閑話 ホラー
俺とセレスは一旦屋敷の自室に戻っていた。理由は――
「んん~!」
セレスである。
ソファのクッションをしっかりと抱きこみ、何かを堪えるような表情を浮かべる。
「そう言えば、アストラル系のモンスター苦手だったね」
「……いじわるです、知っててあんなビデオを流すだなんて」
「ごめんって、ついさっきまで忘れてたんだよ」
謝りながら彼女の頭を撫でる。
「そう言えば、アリシアは驚いてはいたけど、そんなに怖がってなかったね」
「私の恐怖は過去の出来事からくるものなので、遺伝とかは関係ないかと」
「出来事?」
「はい、だいぶ昔なので記憶は定かではありませんが、夜中に城の中を歩く白い物体を見たのです。ついては消えてを繰り返しながら私の方へと飛んできて……まだ魔法が使えない歳だったので余計に怖かったのを覚えてます」
「メイドさんだったんじゃない?」
「城の中のメイドたちなら顔と名前が一致しますし、そもそも顔がなかったわけですし……」
クッションに頭を沈み込ませながら彼女は言う。
その様子がなんともいじらしく、後ろから思わず抱きしめた。
「どうかしたのですか?」
「いや、ちょっと可愛くて」
「かわ、いいですか?」
「うん」
鼻から息を吸う。
すると、彼女の匂いが胸を膨らませる。
まるで全身が彼女に置き換わるような感覚に陥る。
彼女もそうであればいいのにと思いながら。
「ちょっとくすぐったいです」
「うん」
「聞いてます?」
「うん」
腕の中で身じろぐ彼女。向き直って抱き直す。
「気持ちいいですね」
「うん」
◇
全身に感じる熱。
見かけによらず逞しい体。
大好きな匂い。
そっと鼻から吸って彼の匂いで胸を膨らませる。
まるで全身が彼に置き換わってゆくような感覚に陥る。
……いや、そうであればいいのにとさえ思ってしまう。
少し苦しいぐらいに抱きしめてくれる彼。
少し早い鼓動が彼から伝わってくる。
きっと私の鼓動も早いだろう。
ちょっと気恥ずかしいけれど、私の全てをあげるから。
だからあなたも――。
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