はそれを躱し、受け止め反撃している。
「人間でここまでやるのは珍しい。褒めてやろう」
「別に嬉しくは……ない!」
流れる清流のように美しい剣技が猛烈に魔王を襲う。
「――なるほどな、勇者というものはこのような剣を使うのか」
防御の構えを解き、剣を構える魔王に勇者は警戒する。
――一体どんな攻撃を仕掛けてくる。
その考えが勇者の脳内を反芻する。
「シッ――!」
素早い一撃。そんな言葉では収まらないほどの速さ、文字通り刹那をかき抜ける一撃だった。
その攻撃が勇者の左腕を穿った。
「何!――くッ!」
左腕を庇いながらも勇者は剣を落とすことはない。
むしろ片腕を失ったのに変わらず重い一撃を魔王にくらわせる。
その一撃が魔王の右目を切り裂いた。
「ぐっ……さすがは勇者、そう呼ばれるだけのことはある」
それに対して勇者は無言で構える。
「ふっ……いいだろう、勇者、お主の名前は」
「……和也……羽鳥和也だ」
「その名前、覚えたぞ」
「今日で決着なんだ。覚えてもらはなくても構わない」
「フハハ、抜かせ――!」
そのタイミングでステージがスモークで見えなくなる。
その間、後でなる音が戦いの苛烈さを観客たちに伝えた。
スモークが晴れた後、観客たちが目にしたのは先ほどよりも傷ついた勇者と魔王。だがその構えは解いていない。
「……次で最後だ――!」
「……望むところ――!」
その言葉と同時に勇者と魔王は駆ける。
魔王は横薙ぎに勇者は縦に剣筋を通す。
交差した瞬間、勇者の剣が光を増し、魔王の大剣を打ち砕いた。
「……強いな」
そう言って魔王は崩れ倒れる。
それを見計らってアリスやケイローンたちが駆け寄る。
「勇者殿!」
「カズヤ様、カズヤ!その傷は――!」
「大丈夫、さあみんなで帰ろう」
そう言って緞帳は降りる。
俺としても若干駆け足になりつつもなんとか劇の時間内に終わることができた。
最後は出演者みんなでカーテンコール。
さあ、劇の終幕だ。
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