表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者として召喚された俺(17)嫁と娘を連れて帰宅します!  作者: 雪代ゆき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/57

第48話 看病

48話 看病

熱を出すなんていつぶりだろう。少なくともここ10年はなかった気がする。

 そんなことを熱でボヤける思考の中思い返す。


寝室がいつもより広く感じる。普段二人で使っているからだろうか?

 

 空調魔道具によって冷やされた寝具が冷たく気持ちいい。けれど、やはり寂しい。


 どうか早く戻ってきて……。


 ◇


 しばらくして扉が開いた音がした。足音からして、カズヤさんが戻ってきたようだ。


「セレス、お粥作ってきたよ」

「……んぅ、ありがとうございます」


 カズヤさんに手伝ってもらいながらゆっくりと起き上がる。

熱を知覚したせいか、さっきよりちょっとフラつく。


「食べれるだけでいいから、ゆっくり食べて」

「……いただきます」


 いつもより控えめに口に運ぶと控えめな塩味と米の甘さが体に染み入る。


「……美味しいです」

「それは良かった」


 手慣れた動作で私の額を拭ってくれるカズヤさん。


「……なんだか手慣れてますね」

「そうか? 昔、唯にやっていたからかな」

「唯さんですか?」

「そうそう、今じゃ考えられないだろ? 昔はしょっちゅう風邪引いてたんだ」


 そんな話からいろいろ昔話を聞かせてくれる。普段あまりそう言ったことを話さないから、ちょっぴり嬉しい。


「すごいなセレス、全部食べられて」

「カズヤさんの美味しいお粥のおかげです」


 土鍋を片付けたカズヤさんは次に濡れタオルを用意する。


「それじゃあ、体拭いていくぞ」

「へ?」

「汗かいてるだろ? 拭かないともっと悪化するから」

「い、いや、わかりますけどっ! 自分でやれますから!」

「じゃあ前は自分でやって、後は俺がやるから」

「う、後ろも自分でやれます!」


 そんなことを言い合って数分、結局後ろはカズヤさんにお願いすることになった。


「それじゃあ、拭いていくぞ」

「は、はい」


 ピトリとカズヤさんの手と濡れタオルが晒された背中に当たる。


「ひゃ」

「冷たかったか?」

「い、いえ大丈夫です」

「そうか?それじゃあ拭いていくぞ」


 ゴシゴシと優しい手つきで拭いていかれる。慣れない感触だが、どうにも気持ちよく、身を任せてしまう。


「ん、ん、気持ちいいです……」

「それは良かった」


 しばらくして、それも終わりなんとも言えない寂しさを覚える。


「後は寝て休むだけだな。薬はケインに用意してもらっているから、昼食には用意できると思うよ」

「はい……ありがとうございます……」

「それじゃあ、おやすみ」

「……いかれてしまうのですか?」

「できればずっと一緒にいてあげたいところだけど、アリシアもいるから」

「そう……ですよね……」

「大丈夫、寝るまでちゃんとそばにいるよ」


 そんな優しい声音が私を眠りに誘う。

まだ彼と一緒にいたい。そんな一抹の願いを抱いたまま私は眠りに落ちるのだった。


 ◇


「弱ったな」


 俺の手にはセレスの手が重なっている。

 普段より熱っぽい彼女の手がキュッとしっかり握ってきている。


 悪いアリシア、ちょっと戻るのが先になりそうだ。


 そんなことを思いながら、俺はセレスの頭を撫で続けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
毎回楽しく拝見させて頂いてます。 此処は看病の鉄板『桃缶』を食べさせないと^^ 次回も楽しみにしています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ