第80話 脱稿
「できました!」
原稿に向き合いながら険しい顔をすること数日、等々セレスが脱稿した。
流石というべきか、セレスは締切よりも前に作り上げたのだ。
「お疲れ様」
「ふふっ、もっと褒めてくれても良いんですよ?」
そんなことを口にするなんて珍しい。
しっかり褒めることも忘れない。
「さすがセレス。よく頑張ったね」
セレスは俺が撫でる手に甘えるように目を細める。
「頑張った甲斐がありました」
「こんなので良いのか?随分と安上がりだな」
「カズヤさんだからですよ」
ふと原稿の束に目をやる。100枚や200枚では下らないほどの分厚さの紙束。
俺の物語がこんなにも分厚いのかと内心驚く。
「自分の物語の分厚さに驚いていますね?」
「よくわかったな」
「カズヤさんのことですもの」
俺の胸元に甘えるようにしな垂れるセレス。
「これでも削った方なんですよ?カズヤさんの10年にも及ぶ戦記……冒険譚と言った方がいいですね。こんな劇ひとつで収まるわけがないのです」
「そうか?」
「はい、全七部作ぐらいにしないと大筋も書ききれません」
そんな話をしていると自然と呼吸が合う。
人間呼吸を重ねると眠くなると誰かが言っていた。
俺たちも例外ではないらしく、どちらと共なく眠りについた。
◇
「いてて……」
「どうした和也?体でも打ったか?」
「いや、ちょっと昨日変なところで寝てな……」
翌日、学校で文化祭での話し合いが行われた。
原稿が完成して終わりではない。
役者の練習や、照明や背景の出し入れなどのステージギミック。覚えることは盛りだくさんだ。
「この脚本すごいよ、臨場感というか、まるで実際に起こったことみたい!」
「ありがとうございます」
「これなら一位取れるんじゃない?」
「順位なんて出るんですか?」
「そっかセレスティーナさんは知らないよね、ウチの文化祭って屋台部門とか体育館部門とかに分かれて毎年集客や面白さを先生たちが順位にして発表するんだ。ちなみに、一位のクラスには焼肉!」
そういう二子山さんにクラスのみんなは頷いた。
やはり学生にとっては焼肉はすごく魅力的に映るらしい。
「随分豪勢なんですね」
「でしょ?他のクラスに負けてられないよ!目指せ一位!」
その掛け声にクラスは一丸となっておー!と声を合わせる。
準備の準備期間は終わり、等々文化祭らしくなってきた。
得もいえぬ高揚感に思わず口角が上がる俺たちだった。
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