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勇者として召喚された俺(17)嫁と娘を連れて帰宅します!  作者: 雪代ゆき


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第75話 吐露

「セレスさん、思ったことがあるんだけど」

「どうかしました?唯さん」


夕食の後、家のリビングでまったりと過ごしていた私と唯さん。

カズヤさんはケインと共に訓練に出かけた。


「お兄の嫌いなところってないの?」

「嫌いなところ、ですか」


思案してみるも中々思いつかない。


「あまり思いつかないですね……」

「セレスさん、お兄に不満を言っているところ見たことがなかったからちょっと心配でさ。我慢してるんじゃないかなって」

「そんな心配をしてくれていたんですか?ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ?」

「本当にー?」


そんなことを言ってくる唯さんに笑って本当ですと返す。

厳密にはこの世界にくるまではあった。

けれどこの世界に来たおかげでその心配がなくなったのだ。


「セレスさん、嘘ついてる」

「へ?」


まるで心を読んだような発言に剽軽な声が出てしまう。


「なんとなくだけど、セレスさん、嘘ついてるでしょ」

「……唯さんには敵いませんね……一つだけありました」


なになにと若干期待目な調子で言い寄ってくる唯さん。


「自分の命を軽んじるところです」

「自分の命を軽く?」

「ええ、カズヤさんがイースガルドでは度々戦場に出ていたことは知っていますよね?」

「それはこの間聞いたけど……」


「カズヤさんを必要とする戦場はどれも危険なものばかりでした。戦場なのでどれも危険なのですが……そんな中でも飛び抜けて危険な戦場ばかりでした」


今でも思い出す。

夜な夜な帰ってきては泥のように眠るカズヤさんを。


「カズヤさんにはイーディス様の祝福があります。それには様々な効果があるのですが、そんな中に『回復』というものがありました」

「ゲームみたいにHPが回復するの?」

「そうですね、正確に言えば、頭と心臓を同時に潰されなければ再生する。と言った効果でした。……私からすれば呪いのようなものです」


この時の同時というのは一瞬も刹那のズレも許さないほどの同時。魔術でも不可能な芸当だ。

そのおかげでカズヤさんはどんな戦場でも生還を遂げた。途中に何度致命傷を受けようとも生還したのだ。


「人間どんな最悪な状況でも慣れてしまうのです。……カズヤさんはその死と再生の繰り返しに慣れてしまったのです」


カズヤさんは作戦を立案する時も自分の命を蔑ろにした作戦を立てた事も少なくない。

文字通り自分が矢面に出るような作戦をよしとしたのだ。


「部隊の皆もこの状況を良しとせず、それを回避すべく作戦を立案してくださいましたが、カズヤさんは自分の命が天秤にかかった時、他人を優先してしまうのです」


思いの丈を吐露すると、神妙な面持ちで私を眺める唯さんの顔が目に入った。


「ごめんなさい、こんな話……」

「ううん、今まで聞けてなかったから聞かせて欲しいな、お兄のこと」

「それは……」


真剣な眼差しにどう答えていいものか悩んでいると、カズヤさんの声がした。


「どうしたんだ?そんな神妙な顔をして」

「……いえ、なんでもありません。どうでしたか?訓練は」

「やっぱり対人は違うな、やりごたえがある」


少々わざとらしいが話題を変える。


「……むぅ、はぐらかされた」

「唯?どうかしたか?」

「ううん、それよりも今度お兄に訓練つけて欲しいな!」


ごめんなさい唯さん、今は……全ては文化祭後にお話ししますから。

もう暫く時間をください。

読んでいただきありがとうございます!



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