第77話 採寸
「衣装の採寸するよ〜!」
正式に俺たちの文化祭が劇に決まって数日。早速衣装の採寸が始まった。
衣装についてはキャラクター設定を早々に固めたセレスはそれを被服部に渡し、絶賛デザイン中との事。
制作期間が二ヶ月、超過密スケジュールだ。
そんな中今日は衣装の採寸日、劇に出演する生徒たちを集めて行われた。
「いざ採寸となるとなんだか緊張するな」
「俺もー」
出演者の皆がそんなことを口にする。
俺はイースガルドで散々採寸したのである程度慣れてはいるが……それでもやはり小恥ずかしさがある。
こう言っては何だが、俺は自前があるので遠慮しようと思ったが、衣装にクオリティや素材の違いが出てしまうので合わせて作ってもらうことにしたのだ。
「それじゃあ次は和也くん!」
呼ばれるままに向かうと被服部数人で俺を取り囲みメジャーで測り始める。
……こそばゆい。
「和也くん見かけによらずイイ体してるね〜がっしりしてるっていうか」
「そうそう!すごい筋肉が付いてるよね!」
そんな反応に俺はどう答えたらいいか分からず曖昧な笑みを返す。
それをじっと眺める影が一人。
セレスだ。
俺と視線が合うと恥ずかしそうに逃げていく。
何となく理由を察し、嬉しさから笑みが出る。
採寸がひと段落したところで被服部の子に断りを入れてからセレスの後を追った。
◇
「セレス」
「か、カズヤさん!どうしてここに、採寸は……」
「まだ終わってないけど、最優先事項をね」
俺はセレスを抱きしめて言った。
「俺はどこにも行かないよ」
「……どうしてわかったんですか?」
「顔に書いてあったから。それに何となく」
「理由になってませんよ……」
「違った?」
いじわるにそう聞くとセレスはフルフルと頭を横に振った。
「……被服部の女の子たち、可愛い子が多かったですし、カズヤさんにいっぱい触れてました」
「俺の一番はセレスだし、俺に触れていいのはセレスとアリシアだけ。被服部の子には特別に触れさせてあげているんだ」
「……ごめんなさい。こんなことを気にして……」
セレスの発言に今度は俺が首を横に振った。
「いいや全然。逆にこういう嫉妬してもらえて嬉しいぐらい」
「そうですか?」
潤んだ瞳で見つめてくるセレスに俺はそうだよと答えながら頭を撫でる。
イースガルドではセレスに近づく男たちに俺が嫉妬してたっけ。
そんなことを思い返しながらセレスにこんな提案をした。
「だったらこうしよう。この劇が終わったらセレスの好きなところに一緒に行こう」
「私の好きなところですか?」
暫く思案顔を見せた後、セレスはポツリとこぼした。
「でしたら前に話した温泉に行きたいです」
「温泉か……いいな」
そんな会話をしながらちょっとした旅行計画を立てる俺たち。
採寸が終わって家に帰ったら存分に甘えさせてあげよう。そして自分も甘えよう。
そんなことを思う昼下がりだった。
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