第50話 男子会そのに
「それ以外はどうなんだよ」
「そうだなぁ……生活の中にセレスが加わったことかな」
コーヒーを口にしながらそういうと、遼は少し呆れたような風に言った。
「そりゃそうだろ、結婚したんだから」
「言葉が難しいんだよ、今まで一人だったことにセレスが加わったっていうか……隣にいてくれるというか……」
「家族が増えるってそんな感覚なんだな」
形容し難い感覚に難儀しつつも、なんとか伝える。
「一緒に暮らしてて不満とかないのか?」
「不満?」
「結婚したって元は他人だろ? だから生活で齟齬がでるんじゃないかと思ってさ」
「特にないな」
「本当かぁ?」
思い返してみても、俺がイースガルドになれるまでの間くらいしかなかったし、現状セレスたちもギャップはありつつも、慣れて生活している。これといった齟齬は生まれていない。
「うん、特にないな」
「家事でトラブルとかないのか?」
「この国での生活も慣れてきたし、特にないな。逆にいつの間にかやってるから俺も負けないように気をつけてるくらいだ」
「なあ、やっぱり一緒に寝てるのか……?」
「なんだよ急に」
「ほら、やっぱ気になるだろ」
「まあ、一緒に寝てるけど」
別に隠す話……といえばそうなのだが、後ろめたいことはないので打ち明ける。
すると、おお……とどよめきが起こった。
「ずっと一緒ってしんどくないのか?」
「そうか? 少なくとも俺はそんな感覚はないが……そう言うもんなのか?」
「寝る時は別だって夫婦は珍しくないと思うぞ」
「まあ、確かに仕事で遅くなった時は先に寝てもらってたりしたけど……」
「仕事? バイトでもやってたのか?」
「あ、ああ、ちょっと前に辞めたけどな」
若干の罪悪感を感じながらも濁すところは濁しながら伝えていく。
「それじゃあさ、セレスティーナさんのどこが好きなんだ?」
「どこが?」
「顔とか言うなよ」
「言わねーよ」
そうだな、どこがと言われると少し返答に戸惑うが、言葉を紡ぐ。
「セレスが作る空気が好きだな」
安らぎを与えてくれるから
「セレスの目が好きだ」
しっかりと俺を見てくれるから
「セレスの心が好きだ」
いつも俺に寄り添ってくれるから
「好きなんて言葉じゃ足りない。俺はセレスを愛している」
俺がそう言うと二人はコーヒーを口にする。
「甘いわ、エスプレッソ頼もうぜ」
「同感」
そう言って二人は店員を呼び、エスプレッソを注文する。
何か熱くなる気がするが、それはさっきまで外にいたからだと結論づけてアイスコーヒーを煽る。
今日もまた平和である。
読んでいただきありがとうございます!
下にある☆を★★★★★にしていただけると嬉しいです!




