閑話 運動会のお弁当
皆がまだ夢の中にいる早朝。俺とセレスはキッチンに集まっていた。
もちろんアリシアのお弁当を準備するためである。
「今日作るものは覚えていますか?」
「唐揚げとアスパラ肉巻き、蓮根つくねにサンドウィッチ、金平牛蒡……あとはなんだっけ?」
「卵焼きとタコさんウィンナーですね」
さすが運動会のお弁当。王道のメニューたちが勢揃いだ。
しかし、作るのは大変だ。いくら屋敷のキッチンが広いと言ってもコンロの数には限りがある。
効率よく作っていかないとあっという間に時間オーバーになってしまう。
「さあ、気合い入れていきましょう!」
「おう!」
まずは下味を付けておいた唐揚げから。冷ますのに時間がかかるからだ。
薄力粉と片栗粉をまぶしてしっかりと揚げていく。
パチパチと小気味良い音と美味しそうな匂いがキッチンに充満する。
「和也さんはアスパラの肉巻きをお願いします」
「わかった」
アスパラに豚バラ肉を巻いていく。意外にも綺麗に巻くのが難しくちょっと苦労する。
ふとセレスの方を見ると、唐揚げの二度揚げに取り掛かっている。
相変わらず手際がいいものだ。
負けじとこちらも仕込みを続ける。
「こっちはできたぞ」
「はい、それでは今度はこっちを」
渡されたのはゆで卵とマヨネーズ。サンドウィッチ用の卵サラダを作るためだ。
マヨネーズを加えながらマッシュする。
これが存外楽しい作業だったりする。
続いてはレンコンのみじん切り。
それを終えたら挽肉と一緒に混ぜる。
黙々と料理を仕込んでいく。
そうして数時間後、弁当が完成した。
「お疲れ様です」
「セレスもお疲れ、この量仕込むの大変だっただろう?」
「いいえ、愛するあなたたちのためなら全然です」
「ありがとう」
弁当作りで余ったものたちを手に自室へ。
残り物をいただくのは作り手たちの特権だ。
「アリシアの運動会、楽しみですね」
「そうだな……カメラでも買っておくべきだったか」
「カメラを買うと何か違うのですか?」
「スマホのカメラよりもより望遠で撮れるらしいぞ」
「それは、必要だったかもしれませんね」
そんな取り止めのない会話に花を咲かせる。
こうした時間もまた愛おしく感じるのは歳のせいなのだろうか?
……いや、きっとセレスのせいだ。
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