第47話 熱
47話 熱
夏季休業も折り返し地点、俺たちはかねてより計画していた旅行の準備を進めていた。
行き先は京都、日本らしい文化や街並みを体感できる街だ。
「京都は見る場所がいっぱいあるから、しっかり決めていかないとな」
「お父様! 私、この伏見稲荷神社というところに行ってみたいです!」
「いいな! 俺はやっぱり清水寺かなぁ」
「一泊二日ですから、いろいろ回れそうですね!」
そんな話をしながら迎えた出発日、俺は違和感を覚えた。
「セレス、体調悪いんじゃないか?」
朝、いつもより早い時間にリビングに集まったが、どうにもセレスの様子がおかしい、若干フラついているというか、頬に熱がこもっている様な様子だった。
「熱、測るぞ?」
「う、えっと……はい……」
彼女も自身の体調の変化に勘付いているのか、大人しく身を委ねる。
そうして測ってみると、案の定熱があった。
「37.8℃……しっかり熱が出てるな」
「すみません、大事な日にこんな」
「こんなこと誰でもあるさ、とりあえず寝ようか、気分は大丈夫か?」
「……はい、大丈夫です」
「一緒に戻ろう?」
「……はい」
フラつく彼女を支えながらベッドに寝かせる。
昔医者の様なこともしていたと聞いていたことを思い出し、医者がわりにケインを呼ぶ。
「ふむ……」
脈拍や舌などを確認したケインは数度頷く。
「どうだ?」
「風邪でしょう。最近環境の変化がありましたから仕方がないかと」
「そうか」
ケインが下がった後、俺はセレスに頭を下げた。
「ごめん、もっと早く気が付いていれば……」
そうだ、セレスたちはイースガルドからこの世界へと環境が大きく変化した。体調を崩すのも頷ける。
「頭を上げてください、体調管理を怠ったのは私の失態です。あなたは何も悪くないのですよ」
熱った手で俺を撫でてくれるセレス。
その手がどうにも心地よく、少しだけ身を委ねた。
◇
セレスを寝かしつけて部屋を出ると、そこにはアリシアが待っていた。
「お母様は大丈夫でしたか?」
「ケイン曰く風邪だそうだ」
「そうですか……」
「セレスが謝っていたよ、大事な旅行の日にこんなことになってって」
「私はちっとも気にしてません! 旅行は家族みんなで楽しむものですから!」
そう言って笑うアリシアの仕草がセレスにそっくりで、思わず見惚れてしまう。
「……お父様?」
「いや、なんでもない。お粥作るんだが、手伝ってくれるか?」
「はい!」




