第59話 体育大会そのいち
体育大会当日がやってきた。
うちの学校はTシャツが配られたりと色々本気だ。
ただ、別に全体練習があるとかいうわけではない。体育の時間に競技の練習はしたものの、全体での動きの練習とかは特にやらなかった。
去年もそうだっただろうか?
10年前なので記憶が定かでなない。
「えー、本日は晴天に恵まれ、絶好の体育大会日和になりました皆さん――」
グラウンド中央で校長先生の有難いお話を聞く。
なんだかみんなも特別なイベントなことあってか、なんだか楽しそうな空気が流れている。
「やったな、今日はちょっと涼しいや」
「こんな日にかんかん照りじゃ参るもんな」
「がんばろうぜ和也」
「ああ」
◇
『さて、続いての競技は男子障害物競争!出場する選手はスタート地点にお集まりください!』
「あ、俺の番だ」
「行ってこい、応援しててやるから」
「ありがとう」
「カズヤさん、頑張ってくださいね!」
『走者が位置につきました!障害物競走、スタートです!』
スターターピストルの音と同時に一斉に走者が駆け出す。
なんだか学生らしさを感じて思わず口角が上がった。
「次の走者前に」
次は俺の番だ、ゆっくりと位置につき、クラウチングスタートの用意を整える。
「頑張れよー和也!」
「頑張ってください!」
そんな声援のおかげで余計に口角が上がる。
「位置について、よーい」
パンと小気味良い音と共に俺たちは一斉に駆け出す。
『まずは平均台です! バランス感覚が試されるコースですが、早い! 東軍リードです!』
足元と先をしっかりと確かめつつ、着実に前に進む。
ちゃんと横を見ながら他の走者とペースを合わせることも忘れない。
『続いては網潜り! 引っかからないように注意しつつ進む必要がありますが、東軍の優勢は変わりません!』
体に染み付いた動きで匍匐前進をする。
別に棘がついていないので構わず進めるので楽なステージだ。
「和也! 勝てるぞ!」
周囲を見るとまだみんなは網の中、ちょっと早く抜けすぎたらしい。
違和感が出ない程度に走る速度を緩める。
『続いてはぐるぐるバット、走者はしっかり走ることができるのか!?』
30回だとちょっと厳しいが、10回程度だったら俺の平衡感覚は問題ない。
けれど、ここでしっかり失速しておく。
『続いてはハードル! 飛び越えるのと潜るのを繰り返すここはかなりの失速ポイントだ!』
飛び越えた後に潜りぬける動作はなかなか堪える。
ペースを少しゆっくり目に着実に攻略していく。
『最後は30m走! ラストスパートです! 両軍接戦です!』
「カズヤさん! 頑張って!」
その声を聞いた瞬間、思わず力が入った。
最後は思いっきり走り抜けた。
『今ゴール! 東軍一着、二着! 西軍三着!』
先生から二着の旗を受け取り並ぶ。
自陣に戻ると、遼とセレスが迎えてくれた。
「おかえりー、最後すごかったな。あのまま一位になるかと思うぐらい早かったぞ」
「おかえりなさい! 凄かったですよ!」
「ありがとう」
鎧が無かったから軽かった……なんて言える訳がない。
水筒から一口飲んでいると、セレスがふと耳打ちしてきた。
「……格好良かったです」
「ごほっ」
思わず咽せてしまったが、俺もまた小さく応える。
「応援、ありがとう」
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