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勇者として召喚された俺(17)嫁と娘を連れて帰宅します!  作者: 雪代ゆき


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第82話 文化祭前夜

文化祭前夜、屋敷の自室にて。


「カズヤさん」

「セレス……どうだった?」

「皆さん見にこられるそうです。『楽しみにしている』と」

「そうか……」


 月明かりに照らされた脚本を撫でる。

 調整に調整を重ねた脚本は付箋やらメモ書きやらで膨れている。


「家族のみんなにはどう映るんだろうか……」

「それは私にはわかりません」

「……だろうな」

「でも、カズヤさんが見て、聞いて、戦った10年のほんの一端だけでもお見せすることができます」


 そう言って慰めてくれるセレスの言葉を聞きながら自らの手で視界を閉ざす。


「俺は人殺しだ」

「……はい」

「魔族や魔物を沢山斬った」

「……そうですね」

「それだけじゃない。人間も斬った」


 俺には人間や魔族なんて括りはわからない。言葉を操って意思疎通ができるなら等しく人だ。魔物だって、俺から見ればちょっと凶悪な動物にすぎない。

 それを一括りに人類の敵として斬ってきた。


「きっと俺は地獄行きだな」

「でしたら私もです」

「セレス?」

「魔物や魔族は当たり前に討ってきました。カズヤさんよりも罪は重いはずです」

「そんなことはないよ……セレスは!」

「一緒ですよ。同じ戦場に立って武器を取り、それを振るった。変わりません」

「……セレス」

「カズヤさんが地獄に行くのなら私も一緒です。同じだけの罪を贖いましょう。たとえ死するとも、私たちは一緒です。それともカズヤさんは死んだら私から離れてしまわれるのですか?」


 俺が座るソファに寄り添う様に座るセレス。

 鼻腔をくすぐる匂いが心を穏やかにしてくれる。

 

「……そんなことはないさ。死んでも一緒だ」

「嬉しいです。幾久しく、よろしくお願いします」

「ああ、俺もだ」


 俺たちはどちらともなく近づきそっと口付けをする。


「ねえ、カズヤさん」

「どうした?」

「劇が終わった後、家族の皆さんにお話になるんですよね」

「ぶっちゃけ劇で殆ど話してしまっているから俺が話すところないんだよなぁ」


 俺がそういうと脇腹をポンポンと叩いて抗議するセレス。


「ごめんごめん。セレスだけに語らせるなんてことはしないさ」


 ゆっくりとセレスの頭を撫でる。指通りの良い髪がなんとも心地良い。


「大丈夫かなぁ」

「もう、心配しすぎです。きっと皆さん受け入れてくれますよ。特に唯さんが」

「ああ……前のめりで聞いてきそうだな」


 そんな話をしながら夜が更ける。

 明日は長い1日になりそうだ。

読んでいただきありがとうございます!



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