第44話 ナンパ
「いいじゃねぇかよぉ、ちょっとくらい俺たちと遊んでくれても」
「人を待っていますので、他を当たってください」
ビート板を取って戻ってくると、セレスたちが見知らぬ男に声をかけられていた。
「やめていただけますか?」
すかさず割って入るとその男は囃し立てる。
「ヒュー! 正義の味方気取りってか?カッコイイね」
「そう言うのいいから、君はどっかいってな」
ナンパを仕掛けた男たちは中々引かない。
「カズヤさん!」
「お父様!」
「お父様?」
俺を認識した二人は俺の後ろに隠れるように位置取る。
「俺の妻に何か御用ですか?」
「妻って……」
「けっ、子持ちかよ若作りしやがって……行こうぜ」
ナンパ男たちはそんな文句を垂れながら去っていく。
「大丈夫だったか?」
「すぐにカズヤさんが来てくれたので大丈夫ですよ」
そんな話をしていると聞き馴染んだ声が聞こえてきた。
「流石和也くん、私たちが助けるまでもなかったね」
「葛西さん、どうしてここに」
「二子山さんと一緒に遊びに来てたんだよ。そしたらさっきの光景を見たってわけ」
「セレスティーナさん、さっきの輩は監視員さんに通報しておいたよ」
「二子山さん、ありがとうございます」
「アリシアちゃんは初めましてだよね。よろしくね」
「はい! 助けていただいだようでありがとうございます!」
そう言って返事をするアリシアの頭を撫でる二子山さん。
「三人は何してたの?」
「セレスとアリシアの泳ぎの練習だよ」
そう言って取ってきたビート板を見せる。
「二人、泳げないの?」
「セレスたちがいた国はそこまで泳ぐことがなかったからね」
「そっか、だったら一緒に練習しようよ! 二子山さん水泳部だし」
「俺は良いけど。二人はどうしたい?」
聞くと二人は首を縦に振った。
「やった、それじゃあ一緒に練習しよ!」
◇
やはり経験者というのは違うのだなと実感した。
二子山さんの教え方は俺のよりも的確かつわかりやすい。
セレスとアリシアはあっという間に泳ぎをマスターした。
「いやあ、二人とも筋がいいね! こんなに早く泳げるようになるなんて」
「二子山さんの指導のおかげです。ありがとうございました」
「ありがとうございます!」
「いいっていいって」
すっかり仲良くなった二人はそう言って互いを褒めあった。
そこからあとは一緒になって遊び、日が傾いて来た頃に解散の運びとなった。
「カズヤさん、今日はありがとうございました」
「どうした? 改まって」
「カズヤさんと出会わなかったら泳ぐこともなかったんだろうなと思いまして」
「そんなこと言ったら、俺はこの世界に帰って来てないよ。こちらこそありがとう」
なんだか変な話だと言って笑い合う。そんな平和な一日が過ぎていった。
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