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勇者として召喚された俺(17)嫁と娘を連れて帰宅します!  作者: 雪代ゆき


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第81話 演出

 劇の練習が本格化してきた。

役者のセリフ周りや、演出の都合で変更が出るのもザラだ。


 そういえば大きな変更が一つあった。

姫役がセレスになったことだ。

 

 脚本を読んだ役者たちや他の面々から両手でセレスが推薦された。理由を聞いてみると。


「セレスティーナさんが一番イメージに近いから」


 とのこと。実際、セレスがモデルなので俺からすればさもありなんと言った感じだが、しっかりとイメージを落とし込めているということで良いだろう。


「セリフ34から48まで通しでお願いします!」

「『今一度言おう、勇者殿――』」


脚本を手がけたセレスが自らメガホンを取り指示を出す。

本来ならこれらは分かれた作業なのだが、時間の都合上セレスが兼任する。


「セリフ41の時、勇者とケイローンはステージの中央にいるようにしてください。そうですね――」


セレスが演出担当のクラスメイトと話し合った結果を役者陣に伝える。

俺たち役者は舞台を俯瞰して見れない。だが、一人称視点だからこそわかることもある。


「セリフ51の時、俺から観客席をしっかり見れてないが良いのか?」

「そうですね……そこはしっかりと観客の方を向いていただけると嬉しいです」

「わかった」


演出や観客目線、役者目線から逐次修正していく。


 その作業は役者だけではない。


「この時照明、勇者とケイローンに当てられますか?」


 演出面ももちろん調整が行われる。いくら演出や役者から見て良くても結局は観客次第。出番ではない生徒に観客席に座ってもらい確認していく。


「ケイローンの照明が強すぎるように見えるよ」

「では、照明一つ外せますか?」


 たかが学生の文化祭だなんて言わせない。そんなクオリティに仕上げるべく、クラス一丸となって制作に望む。


 これの作成中セレスはずっと懸念していたことがある。


「私本意の作品になっていないでしょうか?」

「どういうこと?」

「発案は私、脚本も私、演技監督も、ましては姫役まで……自分が気持ち良いだけの作品になってはいないでしょうか?」

「そんなことはないさ。みんなだって納得して制作しているわけだし、俺も家族に伝える時間ができた。大丈夫だよ」


 今の現場を見ればそれは明白だ。クラスみんなが一緒になって制作している。

 学校の文化祭としては最良の状態ではないだろうか。

 

文化祭まで残すところ二週間。さあ、頑張ろう。

読んでいただきありがとうございます!



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