第43話 泳ぐ
「すごいです! 屋内なのにこんな施設があるなんて!」
水着姿のアリシアがそう言ってはしゃいでいる。
夏季休業の課題がひと段落した俺たちは、かねてより計画していた海へ向かうため準備をしていた。
そんな時、セレスが屋内プールレジャー施設の広告を見つけてきたのだ。
海よりも準備がいらないことからここにいくことに決め、俺たちはその施設、ザブーンランドにやってきていた。
「足元に気をつけなさいね、滑って転ぶかもしれませんよ」
「わかってますよお母様!」
ザブーンランドとは、ヨーロッパの本格リゾートを彷彿とさせる内観で、一年中通して楽しめる全天候型屋内ウォーターレジャーランドだ。
かと言ってもガラス越しに燦々と照る太陽が眩しい。
「アリシアの言う通り、屋内でこんな施設があるなんてすごいですね」
「そうだな」
「お父様! ウォータースライダーがあります!」
「乗ってみるか?」
「はい!」
アリシアが示したウォータースライダーはゴムボートに乗って滑る方式のもので、コースをみるとかなりの長さがあるようだ。
案内板を見るに三人で乗れるようなので、俺、セレス、アリシアの順番で並ぶ。
しばらく待つと俺たちの番がやってきた。
「気をつけて乗ってくださいね」
「は、はい」
ゴムボートの不思議な感触に若干驚きつつも、慎重に乗っていく。
「それじゃあ行ってらっしゃい〜!」
スタッフの人に押されてゴムボートが発進する。
「おお、おおお!」
慣れない感覚に変な声が出る。
外からみると長かったコースも実際に乗ってみると一瞬で滑り切ってしまう。
「楽しかったです!」
「お父様! もう一回いいですか?」
「もちろん」
そうしてまた並び直す。
展望デッキから望む景色はなかなかのもので、施設を一望できるほどだ。
「この後は少し泳いでみるか」
「はい!」
話しながら待つこと数分、また俺たちの番になり滑っていく。
「お母様は泳げるのですか?」
「多少ですが泳げますよ」
「そういえばアリシアはちゃんと泳ぐ経験はこれが初めてか」
思えばイースガルドでプールはなかったし、海も魔物がいるので遊ぶことはなかった。
課外学習での海は海には入らず楽しんだと聞く。
「じゃあちょっと泳ぎの練習をしてみようか」
「はい!」
そうと決まれば、25mプールに移動する。
二人にはまず浮いてもらうところから始めよう。
「ゆっくりと力を抜いて水に体を任せてごらん」
「ちょっと怖いです」
「大丈夫、何かあったらすぐに助けるから」
「さっきはちゃんと浮けていましたから大丈夫ですよ」
そう言ってセレスはアリシアに手本を見せる。
「は、はい」
アリシアもそれに倣って浮いてみる。
何度か沈みそうになりつつも浮かぶことに成功した。
やはりセレスの子だからから筋が良い。
「そしたらプールサイドの手を置いて、バタ足の練習だ」
まずは二人に手本を見せる。
「すごい迫力です……!」
「このバタ足と手の動きを使って前に進むんだ。とり会えず、今日はバタ足で前に進む練習だな」
先ほど俺がやったことを二人にもやってもらう。
見ただけなのに二人とも綺麗に真似することができている。
「次はビート板を使って前に進んでみようか。ちょっと取ってくるから二人は待っていて」
太陽が燦々と照る気持ちの良い日、今日はまだ終わらない。
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