第74話 図書館
とある平日の夕方、俺たちは学校の帰りに駅前にある図書館に寄っていた。
「凄いですね、市井の人々が自由に知識にアクセスできる……素晴らしいです」
たまにはいつもと違う場所で勉強してみようと立ち寄ったが、どうやら正解だったようだ。
「知識だけないぞ、娯楽小説だってある」
「それは凄いです。イースガルドでは国立大図書館でも娯楽小説はほんの少ししか取り扱ってないのに」
「この世界は印刷技術が発展しているから本の価値はそこまで高くはないからな」
「それはこの世界で暮らしていてわかってはいましたが……それでも凄いです」
「セレスはまず利用者登録からだな」
受付に行き、利用者登録をしたい旨を伝え、登録用紙をもらう。
必要事項を記入し利用者カードを作る。
登録作業は滞りなく行われ、無事にカードを作ることができた。
「これで私もこの施設を利用できるのですね!」
「確か、10冊まで二週間本を借りるて自宅に持ち帰ることができるぞ」
「自宅に持ち帰るだなんて、本が汚れたり破損したりしないのでしょうか……」
「それは僅かばかりあるさ。けど、基本的にみんなそんなことはしないっていう民衆の善意に期待しているんだ」
「そんなことができるなんて……余程の勇気が必要だったのでしょうね」
セレスの言葉にかもなと返す。
そんな話をしながら施設を一通り見て回る。
施設の中をキラキラとした瞳で眺めていくセレスがなんとも可愛らしく思えて思わず口角が上がる。
「それじゃあ行こうか」
「どこに行くのですか?」
「勉強するためのスペースがあるんだよ」
セレスを連れて少し奥の方に行くと、学生向けに開放されている勉強スペースが顔を覗かせた。
「学生なら誰でも利用できるんだ」
「それは素晴らしいですね。来た者が分け隔てなく勉学に励むことができる。素敵な場所です」
勉強スペースに入ると凛とした静謐な空気が場を支配していた。
俺たちもそれに倣い、黙って席に着く。
そして勉強道具を広げ、勉強を始める。
カリカリとノートを走るシャーペンの音。
時たまに鳴るページを捲る音。
心地よく擽る音に癒されながら勉強を進める。
今日はまだ終わらない。
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