第76話 モーニング
とある休日の朝、俺とセレスはいつもより遅くに目が覚めた。
前日に特段何か行ったわけではないが日頃の疲れが溜まっていたのだろうか?
着替えるて屋敷のリビングに行くと教科書に向き合っているアリシアの姿があった。
「お父様、お母様、おはようございます。いつもより遅いお目覚めですね」
「おはようございます。なんだか二人して寝入ってしまいました……すぐに朝ごはんの支度をしますね」
「時間も時間だし、今日は外で食べないか?」
「朝食を外でですか?」
「ああ、モーニングって言って、喫茶文化の一つなんだけど、飲み物を頼んだらトーストといった軽食が付いてくるみたいな感じかな」
若干要領を得ない説明になってしまったが、なんとか伝えると二人は不思議そうに頷いた。
「食べ物ではなく飲み物が主役……なんだか面白いです」
「朝食を外で……いいですね、行きましょう!」
こうして俺たちは喫茶店に向かう。
向かった喫茶店はこの辺りでよく見かけるチェーン店。正直俺も10年ぶりなので楽しみだったりする。
「ご注文をお伺いします」
「モーニングセットで、アイスのブラックとカフェラテ……アリシアはどうする?」
「アイスココアをお願いします」
注文を終え、俺たちは他愛のない雑談に花を咲かせる。
「文化祭、中等部は何をやるんだ?」
「私のクラスはメイド喫茶をする予定です」
「アリシアがメイドの格好をするのですか?」
「はい、2日目の午前中だけですが」
きっと絶対似合うだろうが、貴族の娘だった者がメイドになるとは、一体どんなストーリーなのか。
「お父様たちは何をやるのですか?」
「俺たちは劇をやるんだ」
「劇ですか?」
「ああ、セレスが脚本で、勇者時代の俺とセレスの出来事を劇にするんだ」
「まあ、それはいいですね!私も人伝てだったり劇等ででしか聞いていないので楽しみです!」
そういえばアリシアに直接話したことは殆どなかったかも知れない。
戦争なんだ、あまり語ることはない。強いてあげるのなら戦闘用食が不味かったことぐらいか。
あとは血と泥に塗れたような話ばかりだ。アリシアの年齢もそうだったし、聞いていて楽しい話ではない。だからこそ語るべきだったのかも知れないが、機会が中々なかった。
「……そうだね、今度、話そうか」
「ありがとうございます!楽しみです」
そんな話をしていると、商品が届いた。
「お待たせしました〜アイスブラックと、カフェラテ、それにココアのモーニングセットですね〜」
「す、すごいです……こんなに大きな……」
配膳されたココアを見てアリシアがそんな声を上げる。
アリシアのココアが30cmは侑に越しているであろうグラスに入って提供されたのだ。アリシアが驚いたのも頷ける。
「そう言えばこの店色々と大きかったな」
「そういうことは先に言っておいてくださいよ……飲み切れるのでしょうか……」
ちょっと困った様子を見せるアリシアに思わず笑みが溢れる。
そんな笑みの絶えない食卓にふと思った。
守れてよかったと。
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