閑話 友人
閑話 友人
俺、中島遼は、たまに思う事がある。
友人の和也のことだ。
中学来の友人である和也は、ある時から変わった。
それがいつからかは定かではない。でも、大体5月ぐらいだろうか?
なんというか、言葉の節々の配慮とか、対応がなんとなしに変わった。
大人の余裕というやつだろうか?
まるで一皮剥けたというか、先に成長したというか。
第一に、和也に妻ができた。
16から結婚できるようになって久しいが、周囲で結婚したなんて話は聞かないし、芸能人だって若くて20歳だ。
そんな中、和也が結婚した。
しかもその相手が美少女と来た。
透き通るような銀髪に美しい肌。まるで物語の中に登場するエルフのように整った容姿。
正直、なんで?と思った。
だって、つい先日まで彼女なんて話は聞かないし、男友達ばかりと一緒にいて女気のないやつだったからだ。
そんなやつにいきなり彼女を飛び越えて妻?ちょっと理解が及ばない話だった。
「カズヤさんのご友人……妻のセレスティーナ・羽鳥・ヴィ・ユグドラシアです。どうぞよろしくお願いしますね」
「よ、よろしくお願いします……?」
この時どのように答えればよかったのか未だに謎である。
この歳で妻の紹介ってなんだよ!
実際関わってみたら、完璧美少女だった。
頭脳明晰、運動万能。よく笑い、よく話す。
これで外国人だっていうのだから驚きだ、日本史なんて先生よりもわかりやすく教えてくれたぞ。
全く和也はどこでこんな娘を射止めてきたのやら。
そんなこんなで俺たちの輪にセレスティーナさんが加わった。
和也とセレスティーナさんはどこに行くのも一緒だ。
別に出来立てカップルのような甘い空気を醸し出すわけではない。まるでそこにいることが当然のように、自然なことのように感じさせる。
「カズヤさん」
「ああそうだな」
「では」
「ああ」
ただたまに会話がおかしい。
主語がないとかいう次元ではなく中身がないのだ。
それをそれとなしに聞いてみた。
「今の会話か? そうだな」
『カズヤさん、先生がお勧めしていた参考書ってこれでしたっけ?』
『ああそうだな』
『では、お会計してきますね』
『ああ』
ツーカーにも程がある。
あれなのか? 夫婦になればこうなるのか?
いや、父さんが母さんにこの間牛乳を間違えて買ってきて叱られてた。
この夫婦だけがおかしいのだろうか?
その判断をするには学生の俺には統計が少なすぎる。
「和也くんたちすごいね」
そうだ、俺たちの輪に加わったのはセレスティーナさんだけじゃない。葛西さんも加わったのだ。
「俺も彼女できたらああなるのか?」
「いや無理じゃない?」
「そうだな」
側から見るに、セレスティーナさんに初めてできた女友達。
そのおかげか何気に接点が増えた。
「あ、この作品映画化するんだ」
「どれだ?」
「これ、去年本屋大賞とったやつ。面白いんだよー、主人公がさ――」
「お待たせしました」
「いいよ全然〜」
「なんのお話ししてたんですか?」
「この本がさ――」
そんな取り留めもない話に花を咲かせる。
大きく変わった日常も、また心地よいものだ。
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