第57話 アリシアの午後
昼食を摂った後は午後の授業。
特段変わったことはない。
最早日常と呼べるまでに馴染んだ日々を謳歌する。
「掃除マジだりぃよな」
「だよなぁ」
気づけば授業は終わり、掃除の時間となっていた。
生徒自身に教室を掃除させるのは面白い試みだと思う。
平民たちの学校はそうだったのだろうか?
今となっては確かめる術はない。
「アリシアさん行こ」
「はい」
そうして向かった先は職員室。
私の掃除担当場所だ。
「ああ、来たね。今日も頼むよ」
「はい、先生」
箒を手に床を掃く。
貴族の娘だからといって掃除の仕方がわからないなんてことはない。
お母様から自分の部屋の掃除は自分でしなさいと言われていたので一通りできる。
パサリ。パサリ。
ゴミが多いことはよくないし、私たちの怠慢なのだが、ゴミが一気に片付く様を見るのはなんとも楽しさを覚えるものだ。
雑巾掛けまで終わったところでちょうどよくチャイムが鳴る。
用具を片付け、教室に戻り帰り支度をする。
SHRの時間だ。
「今日のお知らせは特にありません。それじゃあ気をつけて帰るように」
さようなら。
その声と同時に生徒たちは部活へ、家路へと急ぐ。
私は特に部活動に入っているわけではないので。帰宅の途につく。
今日も一日無事に過ごせた。
◇
家に帰ったら宿題だ。
私は後に残すと妙なむず痒さに襲われるので早めに片付けるタイプ。
教科書とノートを広げてシャーペンを手に課題を片付け始める。
このシャープペンシルというのはとても便利だ。
何度もインクをつける必要のある羽ペンと違って煩わしさもインクの心配が全くない。
画家が使う鉛筆と似たもので、極細の鉛筆を繰り出して使っているらしい。
ボールペンも含めこの世界は本当に便利なものが揃っている。
今日は課題が少なかったようで、思ってたよりも早く課題を終えた。
家のリビングに向かうと、お父様とお母様がソファに座っており、テレビを眺めている。
「アリシア、これから友達から借りてきたDVDを見ようと思うんだが、一緒にどうだ?」
「ご一緒します!」
ポップコーンを手にソファに座る私たち三人。
DVDを再生すると、そこには『実在した!心霊特集』の文字が。
「お、お父様、これって怖いものなんじゃ……」
「大丈夫だって、全部作り話だからさ」
あっけらかんと笑うお父様。私も友達伝てでしか聞いたことはないが、それなりに怖いらしい。
生唾を飲みながらも画面からは目が離れない。
『画面右上をご注目ください――』
言われた通りに注視しているとそこにぼんやりと人の顔が浮かび上がる。
「ひゃっ」
「わっ、すごいですね」
いきなり現れたことに驚きつつも映像効果に少し感心する。
「すごいよなぁどうやって作るんだろ」
「さあ、にしてもそっくりですね」
時々ある驚かす系の心霊には驚かされたが、団欒と視聴を終えた。
ちょうどそのタイミングでお婆様が帰宅してきた。
「ただいま〜」
「おかえりなさいませ、お婆様」
「お夕飯すぐ用意するからね〜」
「あ、手伝います!」
手伝いを名乗り出てお婆様と一緒に料理を始める。
今日が終わるまで後少し、今日もまた、平和です。
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