第62話 関係
体育大会は無事に終幕し、片付けも終えた俺たちは帰路に着いていた。
「……」
アリシアが少し気まずそうにしている。
その様子がどうにも可愛らしく、笑えてしまうが、ここは我慢だ。
「アリシア」
「は、はい」
「私たちの取り決め、覚えていますか?」
「はい……”家の外ではお兄様、お姉様と呼ぶように”ですよね」
「ええ、その通りでしたね」
無言の時間が長い。いや、別に普段と変わらないのかもしれない。けれど、いつもより目立って見えるのは確かだ。
「……ごめんなさい、今日の事……ですよね」
「別に怒っているわけではないのですよ?なんであれば私たちの関係を公表しても良いわけですし」
「へ?」
あっけらかんとものを言うセレスにアリシアは驚きの声を上げる。
「カズヤさんとも話したことがあるんです。呼び方を強制するのは良くないんじゃないかって」
「そうだな。言いづらそうにしているのを何度か見てたしな」
「良いのですか?だって、魔法だって、私たちエルフですし……」
「もちろんそこは別に公表しませんよ。別に今までと一緒です。言うところと言わないところがあるだけです」
そう、今までと変わらない。
年齢で辻褄が合わないと言われるかもしれないが、高校大学を過ぎてしまえば外聞状の問題もなくなる。
「対外的に言うのではなくて、仲が良い人には打ち明けても良いんじゃないかって前から話してはいたんだ」
「私たちもなんだか騙しているようで心苦しかったですから」
「別にイーディス様から異世界のことを秘密にしてくれなんて言われてないしな」
「アリシアはどうしたいですか?」
◇
夜、屋敷の自室で俺たちは休んでいた。
「アリシア結局どうだって?」
「”お父様とお母様にお任せします”ですって」
「そうか……」
セレスは俺の膝に乗り首元にしなだれる。
「カズヤさんはどうしたいですか?」
「そうだな……遼や葛西さんには話しても良いと思うんだ」
そうですか、と言いながらセレスは俺を撫でる。
「どうしたんだ?」
「だって不安そうにしてらっしゃったんですもの」
「不安?」
「ええ」
「まあ、不安さ」
いくら仲の良い人だといっても受け入れてくれる保証は無いわけだ。不安にもなる。
「大丈夫ですよ、きっと」
「そうだよな……」
一抹の不安を抱えながら返事をすると、セレスがそっと額にキスをした。
「大丈夫です」
「……うん」
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