閑話 同級生の話
唐突だが、僕はアリシアさんのことが好きだ。
突然海外から転入してきた彼女はまさに頭脳明晰、スポーツ万能。
そして透き通る様に美しい銀髪に芯を捉える赤眼。整った容姿。
誰にでも優しく受け答え、気遣いもできる性格。
好きにならない訳がない。
正直ここまで絵に描いたような美少女が存在するのか疑うレベルだ。
転校してきたあの日、落ちた衝撃は尋常じゃない。
「ヨーロッパの方から引っ越してきました。アリシア・羽鳥・ユグドラシアです。よろしくお願いしますね」
何かの作品で見たことある展開だ!
クラスの何人かはそう思っただろう。
その後、アリシアさんは瞬く間に受け入れられた。彼女の容姿がそうさせたのかは定かではない。
アリシアさんが転校してきてしばらくして、中間テストが行われた。そこで彼女は片鱗を見せる。
なんと学内の秀才たちを抑えて総合一位を取ったのだ。
日本に来て僅か三ヶ月足らずだというのに、歴史や国語もほぼ満点。そこで彼女の噂は一気に広がった。
”頭も良くて運動もできる外国美少女がいるらしい”
そんな噂が広まって以降、もとよりあった彼女の人気は恋愛的な意味を含めて鰻登りになった。
「アリシアさんはいるか?」
「アリシアは私ですが……何か御用でしょうか?」
「暇であれば昼休みに体育館裏に来てはくれないか?」
「……ごめんなさいそう言ったお話は全てお断りさせていただいていますので……」
「であれば少し時間をもらえないか?話したいことがあるんだ」
「告白でしたらそれも全部お断りさせていただいています。すみません」
「そ、そうか……失礼した」
けれど、彼女はそのどれもを断ってしまう。
だから僕も告白はしない。振られるのが怖いから。
臆病だって言われても構わない。アリシアさんの友達になれたら僕はそれで十分だ。
気がつけば夏休みが終わって、体育大会。
僕はたまに話すクラスメイトの立ち位置を維持しながら望んだその日、事件が起こった。
『東軍一着!お題は”大好きな異性”です!』
俺たちは黄色い悲鳴とどよめきに二分した。
遠かったので顔ははっきりと見えなかったが、高校生ぐらいの男の人。
そっか彼氏いたんだ。
それでも事実を確かめるためにクラスの子がアリシアさんに聞く。
「アリシアさん!今の人って……」
「私のとても大切な人です」
今まで見たことのないほどの満面の笑みでそう答えた。
でも、その顔が好きな異性に向けるものというよりも、家族に向けるものだった様に感じたが、掘り返す術を僕は持ってない。
僕は、これからもたまに喋るクラスメイトでいようと思う。
読んでいただきありがとうございます!
下にある☆を★★★★★にしていただけると嬉しいです!




