閑話 暇
夏季休業2週目、課題も落ち着いた俺たちは家でのんびりと過ごしていた。
「……」
セレスと二人で家のリビングのテレビを見ている。
「……暇だ」
この世界に帰って来てからは仕事がなくなり、代わりに学業が入ってきた。それも夏季休業に入り、義務的にやることがなくなったのだ。
「これまでが忙し過ぎたのです。ゆっくりすれば良いと思いますけど……」
「そうは言っても、暇になったら何をすれば良いんだ?」
「そうですね……お茶でも入れましょうか」
そう言ってセレスはキッチンに向かう。
もはや慣れたといった様子でお湯を準備し始める。
「手慣れてきたな」
「ええ、便利な道具が多いですから」
用意できたお湯をティーポッドに注ぎ、紅茶を準備し始めるセレス。
「今日の紅茶はなんでもリラックス効果が高いものだそうですよ」
「へぇ、それは楽しみだ」
出来上がった紅茶を一口。華やかな香りと落ち着いた味。紅茶の良し悪しは人並み程度しか理解できないけど、美味しいことはわかる。
「うん、美味しいよ。さすがセレスだね」
「ありがとうございます」
軽く談笑しつつ紅茶を飲み干し、所はソファへと戻る。
「なかなか難しいな、ゆっくりするのって」
「そうですか?」
「セレスがいなかったら何も思いつかないままぼーっとしてたと思う」
正直な感想を述べる。そしてまた何をしようか迷う。
「さてこの後どうしようか」
「そうですね……」
少し思案顔を見せたセレスはポンポンと膝を叩いた。
俺は促されるがままにセレスの膝に頭を置く。
「こうしてゆっくりなさるのがよろしいかと」
「このままだと寝ちゃうよ?」
「寝てしまわれても良いんですよ?」
そう言ってセレスは俺の頭を撫でる。それがどうにも心地よくて、睡魔を誘う。
そして俺はその睡魔に抗うことなく眠りに落ちるのだった。
◇
規則正しい息遣い。どうやら眠られたようですね。
それを認識しても撫でる手は止まらない。
「本当、良い顔になられましたね」
勇者としての彼も格好良かったしこのような可愛げもあった。けれど、この世界に帰ってきてからの笑顔を見ると、あれも歪まれたものだったのかと思い口の中が苦くなる。
撫でる手がくすぐったいのか、彼は私の膝の上で身じろぐ。
そんな彼もまた愛おしく、密かにキスをする。
言葉にできない思いを込めて、彼が起きるその時まで撫で続けるのだった。
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